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ベスパにはなぜファンが多い? ベスパの歴史を知る。/序章

  • 2019/09/17
  • MotorFan編集部 大家 伝
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世界中で知らない人はいないというくらい、多くの人々が認識しているベスパ。だけど知っているようで詳しくはわからないという話もよく耳にする。そこでモーターファンなりにベスパを取り上げていこうとなった。あなたはどれだけベスパを知っていますか!?
TEXT●大家伝(OYA Den)

まずはネーミングの由来などベスパの基本から

 ベスパ……「耳にしたことがある」、「古いバイクのこと」、「丸みのあるキュートなスクーター!」、それに映画やテレビの劇中車として見覚えがあるなどなど、意外にもベスパのことをなんとなくではあっても認識している人は多い。ただベスパはメーカー名ではないとか、70年を超える歴史あるブランドだとか、これまでどんなモデルがあったのかなどはファンでもなければ知られていないというのが実情だ。そこでプロトモデルから最新モデルまで、改めてベスパの歴代モデルを紹介していくことにする。

 まずベスパが世に登場したのは1946年。現在のプレス発表会的な場で、初めて報道関係者たちの目に触れた。お尻の膨れ上がったボディフォルムは蜂のように見え、ブンブンと聞こえたエンジン音の印象からベスパ(イタリア語でスズメバチのこと)と命名されたのはあまりに有名だ。そして跨がらずに乗車できるステップスルー方式を採用し、"足を揃えたままの乗車姿勢"を実現していたのは"女性にも乗れる"というコンセプトを具現化したからである。
 さらにメインフレーム(=ボディ)には当初からスチールモノコック構造が採用され、駆動部まで含めた一体式スイングユニットを備えていたことも注目を集めた。とくにモノコック構造については4輪で多用される技術だが、スクーターでありながらデビューモデル以降一貫して採用し続けることでベスパのアイデンティティにもなっている。
 一見かわいらしいルックスばかりが取りざたされるベスパだが、ほかにもユーザーライクなポイントがいくつかある。ステップスルーは先に触れているが、デビュー当時の道路舗装事情に配慮し、走行中に跳ね上げる小石や土埃から足元をガードしてくれるレッグシールドの装備。未舗装路はパンク率が高いことから、すぐに対処できるようスペアタイヤを搭載していたこともユーザーの安心感につながった。
 さらにパンク時のタイヤ交換がしやすいようにという理由で、フロントには片持ち式サスペンションを採用していたことも特筆事項だ。搭載しているスペアタイヤに交換することで、すぐに再走行を可能としていた。そのため人々にとって物資などを輸送する手段として、信頼性の高さも評価され支持された要因だった。

 このようにデビュー時から革新的な構造や乗り手に配慮した装備を備えていたベスパは、実に理にかなった実用性部分が大きく評価され、結果的に世界中で愛されるスクーターとなったのである。ちなみにタイミングとして第二次世界大戦の終戦間もない時期であったため、ベスパの実用性は世界中の庶民の生活を支えるべく、多くの国でライセンス生産されるようになっていく。なので可能な限りそうしたライセンスモデルも紹介していければと考えている。

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