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YAMAHA・CYGNUS X ”普通に良い”は褒め言葉。シグナスXは車体も装備も街に◎! しかもエンジンの素性もイイッ!【ヤマハ125ccスクーター試乗レポート 】

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ヤマハのスクーターは原付二種だけで何と6機種ものバリエーションを持つ。3輪のトリシティを除外すると、226,800円のアクシスストリートから、351,000円のNMAXまで。その価格帯の中でシグナスXは中の上に位置する存在。コンパクトで廉価なアクシス系と比べると、いかにも125ccモデルらしい標準的サイズ感と不足の無い仕上がりを誇っている。

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

前後サスペンションの仕事ぶりも上等なもので、乗り心地が良く荒れた路面では不安なく安定した走りっぷり。ハンドリングは軽快で操舵感に癖もなく自然で誰にでも親しみやすい。そんな操縦感覚と普通の乗り味に好感触を覚えた。

ヤマハ・シグナスX……329,400円〜

 普通であることを褒めるのは難しいことではあるが、シグナスXで市街地を走り始めると、125ccクラスを代表しているかのごとくいかにも標準的な仕上がりに魅力を覚えた。2003年のキャブ時代からFI化、LED化、リヤディスク化と、幾重ものモデルチェンジによって進化し続けたこのシグナスXは、2018年秋のモデルチェンジにおいて外装を大刷新。「これをもってもはや完成型を迎えたと言っても良いのかもしれない」。12インチサイズの前後ホイールと1900mmを切る全長、120kgに満たない車重とって定評のあるコンポーネントと新デザインの外観とのマッチングは、そう思わせるほど万人向けの仕上がりなのだ。

 フロントビューは3灯式異形ヘッドランプとその両脇を縦列レイアウトのLED式サブランプが固める。ロービームではツインライト風だが、ハイビームでは中央のライトが追加点灯する仕組み。ウインカーランプはハンドルカバー部に独立配置。ワイドに光るテールのコンビネーションランプも含めてなかなか新鮮なデザインである。また格納式のピリオンステップはワンプッシュで出すことができ、しまう時はまるで磁石に付くような感覚でコツッと固定できる等全体に上質な雰囲気が漂っている。

 取りまわしも自然。跨がっても親しみやすさを直感するが、あえて言うならばステップスルーのフロアに前下がりの傾斜があり位置が高い点が惜しい。そのせいで(体型にもよるが)押し歩く時は股に車体が触れやすく、乗車姿勢が若干窮屈にも感じられた。

 でもね、このスクーター。筆者が通勤や通学に2輪を必要としている環境なら賢い選択肢の1つに躍り出ることは間違いない。29L容量もあるシート下収納スペースの使い勝手も含めて実に手頃。まさに「おあつらえ向き」な1台だからである。

乗り心地も操縦性も快適!

 試乗は一般通勤用途を想定して都内市街地を走ってみた。エンジンを始動するとアイドリングは約1500rpm。静かにアクセルを開けて行くと3000rpmまでは変化なし。3200rpmで自動遠心クラッチが半クラ状態となって動き出し、3400rpmでつながる。さらにアクセルを開けていくと大体5600rpmあたりをキープしながら無段変速が働いて速度がグイグイと乗ってくる。一般的に言って交通の流れに先行してダッシュを決めるのは朝飯前。さらにワイドオープンするとエンジン回転は6200rpmあたりでより力強い加速力を発揮する。

 市街地の流れに乗ったクルージングでは、負荷に応じて6000rpm前後で走り続ける。その回転数はちょうどピークトルクが発生する回転域だ。6000rpmも回っているのに不快感の無い穏やかなフィーリング。ギヤ比の変化も特に意識させられる事なく、騒がしくない乗り味が魅力的だ。スロットルレスポンスにも優れ、無段変速ミッションの機械的セッティングが実に巧みに仕上げられていることが理解できるだろう。アクセルを閉じると時速13kmまではエンジンブレーキも有効に効いてくれた。元気良く走れる扱いやすさと快適な乗り心地とのバランスの妙に感心される。

 と、じつに優等生的な印象をもつシグナスXだが、代々搭載され続けている空冷124ccエンジンはチューニングの素材としても適材であるというから面白い。アフターパーツメーカーの排気量アップキットを使えば、ボア径やストローク量をアップして、150cc化や180cc化、200ccオーバーも可能。しかもエンジンのみならず、車体のポテンシャルも高いので、日本や台湾ではミニバイクレースのベース車両としても用いられるほど、高い潜在能力を備えている。

 普段使いに文句なしの基本性能と、イジって遊べる発展性。125ccスクーターは世に数あれど、こういった楽しみ方をするならば、シグナスXが最有力手といえるだろう。
 

足つきチェック(ライダー身長170cm)

両足はべったりと地面を捉えることができる。シート高は775mm。車体が太めなので、足は少々遠い所につくことになり、滑りやすいシーンでの扱いは慎重に。

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