【ベスパレストア計画】サンドブラストを試したら、穴が空いてしまった……。
- 2020/11/16
-
増田満
再開した5万円ベスパの復活大作戦。フロアの裏側を素人でも板金風に処理してしまう方法を紹介したが、今回はフロアの表側も処理しよう。裏表が済んだら、いやでもスタンドを取り付けて自立させたくなるもの。そこで今回はスタンドを処理するのに使ったサンドブラストの使い方も交えて紹介しよう。
さてさて、今回もサビ穴だらけのフロア補修からスタートしよう。前回処理したフロアの裏側は2日後に確かめてみると、実に硬く強くなった。こんな処方箋があるならオジさんには朗報なのだが、それはさておき……。
手で触れた感じは鉄板の感触とは違うものの、明らかに強度がありそうだ。身近な例えで言えば、遊園地の遊具や湖などにあるスワン型のボートを思い出していただければいいだろう。ちょうど触った感じはそんな感触なのだ。つまり、そうそう割れたり剥がれたりしないだけの強度を持たせることができたと思う。
劇的な効果にニンマリしつつ、ボディをひっくり返してフロア表側も同様の処理をしていこう。と、ここで問題発覚。タイトル写真を見ていただければ一目瞭然なのだが、フロア裏に塗ったPOR15がサビ穴から垂れ、ボディの表面に付着してしまっていたのだ! これは不覚だが、固まってしまったものは仕方ない。落とす方法を考えつつ、作業を続けよう。
フロア表側にPOR15を塗りつつ、サビ穴を塞ぐ前にフト思った。前回は裏側から作業したので、穴からスプレーしたノックスドールは表側の裏(わかりにくいが2重構造になっているフロアの上の鉄板の内側)に集中しているのではないか。だとしたら、ひっくり返したボディの表側からもスプレーしなければ全面にノックスドールが行き渡らないだろう。そう考え、POR15を塗る作業を一旦止めて、サビ穴からノックスドールを再処方することにした。
前回は言葉だけで説明したが、フロア中央の盛り上がったトンネル部分にはフロアマットを固定するビス穴がある。ここからノックスドールをスプレーしたと紹介した。その模様がこの写真だ。実にビス穴がスプレーノズルの口径とドンピシャ!
前回スプレーしたときは感じなかったが、今回フロア表側からスプレーすると、意外にも各所からノックスドールの溶剤が滲み出してくる。これをそのままにしてPOR15を塗ると、油分が悪さをしそうだ。滲み出てきた溶剤はしっかり拭き取り、念のためパーツクリーナーで処理しておこう。
前回紹介したように、フロア表側に空いているサビ穴にも同じ処理をする。ガラス繊維マットを小さく切り分けて、POR15を垂らしてフロアと同化させてしまう作戦だ。
前回お伝え忘れたが、このガラス繊維マットを切るとガラス繊維が細かくなって空中に舞う。また細い糸状のものが散乱する。これらを吸い込むと体にはとても良くない。というかFRP職人なら誰でも知っていることだが、ガラス繊維は吸い込むと体外に排出されないので、肺などに蓄積されてしまう。有害極まりないので、必ずマスクを着用しよう。
マスク着用はガラス繊維マットを切る作業中だけでなく、サビ処理のためワイヤーブラシで鉄板をゴシゴシしている間も着用しよう。作業中はサビ粉が舞い散るので、絶対に吸い込んでしまう。これも身体に良くはない。
ガラス繊維マットにPOR15を垂らしてフロア表側全面的に筆塗りした。またトンネルとの継ぎ目に見られたサビにも塗っておく。この写真がその模様だが、果たしてこれでPOR15塗装を終了して良いものか。というのも黒く塗った部分にボディと同じブルーを塗ればいいが、ここはフロアマットで隠れてしまう部分。別にこのままでも良いような気がする。これ以上作業するかどうかは美意識の差といえそうだ。
フタを開閉するとサビ粉が落ちてくる始末だったトランク。以前の記事でサビ取りケミカルの実験台になってもらったが、その後放置していたらサビが再発していた……。ということで、こちらもワイヤーブラシでサビ取りした後、POR15を塗ることに。部分的に青い部分が散見されるが、これは筆者が下処理で塗装面を荒らす手間を省いたため。塗料のノリは悪いだろうが、まぁ良しとする。
前回の記事で本来ならボディ全体をサンドブラストすれば理想的にサビが落とせると紹介した。ただ、これだけ大きなモノはキャビネットに入らないので諦めていたわけだが、ボディではないパーツなら試すことが可能。ボディの処理ができたら、次はボディを自立させるためにスタンドをつけたい。でも取り外したスタンドはサビと汚れが盛大に付着している。だったら、これをサンドブラストで処理してみようと考えた。
サンドブラストはガラスビーズなどの粉状の研磨材を、圧縮エアーで吹き付け汚れやサビ、果ては塗装まで剥がしてしまうことができる機材のこと。写真が研磨材で、手で触るとサラサラと本当に砂のような感触。これをブラストキャビネット内側の底に溜めて使用する。
サンドブラストの実験台になってもらうのは、ベスパについていたセンタースタンド。このスタンド、使用するとどうも傾いているように感じたし、スプリングの反発力も弱くなっている。再使用するかどうか迷っていたが、とりあえずサンドブラストでどこまで甦るか試してみよう。
キャビネットへ入れる前にスタンドからゴムを外そう。と思って隙間へ潤滑スプレーをしてゴムをグリグリ回そうとしたのだが、まったくいうことを聞いてくれない。おそらくゴムとスタンドの間がサビで固着しているようだ。
ということで荒技だがゴムとの間に貫通ドライバーを突き刺し、ハンマーで叩きまくることにした。だが、叩いたくらいではビクともせず、叩き入れたドライバーをグリグリと内部でこじり回してみた。その結果左右2つを外すのに15分くらいかかってしまった。ゴムの内部にはサビ粉が1センチ以上溜まっていた。
サンドブラスト機はエアコンプレッサーと接続して使う。ということでコンプレッサーを始動して接続。キャビネットにスタンドを入れたらゴム手袋に手を通して内部にあるスプレーガンから研磨材を吹き付けるのだ。キャビネットの底に白い研磨材が溜まっているが、この程度の量ではなかなかサビや汚れは落ちないので、何度か注ぎ足して作業した。
まぁ、よくあることなのだが、サビで薄くなった鉄板をサンドブラストすると破れたり折れてしまう。なんと今回スタンドをサンドブラストしていたら、サビで固着していたゴムの入っている部分に大きな穴が空いてしまった。これではサビを落とす以前の問題である……。
これだけ脆弱になったスタンドを再使用する気にはならない。ここは素直に補修部品を買って交換することにしよう。ということで今回は残念なオチになってしまった。
【べスパレストア計画】激サビ鉄ボディの補修に金属パテ? いいえ、「ガラス繊維」と「ノックスドール」と「POR15」です!
5万円で手に入れた1978年式ベスパP125Xだが、フロアのゴムマットをめくればサビ穴だらけだった。前回はフロアの裏表にケミカ...
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!
原付免許で乗れるのか……? ハーレーダビッドソンの電動バイク...
- 2019/01/27
- ニューモデル
CBR250RRの贅沢な乗り味はライバル250ccスポーツを圧倒する【...
- 2019/01/23
- ニューモデル
【上下で5800円】“あのワークマン”が本気でバイク用レインウ...
- 2019/03/08
- ニュース・トピック
【トルク3割増】PCXハイブリッドの150cc版に試乗! スタート...
- 2019/08/14
- ニューモデル
出川哲朗「充電させてもらえませんか?」の電動バイクを真面...
- 2019/02/16
- ニューモデル
加速は? 距離は? 電動バイクって実際どうなの? ホンダ PCX...
- 2019/10/11
- ニューモデル
解決します! 交通ルールの素朴なギモン
あおり運転は百害あって一利なし! でも、もしかしたら被害者...
- 2019/09/28
- トピック
【上半身ハダカでバイク運転は許される?】法律上の露出度の...
- 2019/08/12
- ニュース・トピック
【半キャップでのヘルメットで大型バイクは乗ってよい?】現...
- 2019/08/11
- ニュース・トピック
これで完璧!クルマの乗車定員と子供の数え方。【シートベル...
- 2019/08/10
- トピック
自転車用や工事用ヘルメットでバイクを運転!はナニ違反?【...
- 2019/07/18
- ニュース・トピック
50ccで義務の二段階右折。義務のない125ccの原付二種でやった...
- 2019/05/08
- ニュース・トピック
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説
3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひ...
- 2019/10/01
- トピック
3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)っ...
- 2019/11/18
- トピック
スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッ...
- 2019/08/20
- トピック
ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感がある...
- 2019/07/09
- コラム・連載記事
ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
- 2019/06/20
- ニュース
3分でわかる!アシスト&スリッパークラッチって何? 250ccか...
- 2020/01/25
- トピック