伝統のCBに350ccが新登場|インド発のホンダ ハイネスCB350|超ロングストローク型の単気筒エンジン搭載 インド発の新型CB|ホンダ ハイネスCB350は、ボア×スト Φ70mm×90.5mmの超ロングストローク。
- 2020/10/19
- MotorFan編集部 北 秀昭
2020年9月30日にオンラインで発表されて以来、世界が注目するインド市場向けのニューモデル、ホンダ H'ness(ハイネス)CB350。排気量348.36ccの単気筒エンジンは、ボア×ストロークがΦ70×90.5mmの超ロングストローク仕様。ビッグシングルエンジン好きにはたまらない、鼓動感と図太いトルク感が体感できるはず。最新の電子制御システムも導入済みのこのモデルは、日本での発売も期待される魅力的な1台だ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
※注:下記の日本価格は2020年10月19日現在の為替相場で換算したものです
ビッグシングル好きにはたまらない鼓動感!ボアΦ70mm×ストローク90.5mmの超ロングストローク仕様
ホンダ H'ness(ハイネス)CB350 DLX……18万5000ルピー(約26万8000円)
ホンダ H'ness(ハイネス)CB350 DLX PRO(プロ)……19万ルピー(約27万5000円)
インドで予約受付中のニューモデル、ホンダ H'ness(ハイネス)CB350は、高級感を前面に出したネオクラシックスポーツ。空冷4ストローク単気筒SOHC 348.36ccエンジン(バルブの本数は未発表)を搭載した、レトロフォルムのビッグシングルモデルだ。
車名のH'ness(ハイネス)とは、「殿下」の意味。正式なスペルの「Highness」ではなく、あえて「H'ness」としている点も、高貴なイメージを全面に押し出した同車のこだわりが窺い知れる。
インド市場向けに開発されたこのモデルのポイントは、ボアΦ70mm×ストローク90.5mmの超ロングストローク仕様であること。「既存のモデルにはない、鼓動感と図太いトルク感が体感できるはず!」と、国内のビッグシングルエンジン好きからも注目を浴びている。
圧縮比は9.5に設定され、かなり抑制されたイメージ。ミッションは5速を採用。最高出力は21ps(15.5kW)/5500rpmで、最大トルクは3.06kg-m(30N-m)/3000rpmとし、低中回転域で本領を発揮するロングストロークエンジンならではの数値に設定されている。
国内で人気のビッグシングル「ヤマハSR400」はショートストローク型。ハイネスCB350との乗り味の違いは?
国内で人気のビッグシングルマシンといえば、ヤマハSR400。SR400は空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ399ccエンジン搭載。最高出力は24ps(18kW)/6500rpmで、最大トルクは2.9kg-m(28N-m)/3000rpmを発揮。ミッションは5速、圧縮比は8.5、重量は175kg。エンジン始動方式はキックのみで、セルフスターターは省かれている(ハイネスCB350はキックなしのセルのみ)。
SR400のボア×ストロークは、Φ87mm×67.2mmのショートストローク型(絶版のSR500はΦ87mm×84mm)。各車のボア×ストローク比(ストローク長÷ボア径=高いほどロングストローク度が高い)を数値で換算してみると、
・ヤマハSR400……0.772
・ホンダ ハイネスCB350……1.270
つまり、ショートストローク型のSR400と、ロングストローク型のハイネスCB350は、同じ4ストローク単気筒SOHCながら、その特性や乗り味はやや異なると予測。
数値を見る限り、SR400はやや回転を上げてパワーを稼ぐタイプ(MAXパワーは6500回転)だが、ハイネスCB350はロングストロークらしい、中回転域(MAXパワーは5500回転)で楽しめる特性に味付けされている。
備考:「ロングストローク」や「ショートストローク」の違いとは?
ボア(径)とはピストンとシリンダーの直径。ストローク(長)とはピストンが上下運動する距離(長さ)を示す。
ロングストローク型とは、ボア径よりもストロークの長いタイプ。低中回転域でネバリ強い、街乗りしやすいエンジン特性。ショートストローク型は、ストローク長よりもボア径のほうが大きいタイプ。高回転までスムーズに回るレーシーなエンジン特性。スクエアストローク型、ボア径とストローク長が同じサイズのタイプ。
一般的に排気量の大きなロングストローク型は、低中回転域でのモリモリとした太いトルクを活かした、突き上げるような乗り味が楽しめるのが特徴(登り坂でもスロットルをひねれば、力強く走るイメージ)。「回転を上げて走るのではなく、トルクで走る」大排気量でV型2気筒のハーレーダビッドソンは、まさにこれに当てはまる。
一方、排気量の大きなショートストローク型は、高回転域でパワーを稼ぐ、スポーティーでレーシーなエンジン特性(登り坂ではシフトダウンして高回転をキープすれば、スムーズに走るイメージ)。4気筒エンジン搭載のスポーツモデルなどが典型的な例。
ハイネスCB350の各部をチェック
全長2163mmの大柄な車体に、前19インチ&後18インチのホイールを組み合わせ
ボディサイズは全長2163mm、全幅800mm、全高1107mmで、ホイールベース(軸距)は1441mmに設計。車重は181kgで、やや大柄なイメージだ。シート高は800mmに設定されている。
前後ホイールは軽快なデザインのキャスト型とし、フロント19インチ、リヤ18インチの異径に設定。タイヤは前後ともチューブレスタイプとし、フロントには100/90-19、リヤにはワイドな130/70-18の各サイズを選択。
ブレーキは前後ともディスク式を採用。フロントはφ310mmディスクローター+2ポットキャリパー、リヤはφ240mmディスクローターとし、スポーツ走行にも対応しそうだ。タイヤのロックを防ぐ、デュアルチャンネルABSも導入されている。
フレームはセミダブルクレードルフレームを採用
スチールパイプ採用のセミダブルクレードルフレームは、ソフトなステアリングフィールを実現。
フロントに配分される負荷は、エンジンをローポジションに配置し、重心を下げることで最適化。乗り心地や操作性、ハンドリングの快適化に寄与している。
アシストスリッパークラッチを導入
通常のクラッチ機構に比べて負荷の少ないアシストスリッパークラッチを搭載。
このシステムは、スリッパー機能によってシフトダウン時の突然のエンジンブレーキによる不快なショックを軽減。頻繁なシフトチェンジ時の疲労を軽減し、快適性を高めた最新機構だ。
任意にトルクを制御できる最新機能「HSTC」や、音声制御システム「HSVCS」
ハイネスCB350には、ホンダが誇る2つの最新の電子制御システムが導入されている。
トルク制御システムの「ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール(HSTC)」は、急激なスロットルグリップ操作による後輪のスリップを軽減し、様々な状況において安心感をアップ。
Bluetooth接続で連携できる「ホンダ・スマートフォン・ボイス・コントロール・システム(HSVCS)」も採用。このシステムは、スマートフォンにインストールされたライディングインターフェイスを提供し、ナビゲーション、音楽再生、電話、着信メッセージなどの主要機能をサポートする画期的なもの。
なお、メーターには便利なギヤポジションインジケーターのほか、平均燃費、リアルタイム燃費、バッテリー電圧計、燃料警告灯が点灯してからの推定走行可能距離、サイドスタンド警告灯も盛り込まれている。
ビッグシングルならではの、味のあるエンジンサウンドを獲得
エキゾーストシステムは、直径45mmの大型テールパイプを搭載。マフラー容量とのバランスを最適化して、大胆な低音を生み出している。
膨張室には1チャンバー構造を採用し、排気音のシャープネス化を実現。その結果、豊かでゴツゴツしたビッグシングルならではの排気音を実現。また、2層構造によりエキゾーストパイプの熱変色を防ぎ、美しさを維持してくれるのも特徴。
大排気量シングルのネックである振動を削減
シリンダー後部にあるメインシャフトに追加されたウエイトを使用して、シリンダーの前部にあるバランサーシャフトの位置と質量のバランスを確保。
メインシャフト同軸バランサーの採用により、大排気量シングルエンジンのネックだった振動を改善している。
その他のポイント
ホンダ H'ness(ハイネス)CB350 主要諸元
全長:2163mm
全幅:800mm
全高:1107mm
軸距:1441mm
最低地上高:166mm
シート高:800mm
車重:181kg
エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC
排気量:348.36cc
ボア×ストローク:70mm×90.5mm
圧縮比:9.5:1
最高出力:15.5kW(21ps)/5500rpm
最大トルク:30N-m(3.06kg-m)/3000rpm
燃料システム:PGM-FI
ミッション:5速
クラッチタイプ:マルチプレートウェットクラッチ
燃料タンク容量:15L
フレームタイプ:セミダブルクレードルフレーム
キャスター角:27°05′
トレール:120mm
フロントサスペンション:正立型
リヤサスペンション:ツイン型
ブレーキ:
前 φ310mmディスク+2ポットキャリパー
後 φ240mmディスク
タイヤサイズ:
前 100 / 90-19M / C 57H(チューブレス)
後 130 / 70-18M / C 63H(チューブレス)
ホンダ H'ness(ハイネス)CB350 オンライン発表会の模様をチェック!
オンラインの発表会では、懐かしいCB350Fourなど、日本でもおなじみのCBの歴史や伝統も紹介。ホンダ H'ness(ハイネス)CB350が、過去のモデルの血統を受け継いだモデルであることが解説された。
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