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あのころ、あのとき、あのカタログ ソバージュ・太眉・ボディコンのおったまげ! バブル世代が懐かしむ「ホンダ ロードフォックス 1984」【青春型録 第5回】

  • 2019/05/06
  • 宮崎 正行
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ショルダーには「8ビートのプレイ・スリーター」、ボディコピーは「スイング天国だ」。どちらも意味はよく分からないが、それでいい。それでいいのだ……バブル狂騒のエイティーズにあっては!

キテレツなルックスで変態ライダーのココロをくすぐったロードフォックスは、ホンダのスリーター(三輪車)シリーズ第5弾としてデビュー、洗練されたメカニズムは見どころ満載だったのだ!

語り◉津田洋介/ TDF、まとめ◉宮崎正行

時代が追いつけなかった早世の三輪異端児!

──まず、スリーターなる乗り物のなんたるかを津田さんに問いたい!これってどんな理由で三輪にしたんですか?

津田 今日は冒頭からやけにつっかかってくるね。なにかイヤなことでもあった?

──ヤフオクで連夜の敗戦を喫し、無力感にさいなまれているんです。クソぅ、オレにもっと男気と予算(と甲斐性)があれば……。

津田 そういうことね。こんどウチに来たら、パソコンで業販オークションを見せてあげるよ。熟練のプロたちのすがすがしい売買っぷりはドキドキワクワクだよ。

──行く行く、ぜったいに行きます!業者価格……いい響きだなあ。禁断の果実ってカンジ。ウフフ。

津田 さて、気を取り直したところで「スリーター」について“外堀”から説明すると、とにかくバイクが売れに売れまくった80年代という時代を抜きにその存在は語れない。毎年イヤってほどたくさんの新型車が発売されていたけれど、どのメーカーも新しいこと、新しい技術に貪欲だったらから、ホンダも「走行安定性の高い三輪バイクにはきっと強いニーズがあるハズ!」と予見したと思うんだ。

──当時の新車リリースにも「スリーターならではの安心感と二輪車の軽快さが味わえる」と誇らしげに書いてありますね。

津田 当時の国内4メーカーときたらまるで、泳ぎ続けないと死んでしまう回遊魚のようだった。停滞は悪、パンチはひたすら打ち続けろ! というニューモデルラッシュが年中行事だったんだ。だからなのか、バイクマニアにはたまらない“とち狂った”モデルもたくさんデビューしていて、それらのバイクは時代の徒花としていまも多くの伝説を残しているね。たとえば250㏄×DOHC4気筒で2万回転も回ってしまう、異常な高回転型エンジンを積んだCBR250Rなんて振り切りすぎたいい例だ。

──たしかにこのロードフォックスも、ホンダ一連のスリーターシリーズ第5弾という最後発ポジションのワリには攻めていましたね。目が届かなくて放任された末弟は自由を謳歌したのかな?

津田 1981年発売のストリームを皮切りに、ジャイロ、ジョイ、ジャストに続いての5人目の末っ子、それがロードフォックスだった。ジャイロは実用車だけに別格だったけれど、それ以外のカジュアル路線は80年代のうちに消滅してしまったのが残念だね。

──そうですね。でもここまでハッチャケられればスリーター開発陣にもきっと悔いはないでしょう。

じつは一輪駆動車だったスリーター4兄弟

津田 そういえば今回のカタログビジュアルもガイジン勢だね。しかもいつものスポーツ&フィットネスファッション。表紙の黒人は……バスケの選手風なのかな。足許は懐かしいプロケッズのバスケットシューズ。ロードフォックスが発売された84年はマイケル・ジョーダンのNBAデビューイヤーだから、バスケブームはまだ来ていないはず。

──ですね。

津田 ちなみにプロケッズの「プロ」はプロバスケットボールのプロなんだとさ。だからもともとの名前は「ケッズ」。えーと、余談まで。

──へー。ところでキャッチコピーの「8ビートのプレイ・スリーター」は百歩ゆずって「遊び系バイクなのね」と解釈できるけど、「スイング天国だ」にいたってはなんだかさっぱり分からないです。横ノリってことですか?

津田 車体が左右に“スイング”するところから着想しているんじゃない?実際のメカニズムにスイング機構が備わっているし。

──そういうことですか!

津田 たぶんね。いまや貴重な“ロードフォックス体験者”なオレだけど、独特のライポジはけっこう低くて愉快だったよ。ビッグスクーターみたいな「バケットタイプ・シート」に体重を預けて「バーステップ」に足をのせるんだけど、すこし窮屈と感じたライダーは「スポーツバー」と呼ばれるフロントタイヤへの巻き込み防止?のストッパーに足をかけて乗っていた。目線がカートみたいに低いから、そこそこのスピードでもかなり速く感じるんだ。

──カタログにも「カートに似てカートに非ず」と表現してあります。

津田 先行ジャイロとの大きな違いは、後ろ二輪は片輪でしか駆動しないということ。ストリームとかジョイ、ジャストといっしょなんだ。つまりデフ機構がなくて、もう片輪はフリーだった。だからタイヤのローテーションが左右で可能だったね。

──それは知らなかった~。

津田 ビッグすぎる先達・カブの陰に隠れて見過ごされがちだけど、ジャイロだって立派な現行モデル。その偉大さをチャンプ読者にはもっと感じてほしいぞ。

──1984年生まれのロードフォックス。もしかしたら、生まれた時代が30年以上早すぎたのかもしれませんね。しかもまだ追いついてないという(笑)。

津田 バブル前夜を全開で走り抜けたアラフィフ・オジサンたちの胸をふたたび高鳴らせるために、異形のロードフォックスをいまこそ再販すべし! と力んだところで絶対にホンダは乗ってこないだろうな(笑)。

──バブルかぁ、イケイケかぁ、マハラジャかぁ……行ったことないけれど。ちなみにハイレグ水着と、長いソバージュと、太いゲジゲジ眉ではどれがいちばん好きですか?

津田 えーとそれぞれ、そんなでもない。

津田洋介

「ロードフォックスのテールは初代VT250Fと同じユニット」とサラリと言ってのける、バイクに詳しすぎるTDF代表。

宮崎正行

グラストラッカー・ビッグボーイのビッグボーイという車名に、かつての「ビガーパンツ」を想起してしまう二輪ライター。

カタログ上段の連続走行カットに注目。かなりヘンテコだったライポジに街での目立ち度はハンパなかった。シリーズでかつてないデザインの自由が与えられた、スリーターライン5 代目となるロードフォックス。挿し色で入れられた真っ赤なハンドルグリップにも注目。
当時の13万9000円はけっこう高額車両。価格をもっと高くしても……ホンダは元が取れなかっただろう。乾燥重量は59kgとかなりライトウェイトで、2ストエンジンは6000回転で4馬力を発揮。
リヤから伸びるチャンバータイプの「フォックステールマフラー」は、見れば見るほどキツネのそれに似ていてジャストなネーミングだ。ちなみにタイヤサイズはフロント8インチ、リヤ6インチ。

モトチャンプ2019年4月号

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