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時代に翻弄された日産サファリの明日はどっちだ!? 今だからこそ、初代・日産サファリを語ろうじゃないか!! 第2回

  • 2021/06/12
  • MotorFanアーカイブ編集部
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最初のマイナーチェンジで登場したハードトップ標準ルーフAD AD背面スペアタイヤ車。(画像提供:日産自動車/カタログ元写真)

2021年6月現在、日産のSUVはアリア、エクストレイル、キックス e-POWERの3車種しかラインアップされていません。いわゆるRVなど、もはや皆無です。しかし海外に目を向けると、大型のアルマーダ/パトロール/インフィニティQX80を筆頭に、大小様々の多くのSUVが好評を博しています。
新たな日産SUVの国内市場登場への期待を込めて、そしてエールを送る意味で、マニアックな四駆専門誌編集長が、今なお人気が高く、かつて愛車としていた「日産・初代サファリ愛」(?)を語ります。今回は、前回に引き続き初代サファリの年譜を、最初のマイナーチェンジ後のモデルを中心に振り返ってみましょう。

TEXT&PHOTO:赤木靖之(『キュリアス』編集室)/一部画像提供:日産自動車

時代の要求に翻弄された悲劇か? マイナーチェンジは迷走模様

革新的な内容で登場した日産サファリであったが、ライバルであるトヨタランドクルーザー(以下、ランクルと略)の装備充実や、純RVといえるいすゞビッグホーン、三菱パジェロの登場を受け、1982年8月に最初のマイナーチェンジが行なわれた。

質素だったADの内装は布製シートと絨毯として、DXと差別化がなされた。同時に、ハードトップ標準ルーフADには背面スペアタイヤが設定された。これは車幅いっぱいのハシゴ型キャリヤを持つため、テールゲートの開閉には広いスペースが必要になるものだった。おまけに2シーターAD/DXおよびハイルーフ車には装着できなかったから、これらには従来通りリヤオーバーハングにスペアタイヤが吊られていた。

リヤオーバーハングにスペアタイヤを吊るために、わざわざ燃料タンクを薄く作ったのに、大きなタイヤを背中に背負うことがRV四駆の象徴的なスタイリングとして求められた時代ゆえの本末転倒な設定と言えるかもしれない。

ヘッドランプウォッシャーが設定されたり、WARN社製の電動ウインチが選べるようになったのもこの時だ。マニュアル式だったフリーハブが不確実なオート式に改悪(?)されたのは、国産四駆で初めてのことだった。

なお、マイナーチェンジ前後の識別は簡単で、フロントグリルの真ん中に「NISSAN」ロゴが付くと新型である。

ハードトップ 標準ルーフ 2シーター AD/写真提供:日産自動車
ハードトップ ハイルーフ AD/写真提供:日産自動車
最初のマイナーチェンジではエンジンや駆動系に手は入らず、主に装備面の変更にとどまった。ランクルや登場したばかりのパジェロは5速ミッションだったが、サファリは4速のまま。
ランクルの横シマ柄に対抗したのか、縦シマ柄のシート生地がADに採用された。
インパネも変更はない。とってつけたようなラジオボックスも続投された。これまで12V×2基のバッテリーの片方から取り出していた12Vのシガーライターを直列24V電源に変更する改良が行なわれた。筆者の愛車は初期型だったから、シガーソケットからナビ電源を取って一つのバッテリーだけ消耗させ、そのカラクリが判明するまで始動不良に悩まされた。
ハードトップ標準ルーフAD AD背面スペアタイヤ車。/画像提供:日産自動車
荷役性を低下させる大げさなスペアタイヤキャリヤ。燃料携行缶やハイリフトジャッキをくくりつけるには便利という意見はあったが…。
マイナーチェンジで追加された装備品3種。ラジアルタイヤが採用されても無骨なリングホイールは継続。設備のない僻地でもタイヤ交換できるが、街のカーショップでは嫌がられる。ランクルのSTDモデルも同様だった。
オプションのウインチは、クラッチ部にフリーハブを応用した使いやすいPTO式と、ラインスピードに定評あるWARN社のM8100が選べた。

そのころ、サファリのライバル車たちの動向は…?

売れ筋的な変更を行ないながらも、4ドア車同士ではランクル60系が優勢だった。あの広い室内とマッチョなデザインは1ナンバー普通貨物登録の負担と引き換えながら、ユーザーに受け入れられたのだ。ガソリン車が選べる点もサファリと違っていたが、売れたのはディーゼルの方だった。

現在、マニアの間では「サファリの方が渋いのだ」と語られることが多い。あるいは今だからマイナーな存在に価値を見出してしまうのかもしれないが、「ランクル60系は俗っぽい」とする風潮はマニア界隈には確かにある。個人的には「判官贔屓」とでも言うか、冴えない割に造りの凝っていた日産四駆への贔屓目と、多数勢力に属したくない心理があったことは認めざるを得ない。

無論、ランクル60系にも優れた面は多々あって、とりわけ初期のものや低グレード車は好ましいシンプルさを持っていた。しかし、街中などで変にいじくったカスタム系の個体に遭遇することが多かったため、印象が悪くなっていったのだと思う。

スクラップインセンティブの犠牲になるBJ61Vを補助金同額で買ってみた。こんな純正然とした個体に触れると、デカいとされたボディも昨今のSUVよりスリムだとわかる。かつてのハイリフト車や、近年の画一的なカスタムと比べれば慎ましく魅力的だ。

では、短尺車同士で比べた場合はどうだろう。VR160サファリが売られていた頃、ランクルはまだ40系の時代で、70系に替わる1984年には、サファリはいち早くターボ車を追加したVR161になっていた。

ところが新しいランクルより洗練された足回りを持ちながらも、やはりサファリは販売面で及ばなかったのである。「新時代のRV」を求めるお客さんは、より軽い"食感”のパジェロやビッグホーンへと流れて行き、「四駆らしさ」を求める層は、皮肉にもランクルの旧態依然としたものの方を評価したのである。

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