Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンテック
  1. TOP
  2. バイク
  3. ニュース・トピック

「定地燃費値」とはどこが違う? WMTCモード値のハナシ “実燃費に近い”と好評の「WMTCモード値」どうやって計測しているの?

  • 2019/09/13
  • MotorFan編集部 北 秀昭
このエントリーをはてなブックマークに追加

バイクのカタログやWEBサイトのスペック表(諸元表)にある、燃費性能を示した「WMTC(Worldwide- harmonized Motorcycle Test Cycle)モード値」と「定地燃費値」。現在では、“実燃費に近い”、「WMTCモード値」を参考にするのが常識。「WMTCモード値」の詳細や、「定地燃費値」との違いをチェックしてみよう。

REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

バイクのスペック表(諸元表)に明記された「WMTCモード値」と「定地燃費値」

 まずは、ヤマハの人気モデル「YZF-R3 ABS(320cc)」の主要諸元表に明記された、「WMTCモード値」と「定地燃費値」の項目を抜き出してみよう。

●燃料消費率:(*1)
国土交通省届出値
・定地燃費値…(*2)41.3km/L(60km/h)2名乗車時
・WMTCモード値(*3)…27.6km/L(クラス3, サブクラス3-2)1名乗車時

*1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
*2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
*3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。

平坦な直線の舗装路を走り続ける、昔ながらの「定地燃費値」とは?

写真はイメージです。
 「定地燃費値」とは、平坦な直線の舗装路を、時速60km/h(50cc以下は時速30km/h)で走行し、計測する燃費のこと。

 基本的に、50cc以下は1名乗車、51cc以上は2名乗車(1名乗車用は1名)でのテスト値が明記されている。

 上記の「YZF-R3 ABS(320cc)」の場合、2名乗車時に、時速60km/hで走行し続ければ、1リッターあたり41.3km走行したことになる。

「定地燃費値」は、あくまでも参考程度に!

 実際に公道を走るとなると、信号によるストップ&ゴーを繰り返したり、渋滞に巻き込まれたり、坂道を登ったり、追い越し時に加速したり等々、「時速60km/hで走り続ける」ことなど不可能。

 つまり、「定地燃費値のテスト時」よりも、多くのガソリンを消費し、「定地燃費値」に比べて燃費が悪化してしまう。

 そのため、あまり現実的ではない「定地燃費値」は、あくまでも参考程度に留めておくこと。ココが大きなポイント。

では、何をチェックすればいい?それは「WMTCモード値」だ!

写真はシャーシダイナモに接続されたパソコンの計測画面(WMTCモード値の計測ではなくイメージ)。
 上記の「YZF-R3 ABS(320cc)」の場合、「定地燃費値=41.3km/L」で、「WMTCモード値=27.6km/L」。

 「WMTCモード値」は、市街地、郊外、高速道路走行など、一般的な使用実態を走行モードに反映した、“実燃費”に近い数値が確認できるのが嬉しいところだ。

バイク選びに役立つ、嬉しい燃費データ!“実燃費に近い”テスト&計測方法の「WMTCモード値」

写真はシャーシダイナモでエンジン特性を計測中の一コマ(WMTCモード値の計測ではなくイメージ)。
 「WMTCモード値」とは、設置されたローラーの上でリヤタイヤを回転させ、馬力、トルク、空燃比(ガソリンと空気の比率)、エンジンの出力特性などを計測する「シャーシダイナモ」の上で、発進・加速・停止などを織り交ぜながら走行し、排気ガスを計測。公道での使用実態に近い方法で、燃費を計算するのが特徴だ。

 「WMTCモード値」の試験法は、2012年10月から日本に導入。2013年7月以降、順次カタログに表記されてきた。

 「WMTCモード値」の表記は、国の法令に基づいたものではなく、国内のバイクメーカー4社が、自主的な取り組みとして実施。

 「WMTCモード値」は、ユーザーの目線に立った、“実燃費に限りなく近い燃費値”。バイク選びに役立つデータの1つとして、ユーザーに喜ばれている。

「WMTCモード値」試験法の特徴

マフラー内にセンサー(シャーシダイナモに併設)を挿入し、エンジンを始動して排出ガスを測定(写真はWMTCモード値の計測ではなくイメージ)。
 「WMTCモード値」は、『気温25℃』『1名乗車』『各メーカー指定のタイヤの空気圧』で測定。

 試験法の特徴としては、

・排出ガス測定試験結果から燃費を算出

・GTR(世界統一基準)で制定されている走行モードを採用(※下記参照)

・排気量と最高速度によってクラスが分類。走行モードも細かく設定(※下記参照)

・日本、欧州、インド、中国、米国などの走行実態調査データを元に作成。市街地、郊外、高速道路走行など、一般的な使用実態が走行モードに反映

 されているのがポイントだ。

「WMTCモード値」各クラスの走行モードをチェック!

「WMTCモード値」のクラス分類

上記表は(財)日本自動車工業会「二輪車の燃費・WMTCモード値」より

参考:「WMTCモード値」燃費の計算方法

 「WMTCモード値」は、排出ガス試験の結果から計算。下記は計算値。

参考資料:国土交通省報道資料「二輪自動車等の排出ガス測定方法(WMTC)を導入しました」

おすすめのバックナンバー

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい! 一覧へ

解決します! 交通ルールの素朴なギモン

解決します! 交通ルールの素朴なギモン 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ