【新型ホンダ・ヴェゼル】侮れない悪路走破性能! リアルタイムAWDがあらゆる場面で安心感を提供する
- 2021/05/05
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MotorFan編集部 長野 達郎
これまで、ヴェゼルを含むホンダのSUVはどちらかというと「都会派」のイメージが強く、四駆の影が薄かった。しかし新型ヴェゼルでは最近のアウトドアブームの影響もあるのだろうか、4WDの存在を強くアピールしている。実際のところ、新型ヴェゼルの4WDシステム「リアルタイムAWD」は侮れない実力を備えているようだ。
ハイブリッドでも機械式4WD。だから後輪に素早く大きなトルクを伝えられる
新型ヴェゼルが採用する4WDシステム「リアルタイムAWD」の第一の特徴は、プロペラシャフトを用いた機械式4WDであることだ。
他社ではハイブリッドの場合、リヤに搭載したモーターで後輪を駆動する形式が多い。が、ボディサイズが小さいBセグメントSUVの場合、荷室や居住スペースを考慮すると小型のモーターになりがちだ。例えばトヨタ・ヤリスクロスのハイブリッド4WD(E-Four)のリヤモーターは、最高出力5.3ps/最大トルク52Nmと控えめ。これに対して、新型ヴェゼルの4WDはハイブリッドでもプロペラシャフトを備える。こうした機械式4WDは、低速度から大トルクをしっかりと後輪に伝えられるのがメリットとなる。
リアルタイムAWDの第二の特徴は、カップリングに電子制御多板クラッチを用いていることだ。
フィットはビスカスカップリング式4WDなのだが、こちらは前輪が滑ったらパッシブで後輪に駆動力を発生させる。そのためスタンバイ4WDなどと呼ばれることもある。一方、電制多板クラッチはECUからの指令でクラッチの締結力をコントロールするため、前後のトルク配分を比較的自由に設定できる(アクティブトルクスプリット)メリットがある。後輪に常時駆動力を伝えることも可能だ。
リアルタイムAWDは先代からの継続採用となるが、新型ヴェゼルへの搭載にあたっては様々な改良が施されている。新型ヴェゼルはハイブリッドシステムが2モーター式のe:HEVに刷新され、モーター走行の領域が大幅に増えた。モーターは応答が素早くリニアな動力特性があるため、リヤデフの制御を高応答にアップデートし、トルク容量自体も10%ほど強化。前輪に遅れずに、プロペラシャフトでつながった後輪のトルクが素早く立ち上がるようになっている。
また、コーナリング時に内側の前輪に軽いブレーキをかけることで安定感を向上させるアジャイルハンドリングアシストやトラクションコントロールの制御にもチューニングを実施。これらの合わせ技により、発進・加速性能、旋回性能、走破性能などが大幅に向上したという。アウトドアやスキーの愛好家、雪国にお住まいの方以外でも、そのメリットを享受できる場面は少なくなさそうだ。
今回、取材会場ではオフロードを模した簡単なコースが設けられ、新型ヴェゼルのハイブリッド4WDモデルの試乗を行うことができた。まずは、岩山のような悪路を想定したモーグルコースだ。左右にずらして置かれたスロープに乗り上げると、ザザッという音とともに一瞬フロントタイヤの片側が空転した。が、グリップしている3輪にトルクを伝達することで、なにごともなくモーグルをクリアすることができた。FFの場合は、前輪の片側が空転すると前に進めなくなるという。ブレーキLSDで左右の駆動力の移動はできるが、スロープを登る力が足りなくなってしまうからだ。
他車の4WDの場合、路面状況に応じたモード切り替えスイッチが設けられていることが多い。しかし、新型ヴェゼルはスポーツやECONなどドライブモードの切り替えができるのみ、というのも特徴といえる。ドライバーはとくに4WDの走行モードに関して頭を悩ませる必要はなく、すべて車任せで走行することが可能となっている。新型ヴェゼルに唯一備わっているといえば、ヒルディセントコントロールのスイッチ程度だ。
4WDだと燃費性能の面で不利となるが、ハイブリッドを選べばそのデメリットも解消できる。新型ヴェゼルではガソリン4WDモデルのWLTCモード燃費が15.6km/Lにとどまるのに対して、ハイブリッド4WDモデルは22.0km/Lを達成。これは先代ヴェゼル・ハイブリッドのFFモデル(18.4〜21.0km/L)を凌ぐ燃費性能である。
新型ヴェゼルは最低地上高も195mmと余裕があるのも注目ポイント。見た目はクリーンでスタイリッシュな新型ヴェゼルだが、都会派SUVという枠に収まらないオールマイティな資質を備えているといえそうだ。
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