この名称はベルギーの詩人、M.メーテルリンクの有名な童話「青い鳥」に由来する。日本の小型乗用車の決定版であり、世界の希望の青い鳥であるようにとの願いを込めた。初代は1959年8月発売。エンジンは988cc・34psと1189cc・43psの2機種、310型といった。60年7月、エステートワゴンを新設。61年2月には女性向けのファンシーデラックスを発売するなど、時代に先駆けた。63年9月、フルモデルチェンジ、410型へ。スタイリングをイタリアのカロッツェリア・ピニンファリナに依頼したことで注目を集めた。エンジンは1Lと1.2L。オートクラッチ付きも登場した。スポーティモデルのSS(64年3月発売)とSSS(65年5月発売)が人気となった。2ドアセダンも出た。67年8月、510型に移行。ボディスタイルは超音速機をイメージして造形、スーパーソニックラインと命名した。2ドア、4ドアのセダンとワゴンをそろえ、エンジンは1.3Lと1.6Lを搭載。68年11月、1.6Lエンジンのクーペを追加した。ノーマルとSSSモデルがあった。70年9月、エンジンは1.3Lが1.4Lに、そして1.8L型を加えた。71年8月、フルモデルチェンジで610型Uに発展。4代目。豊かな膨らみをもつスタイルで、セダンと2ドアハードトップ、ワゴンをそろえた。エンジンは1.6Lと1.8Lの2種。SSSモデルが最初からあった。73年8月のマイナーチェンジで2000GTというモデルを追加した。ホイールベースを標準ボディに比べて150mm延長、直6・SOHCの2Lエンジンを積んでいた。当初は510型も併売。76年7月、5代目810型登場。旧型に付けていたUは消えた。ボディタイプは4ドアセダンと2ドアハードトップで、エンジンは1.6L、1.8L、2Lの3種。2ドアハードトップは、小さなリヤクォーターウインドウのあることが特徴だった。79年11月、6代目910型に変わった。ボディはセダンと2ドアハードトップの2本立てで、エンジンは旧型と同じ設定。12月、4ドア+テールゲートのワゴン車が復活。名前はADワゴン。1.8Lエンジンを積んでいた。80年3月には、セダンとハードトップに1.8Lターボエンジンを追加。日産のターボ車は、これが第1号。80年4月に2Lディーゼルエンジンを採用、ターボ車にAT設定などと続いた。82年1月、4ドアハードトップ車追加。4ドアセダンにも2Lのディーゼルターボエンジンを搭載した。10月の一部変更で、1.6Lと1.8Lエンジンは新しいCA系に変わった。83年10月、フルモデルチェンジ。7代目登場。最大の変化は駆動方式がFFとなったことだった。エンジンは1.6L、1.8L、2L。セダン、4ドアハードトップ、ワゴンの3ボディをそろえた。84年3月、2Lディーゼルエンジン復活。85年8月のマイナーチェンジで、1.8L・DOHCターボエンジンも加わった。型式名はU11といった。87年9月、8代目U12型デビュー。駆動力総合制御機能をもつアテーサと呼ぶ新しい4WDシステムを初導入して注目を集めた。セダンと4ドアハードトップが新しくなったが、ワゴンは継続生産だった。エンジンは5種類を数えた。91年9月のフルモデルチェンジで9代目となり、U13型に進んだ。スタイリングはトレンドに合わせて丸みを帯び、セダンと4ドアピラードハードトップを用意したが、2車のスタイルは異なった。さらに、セダンは性格の異なるスポーティなSSS系と経済性重視のEEX系の2シリーズ、4ドアハードトップはARXシリーズと呼び、それぞれ性格づけを鮮明にした。3タイプが誕生したともいえた。全体としてはホイールベースを70㎜延長したが、5種のエンジンを横置きし、前輪を駆動する機構は従来型と同じ。4WD車もあったが、一部にトリプルビスカスを採用したことが新しかった。96年1月、10代目へ進化。ボディタイプはセダンだけとなり、シャシーは操安性のよさで定評のあるプリメーラ用と共有になった。ボディラインは丸みからシャープへ。ただし、ルグランとSSS系では顔が若干異なった。エンジンはガソリンNAの2L・2チューンと1.8L、ディーゼルの2L。ミッションは5速MTとOD付き4速AT。アテーサの4WDシステムもあった。98年9月に直噴の1.8L+ハイパーCVT、1.8Lのリーンバーン+E-ATxを採用した。2000年8月、シルフィという名前で11代目が新しいスタートを切った。ブルーバードを名乗ってはいるものの、プラットフォームはサニーのもので、小さいブルーバードといった趣だった。サイズも従来型よりひとまわり小さくなった。旧型も継続販売。 シルフィのエンジンは1.5L、1.8L、2Lの3機種。注目は1.8Lユニットで、HC、NOx、CO、いずれも排出ガスが運輸省(現・国土交通省)が規定した超-低排出ガスの基準値のさらに50%以下。世界でもっともクリーンなエンジンといわれるものだった。また、2Lエンジンも新開発の直噴タイプQR20DD型に進化。駆動方式はFF・2WDが主力で、4WD車は1.8L1モデルしかなかった。ミッションは5速MTと4速AT、そして2L車はハイパーCVT-M6との組み合わせだった。シルフィとは、4大精霊(土・水・火・風)のひとつである風(空気)の精を表す英語SYLPHからの造語。ブルーバード・ブランドのもつ安心感、信頼性に、シルフィの特徴である上質さ、環境へのやさしさを表現したものという。2001年3月、1.5L、1.8L搭載の2WD車にお買い得モデル、ベーシックパッケージを設定、4月から発売を開始した。2003年2月、マイナーチェンジ。リヤまわりを一新した。新造形のコンビネーションランプ採用。フェンダーのワイド化など質感の向上を図った。あわせて、フロントグリル、バンパー、ヘッドランプなどのデザイン変更も実施。インテリアでは、内装色にブラックを新設定。運転席・助手席パワーシート、足踏み式パーキングブレーキ、オートライトシステムなどを装備して利便性も向上した。
-大車林