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【YZF-R3 100km試乗】R25とR3を乗り比べ、どちらを買うべきか吟味してみた。/ヤマハ 

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新色のマットディープレッドメタリック3

既報のYZF-R25と車体もエンジンも共通、大きな違いは排気量のみの兄弟モデルがこのYZF-R3である。R25は3月に先行発売。R3は2019年6月10日の発売だ。インドネシアのYIMM製造モデルで、カラーバリエーションも青、黒、赤の3タイプ。これもR25と同じだ。

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

YZF-R3/R25のデザイン画からもわかる通り、イメージリーダーはMotoGPマシンのYZR-M1である。レースイメージのスポーティさをストリートに融合させている。

ヤマハ・YZF-R3……675,000円

ディープパーブリッシュブルーメタリックC(新色)
マットブラック2(新色)

 既報のYZF-R25とは、排気量以外はほとんど共通の兄弟車であることはご存じだろう。カラーリングも同じだから正直、パッと見で区別はつかない。取り回しても跨がった感触も全く一緒。相違点を挙げると、カウル両サイドに描かれたR25とR3の文字が異なる。後方に回れば、装着ナンバープレートが、白の軽二輪車(〜250cc)か緑枠ナンバーの自動二輪車(251cc〜)かでも区別はできる。
 そしてもうひとつ、良く見れば装着タイヤにも違いがある。前後17インチ・チューブレスのタイヤサイズは共通ながら、R25は許容スピードレンジが180km/hのSコードバイヤスタイヤ。一方R3には210km/hまで許容するHコードラジアルタイヤが標準装着された。

 その他R25と比較すると、エンジンおよびミッション(6速のギヤレシオ)にも違いがあるが、それらの差異については、既報のMT-03の記事内容と共通しているので、そちらも参照して欲しい。

 さてR25/R3に共通するメーカーのキャッチコピーに着目すると「沸き立つ心はとめられない」とある。簡単に解説を加えておくと、動力性能と鋭い操縦性能も、ライダーが掌握できるレベル内にあり、走らせる歓びに心が熱くなると言うことらしい。
 
 なるほど、上手い表現かもしれない。試乗車に跨がる前から、筆者は既にR3の乗り味が理解できたような気分になってきた。精悍で新鮮なフロントマスクから、シャープにヒップアップしてフィニッシュするテールエンドまで、スタイリングはなかなか格好良い。
 前モデルではストリートスポーツとしてのスタンスをわきまえていたと記憶している。そんなライディングポジションも、今回は少し前傾姿勢が強くなり、スポーツ性を強調した仕上がりが印象深いのである。

 基本的にR25 と共通するエンジンは水冷DOHC4バルブの直(並)列2気筒。R25以上にショートストロークタイプの320ccエンジンは、軽量&タフなアルミ鍛造ピストンや、オールアルミ製DiASil処理をしたシリンダーをオフセットレイアウトすることで、ピストンがシリンダーの中でスルスルと低フリクションで良く動く高効率な特性を得ている。
 

※関連記事:ヤマハMT-03インプレッション https://motor-fan.jp/article/10010189

※参照動画:ヤマハDiASil処理 https://www.yamaha-motor.co.jp/cf/technology/casting/

実走燃費は29.3km/L

 早速市街地をひとっ走り。直ぐに全体的にバランスのとれたレベルの高い総合性能に惹かれてしまった。正直R25も十分に満足できる性能だったと記憶しているが、70ccの排気量差はかなり大きい。これが率直な感想だ。
 出力特性とギヤ比との相性も抜群。もちろんR25もその相性は排気量に相応しいセッティングで良いのだが、R3の走りは次元が異なっていた。吹き上がりの小気味よさと遅滞無くレスポンスする程良い瞬発力。そして絶対的なトルクの強さがとても扱いやすく、かつ心地よいのである。

 同じエンジンをベースに排気量アップすると、エンジン回転が重く荒々しくなる傾向が見られる事も少なくないが、ショートストローク化の強調とともに、あまり高回転高出力を欲張らないチューニングに絶妙の味付けが見てとれた。
 スロットルを大きく開けていけば、1万rpmオーバーの領域まで難なく吹き上がる。しかし広い回転域で、それを必要としない余裕のあるトルク特性を発揮、中低速域での粘り強さも一級だ。

 高速クルージングでも100km/h走行時のエンジン回転数は6速トップギヤで約6300rpm。同じくR25は7200rpmだったから、いかに静かで余裕のある走りが楽しめるか、その違いが良くわかるだろう。

 見るからにスポーティなキャラクターゆえライダーも心構えが異なり、自然と全身の筋力を活用した乗り方をするせいか、尻が痛くなりにくかった。これならばロングツーリングでも快適だろう。

ワイズギアKYBスペシャルサスペンション リア(75,600円)
 そして何よりも大きな進化を感じ取れたのはフロントのフットワーク。今回から採用されたフロントフォークを倒立化した恩恵は大きく、新設計された上下ステアリングブラケット、アルミ鋳造のアッパーブラケットは肉抜き加工することでじつに乗りやすい絶妙な剛性バランスに仕上げられているのだ。
 これに加えて前後に履いたラジアルタイヤも相まって、コーナリング時や荒れた路面での衝撃吸収具合は落ち着きがあり、グリップ力に対する信頼性も高く峠道を攻め込むような場面でも安心感のある走りが楽しめた。
 あえて気になる点をあげるならば、フロントの足まわりのパーフェクトさゆえに、今度はリヤの足周りに不足が感じられるという贅沢な悩みが出てきてしまった。しかしそこは社外製の高性能なリヤショックを交換すれば解決できるだろうし、ワイズギヤからはプリロードトと減衰圧を調整できるKYB製も選択できるので、中級、上級ライダーはトライしてみる価値があるだろう。

 で、一番難しいのはR25とR3でどちらを選ぶべきかであろう。多くの人が悩むことは間違いない。あえてシンプルに回答すると、ズバリ走りの満足度ではR3がお薦め。あとは車検ありのR3 VS. 車検なしのR25、このランニングコストの差をどう読むのかは、個々人の判断で決まるだろう。

⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)

このクラスとしては立派なフォルムだが、乗車姿勢はスマートに決まる。シート高は780mm。ご覧の通り両足はべったりと地面を捉えられる。車体を支える上で不安感は無い。

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