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何が変わった? 勝つために進化したサラブレッド「ホンダ新型CBR600RR」、ざっくり解説。

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特にアジア圏で人気となっている600ccプロダクションレースは、若手ライダーの登竜門として欠かせない存在。オートバイ文化の盛んなアジア地域において人気を左右するカテゴリーだけに、各社600ccスーパースポーツの使命は大きい。ホンダから2003年に登場したCBR600RRは、その最先端で速さを競うモデルとして人気の存在。2007年のフルモデルチェンジ以降は2013年に改良が加えられたが、2016年のアジアロードレース選手権でのタイトル獲得以降はライバルの進化に対抗できていなかったのが実情だ。
REPORT●川島秀俊

ホンダCBR600RR……1,606,000円(消費税10%を含む)

 そこで今回、レースで勝つために大幅なアップデートを実施! 改良というにはあまりに大きく進化した新型CBR600RRが9月25日にリリースされる。従来モデルのコンセプトを継承しつつ、大きくポテンシャルアップするために手が加えられた箇所は大きく分けて3つ。その1つ目となるのは、絶対的な速さの源であるパワーユニットだ。
 エンジンはさらなる高回転/高出力化を実現するため、クランクシャフトやカムシャフト、バルブスプリングを高強度材に変更。スロットルボア径をφ40mmからφ44mmへ拡大しつつインレットポート形状をスムーズ化させ、クラス最強の121psを発揮する。従来型の欧州フルパワー仕様が119ps、国内仕様が自主規制で78psだったのに対し、新型は自主規制を撤廃して国内仕様もフルパワーで発売。サーキットでのスポーツ走行が楽しめるよう、スピードリミッターも装備しないという本気仕様だ。

 2つ目となる改良ポイントは、車体の安定性向上。サーキットを舞台に2019年全日本ST600クラスチャンピオンの小山選手をはじめとする現役参戦中のライダー迎えてテストを繰り返し、エンジン性能の煮詰めと合わせて数々のテストを実施。マスの集中や剛性の最適化により、俊敏なハンドリングへと仕上げられた。新型では空力マネジメントも注目ポイントで、MotoGPマシンのRC213Vからフィードバックされたウイングレットの装備もトピック。コーナリング時の安定性向上に貢献しつつ、カウル形状の見直しによって保安部品を装着した量産状態でクラス最少のCD値0.555を達成している。

 3つ目に挙げるのは、最先端の電子制御システムの導入。スロットル・バイ・ワイヤ(TBW)やイナーシャル・メジャーメント・ユニット(IMU)を装備することで先に発売されたCBR1000RR-Rと同等の緻密な電子制御を獲得。5段階のパワーセレクター、9段階+オフのトラクションコントロール、3段階+オフのウイリー制御、3段階のエンジンブレーキ制御からなるメーカープリセットのライディングモードが3種類セレクトできるほか、ユーザーで任意の2モードを設定できるのだ。ABSも緻密な姿勢&慣性計測ができるIMUを活用したシステムに進化しており、コーナリングしながらの制動でも安定した挙動を実現。オプションにてアップ/ダウン対応のクイックシフターも用意し、現在考えられる最高スペックに仕上がった。

 このように、レースで勝つために進化した新型CBR600RRだが、その根底にあるのは扱いやすさを追求した『ジャストサイズのスーパースポーツ』という理想形。新たに装備したアシストスリッパークラッチは性能重視ではあるが、レバー操作荷重が32%も軽減されており、握力の弱いライダーには優しい装備ともいえる。どんなレベルのライダーが乗っても、それぞれのシーンで操る楽しさが味わえる『懐の深い』完成度こそ、新型CBR600RRの魅力といえそうだ。

主要諸元

車名・型式:ホンダ・2BL-PC40
全長×全幅×全高(mm):2,030×685×1,140
軸距(mm):1,375
最低地上高(mm)★:125
シート高(mm)★:820
車両重量(kg):194
乗車定員(人):2
燃料消費率(※6)(km/L):
国土交通省届出値…定地燃費値(※7)(km/h)23.5(60)<2名乗車時>
WMTCモード値★(クラス)(※8)…17.3(クラス3-2)<1名乗車時>
最小回転半径(m):3.2
エンジン型式・種類:PC40E・水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒
総排気量(㎤):599
内径×行程(mm):67.0×42.5
圧縮比★:12.2
最高出力(kW[PS]/rpm):89[121]/14,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):64[6.5]/11,500
燃料供給装置形式電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-DSFI)>
始動方式★:セルフ式
点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式★:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):18
クラッチ形式★:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速…2.615
 2速…2.000
 3速…1.666
 4速…1.444
 5速…1.304
 6速…1.208
減速比(1次★/2次):2.111/2.562
キャスター角(度)★/トレール量(mm)★:24°06´/100
タイヤ:前…120/70ZR17M/C(58W)、後…180/55ZR17M/C(73W)
ブレーキ形式:前…油圧式ダブルディスク、後…油圧式ディスク
懸架方式:
 前…テレスコピック式(倒立サス ビッグ・ピストン・フロント・フォーク)
 後…スイングアーム式(ユニットプロリンク)
フレーム形式:ダイヤモンド

◼道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元) 
■製造事業者/本田技研工業株式会社
(※6)燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
(※7)定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
(※8)WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます

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