SUVらしさマシマシ。GLBより引き締まった乗り心地とハンドリングも美点【メルセデス・ベンツGLA試乗】
- 2020/10/21
-
安藤 眞
2014年にデビューし、世界的にスマッシュヒットを記録したGLAがフルモデルチェンジを実施した。2代目はサイズアップを果たすとともに、よりSUVらしいスタイルに変身。GLBと迷う方も多いかもしれないが、スポーティに運転を楽しみたいならGLAで決まりだ。
TEXT●安藤眞(ANDO Makoto) PHOTO●MotorFan.jp
新型GLAの全高は110mm高くなり、ハッチバックからSUVに成長を遂げた
“アジリティ(俊敏さ)”を前面に押し出したメルセデス・ベンツAクラスのSUVバージョンとして、2013年にデビューしたGLAが、フルモデルチェンジを実施。全高1510mmと、SUVというより全天候型ハッチバック車という趣の強かった先代から一転。全高は1620mmと高くなり、SUVテイストが強くなった。
一方で、全長は15mm短い4415mm、全幅は45mm広い1850mmとなり、ホイールベースは30mm伸ばされて2730mm。この微妙な変化が、居住性やライドフィールにどのような影響を与えているかに興味が持たれる。
日本向けに設定されるのは、GLA200d 4MATICの1機種のみで、選択肢は“AMGライン”を装着するか否かだけ。名前からもわかるとおり、ディーゼルエンジンを搭載したAWDモデルだ。本国仕様には1.3Lや2.0Lのガソリンターボ+FWDの組み合わせもあり、クルマのキャラクターからすると1.3L+FWDを気負わずに乗るのが似合うような気もするが、ともあれ現状では“いかにもSUV”という組み合わせしか選べない。
ドライビングポジションはGLBと同じ。従来型GLAに較べると、ヒップポイント地上高は97mm高くなっており(地面からの高さは約600mm)、セダンライクだった従来型に較べると、着座感も視界も大きく変わっている。個人的には、Aクラスに対する違いも明確になったし、周辺視界が向上して好ましい変更だと思う。
後席のレッグスペースは、従来型より116mm広くなったとのこと。ホイールベースの延長は30mmに止まるが、高い位置に座らせて脚を下に向かわせるパッケージングにしたことが奏功しているようだ。シートにはGLBと同様、140mmのスライド機構が付いており、身長181cmの僕が前席を合わせて後席に座っても、ヒザの前には約100mm、頭上には90mmの余裕が残る。さすが成人男性の平均身長が181cmに達する国のパッケージングだ。
ラゲッジスペースは横幅が1060mm、中央部の奥行きが780mm、高さはトノカバー下までで410mm(実測値)。床は2重底になっており、下段に落とし込むと+75mmの深さが稼げる。上段にすると、背もたれを前倒しした後席とツライチになる。後席背もたれは4:2:4分割で倒せるので、フレキシビリティは高い。
メルセデスらしいシュアなハンドリング。扱いやすいディーゼルエンジンも好印象
エンジンスタートボタンを押すと、ディーゼルエンジンらしいカラカラ音がわずかに聞こえてくるが、直噴ガソリンエンジンと大差の無いレベル。アイドリング〜低速走行では、明らかにディーゼルっぽいゴロッとした音質だが、「ガソリンエンジンと区別が付かない」という評価に対して「それはちょっと言い過ぎ」と返したくなる程度の違いに過ぎない。40km/hを越えてしまえば、文字通りガソリンエンジンと区別が付かない。
トランスミッションはGLBと同じ、デュアルクラッチ式8速AT。発進時にトルコン特有の滑り感がない以外は、普通のATとまったく変わらず、トランスミッションがどういう仕掛けであるかなど、まったく意識せずに走ることができる。
2.0Lのディーゼルエンジンは、低速からトルクフル。ターボラグが出そうなシーンでは、ATがすかさずシフトダウンして2000rpmぐらいまで回転を上げに行くので、市街地から登坂路まで、モタつくことは一瞬もない。急な登坂路では、ガソリンエンジンなら3000rpmぐらいで登るところを、2枚高いギヤを使って2000rpmぐらいで登ってしまう。
操舵応答性はGLBより機敏。従来型より重心高は高くなっているはずだが、走りの快活さは失われていない。操舵のしっかり感や正確性、滑らかさなどは、メルセデス・ベンツ車に共通する美点。旋回加速でアンダーステアがそれほど強まらないのは、AWDならではの強みだろう。
乗り心地もGLBより引き締まり感があり、西湘バイパスの荒いジョイントを越えても、バウンシングもピッチングも1発で収まる。タイヤは55扁平と「やり過ぎ感」はなく、縦バネが使えているので乗り心地も良い。これならタイヤチェーンで荒れた硬い圧雪路でも、快適に走れそう。泥の似合うクルマではないが、ウィンタースポーツ・エクスプレスとしてならば、良い選択肢になるのではないか。
メルセデス・ベンツGLA 200d 4MATIC
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4415×1835×1620mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:1710kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.3m
燃料タンク容量:51L(軽油)
■エンジン
型式:654
形式:水冷直列4気筒DOHCディーゼルターボ
排気量:1949cc
ボア×ストローク:82.0×92.3mm
圧縮比:15.5
最高出力:110kW(150ps)/3400-4400rpm
最大トルク:320Nm/1400-3200rpm
燃料供給方式:電子制御燃料直接噴射(コモンレール)
■駆動系
トランスミッション:8速AT
駆動方式:四輪駆動
■シャシー系
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:235/55R18 ※AMGラインは235/50R19
■燃費
WLTCモード:16.5km/L
市街地モード:12.8km/L
郊外モード:16.5km/L
高速道路モード:19.0km/L
■価格
564万円
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA200d 4マチック AMGライン 追従クルコン パワーゲート 2.0ETC シートヒータ...
中古価格 434.8万円
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA 200d 4MATIC AMGライン 1オナ ナビゲーションPKG OP19インチAW ...
中古価格 449万円
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA180 レーダーセーフティPKG APPLECARPLAY 純正ナビTV リアビューカメラ...
中古価格 215.9万円
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA220 4マチック レーダーセーフティパッケージ/レザーエクスクルーシブパッケージ/プレミ...
中古価格 254.6万円
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA180 レーダーセーフティPKG ベーシックPKG クリアランスソナー ハーフレザーシート...
中古価格 154.9万円
メルセデス・ベンツ GLAクラス
GLA180 衝突軽減装置 禁煙車 レーダークルーズ バックカメラ Bluetooth 前席シー...
中古価格 159.9万円