【美しすぎるクルマ・ベスト3(御堀直嗣)】次世代を牽引する自動車メーカーであることをデザインでも示した「テスラ・モデル3」
- 2020/11/06
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御堀 直嗣
御堀直嗣さんが選んだ「美しすぎるクルマ」は、ランボルギーニ・ミウラとトヨタ・2000GTという歴史的なスーパーカーを抑えて、テスラ・モデル3が第1位に。既存の自動車メーカーの枠にとらわれないテスラのクルマづくりは、デザインも同様。大型ディスプレイをセンターに据えたシンプルなインテリアも独自の世界だ。
TEXT●御堀直嗣(MIHORI Naotsugu)
第3位:ランボルギーニ・ミウラ
人の手、人の頭脳から創造された姿だからこそ、今も色あせない
3位は、私が最初に美しいと心を惹かれた、ランボルギーニ・ミウラだ。当時小学生の私には、ランボルギーニがどこの国の、どのような自動車メーカーであるかも知らなかったが、その姿に衝撃を受けた。傾斜したヘッドライトは、どのように点灯するのかと疑問にも思った。そして、ミウラという車名が、日本人の名や地名などに通じる言葉であったことも、親近感を覚えさせた。この美しさは、コンピュータグラフィックから生まれたのではなく、人の手、人の頭脳から創造された造形であることを思わせることも、いまなお美しいと思う理由の一つだ。
第2位:トヨタ・2000GT
日本車でありながら、これほど美しいクルマを生み出せるのか!?
2位は、トヨタ・2000GTである。中学生になって、クルマへの関心がさらに高まったとき、日本車でありながらこれほど美しいクルマを生み出せるのかという驚きは、いまなお色褪せない。はじめて目にしたとき、好きだったのは後期型でヘッドライトが薄くなった方だった。より精悍さを覚えたからだ。しかし、いまでは前期も後期もそれぞれに魅力を感じる。
さらに、つい先日亡くなった英国の俳優ショーン・コネリーが主演した映画『007』シリーズの日本を舞台とした『007は二度死ぬ』では日本車としてボンドカーに選ばれ、特別に製作されたオープンカーは、ゾクッとするほど色気があった。日本の諜報部員を演じた若林映子の知的な雰囲気と、艶やかなトヨタ・2000GTとの取り合わせも、魅力を倍増した。
第1位:テスラ・モデル3
テスラのデザインは、このモデル3で完成形に近づいた
1位は、テスラ・モデル3だ。電気自動車(EV)の専門自動車メーカーとして誕生したテスラからは、ロードスター、モデルS、モデルXと市販され、モデル3はその次の量産市販EVである。エンジン冷却用のラジエターを必要としないグリルレスの顔つきが、EVらしさを表現し、また全体的な造形の調和もモデル3で完成形に近づいたのではないか。ごく標準的な4ドアセダンでありながら、簡素な輪郭の中に美しさを秘め、存在感も十分だ。
室内には、モデルSから採用が続く大型液晶画面があるが、この配置を縦から横へ変更し、同時にダッシュボードからほかのメーターやスイッチが廃された。これは単に奇抜さを狙ったものではなく、一枚の横型液晶画面に必要な情報が適切に配置され、デジタルの速度表示は運転中に確認しやすく、周囲の様子を知らせる映像も一目瞭然で、かつ影絵のように薄い表示で情報過多にさせない。ナビゲーションの地図も分かりやすい。頻繁に操作が必要なスイッチは手元に残され、一度設定すればめったに調整しない機能の操作は画面を利用する機能分担が明確、かつ適切に行われている。
テスラは、自動車メーカーとして歴史は浅いものの、運転者が本当に必要な情報と機能の取捨選択は既存の自動車メーカーをはるかにしのぎ、かつ実用的に作り込まれている。単に、奇をてらったEV専用メーカーではなく、次世代を牽引する自動車メーカーであることを、技術のみならず造形や品質の高さを含め、モデル3で総合的に示している。
批評をする前に、まずテスラ・モデル3に乗り、運転してみるべきというのが私の考えであり、所有者に満足と誇りをもたらす美しいクルマだと思う。
『美しすぎるクルマ・ベスト3』は毎日更新です!
どんなに走りが楽しくても、どんなに乗り心地が良くても、ブサイクなクルマには乗りたくない。そう、デザインはクルマの命。ということで、これまで出会ったクルマの中からもっとも美しいと思ったベスト3を毎日、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。
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