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令和の時代を駆けぬけるちょっとやんちゃな「ボーイズ・レーサー」 【東京・奥多摩ツーリング/番外編 スズキ・GSX-R125ABS試乗記】

  • 2021/02/18
  • MotorFan編集部 村上菜つみ
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GSX-R125 ABSは水冷4ストローク単気筒DOHC124ccエンジンを搭載した小型ロードスポーツ。134kgのボディに15PSエンジンの組み合わせで軽快に走ります。写真は2020年発売の100周年記念カラー。

2020年3月15日、スズキは創立100周年を迎えました。それを記念して発売されたのが、この100周年記念カラーのGSX-R125 ABS。2020年FIMロードレース世界選手権MotoGPクラスに参戦するチームスズキエクスターのマシンをモチーフにしたカラーリングが施されています。

REPORT●村上 菜つみ(MURAKAMI Natsumi)
PHOTO●高橋 克也(TAKAHASHI Katsuya)
※取材は2020年に行いました。新型コロナウイルス感染症が流行しています。ツーリング時はできるだけ人混みを避けるなど、感染症予防にご留意ください。

スズキ・GSX-R125ABS……415,800円

デザインも装備も走りも、すべてが本格派。GSX-R125は、小排気量車の枠をこえた魅力満載のマシンです。

GSX-R125は、風洞実験を繰り返して練り上げられたボディワーク、計算され尽くしたダイヤモンドフレーム、そして高出力と扱いやすさのバランスに優れた水冷DOHC4バルブ124cc単気筒エンジンなど、妥協のない作り込みで鋭い走りを実現したマシンです。でも、その他の装備のクオリティが高いのも、見逃せないもうひとつの魅力。走る喜びだけでなく、所有する喜びも満たしてくれるこだわりの一台なのです。

縦型2灯式ヘッドランプの左右にポジションランプが配され、にらみのきいたシャープなフロントマスクを構成しています。
縦型2灯式ヘッドランプの左右にポジションランプが配され、にらみのきいたシャープなフロントマスクを構成しています。
大排気量車にもひけをとらないアグレッシブで高品位なデザイン。つい125ccだということを忘れてしまいそうな迫力です。
ほどよく絞り込まれたハンドルバー、フル液晶ディスプレイを備えた多機能インストゥルメント・パネル、シャッター付きキーシリンダーなどが並ぶコックピット。走りの気分が高まりますね。
軽やかな操縦性とタフなエンジンで、市街地から峠道まで、フィールドを選ばず走りを楽しめるマシンです。

GSX-R125のエンジンは、1万rpmで15PSを発生する124cc水冷シングル。まるで高速域へと背伸びするように滑らかに伸びてゆく小気味よいパワー感が持ち味です。高速側まで回せばスカッと楽しいエンジンですが、そのいっぽう、小排気量にもかかわらず、中低速トルクがたっぷり豊かで乗りやすいのが嬉しいですね。

高速域の瞬発力と中低速域の乗りやすさ、さらに低燃費を兼ね備えたGSX-R125は、ライト・ツーリングにもぴったり。

GSX-R125は、十分なパワーがありながら、ちょっと荒っぽいクラッチワークをしても、フロントが暴れるような扱いにくいマシンではありません。発進加速では、どの回転域からでも押し出すようにスムーズに加速し、そのまま引っ張れば、2速1万rpm付近でやすやすと一般道のスピードリミット60km/hに達します。

すっきりのびる高速域と豊かな中低速を兼ね備えたエンジンが、扱いやすいハイパフォーマンスを実現します。

低速側は3000rpm前後からが実用域でしょうか。試しに20km/hで走行中に6速に入れたままスロットルを開けると、さすがに軽くノッキングが起きかけるものの、大きなストレスなく加速するほどの粘りのよさをみせました。
ただ、いくら低回転域でよく走るといっても、このエンジンの本領はやはり高回転域。きっちり上まで回し、状況とスピードに合わせて丁寧にシフトを合わせ、おいしい回転域をキープすることで、驚くほどスムーズなスポーツ・ライディングが楽しめます。

直径の異なる二つの排気口をもつデュアルエンドマフラー。このデザインが心地よいエキゾースト・ノートを生み出します。

エンジン音は、低回転域でもシングルっぽい鼓動感は薄く、とてもマイルドです。でも回転をあげてゆくと、それが金属的でシャープな咆哮に変わります。高回転域での迫力あるエキゾースト・ノートはGSX-R125の大きな魅力のひとつといえるでしょう。

ブレーキは前後ともパワフルで、しかもナチュラルな効き味。フロントは、レバーの握り始めから握り切りまで、路面にタイヤが吸い付くような安定したストッピング・パワーを発揮します。ゆとりのタイヤ・キャパシティと軽量ボディも手伝って、ブレーキの利きはバツグン。よほどがっちりニーグリップしていないと、フル・ブレーキング時につんのめりそうになるほどでした。

前後にABSを備えたブレーキシステム。ディスクはフロント290mm、リア187mmのペタルタイプです。

ブレーキには前後ともABSが装備されていますが、フロントは、介入時にもABSを意識させるようなはっきりした動作感はありません。いっぽうリアは、ブレーキペダルをガツンと深く踏みきってABSを働かせると、カタカタと音がして、ごくわずかにタイヤがホップする感覚がありました。

サスペンションはストロークが短く硬めですが、初期動作はしっとりソフトで、バンプでも弾んだりばたついたりせず、すばらしい路面追従性を発揮します。フル加速やフル・ブレーキング時のピッチング・モーションもよく抑えられていて、落ち着いた挙動が印象的でした。

ターンインは軽く肩を入れるだけでもOK! すぱっと気持ちよく曲がります。

ハンドリングは、クイックながらも軽すぎない絶妙のバランス。コーナリング時にライダーが前後の荷重配分に神経をつかう必要はほとんどなく、自然なライディングポジションからイン側にぐっと肩を入れるアクションだけでスムーズに旋回が始まります。コーナリング中も、軽量マシンにありがちな不安定さはありません。入り口でいったんリーンアングルを決めてしまえば、出口までぴたりと落ち着いたコーナリングが楽しめます。

新時代のボーイズ・レーサー、GSX-R125。このマシンからたくさんのライダーが育っていってくれると嬉しいですね。

80年代のバイクブームを支え、多くのライダーを育てた「ボーイズ・レーサー」と呼ばれた小排気量ロードスポーツには、青少年の血が騒ぐちょっとヤンチャなマシンが多かったそう。でもこのGSX-R125は、いわば令和の新しいボーイズ・レーサー。しなやかな足とリッチなブレーキ、軽くコンパクトな車体、ほどよいパワーで、ビギナー・ライダーのテクニックをやさしくカバーし、育ててくれるマシンです。
これからGSX-R125に乗る若きライダーたちは、きっと将来、優しいオトナの走りができる素敵なライダーへと成長してゆくのでしょうね。

GSX-R125 主要諸元

車名・型式 スズキ・2BJ-DL33B
全長(mm) 2,000
全幅(mm) 700
全高(mm) 1,070
軸距(mm) 1,300
最低地上高(mm)160
シート高(mm)785
車両重量(kg)134
乗車定員(人)2
定地燃費値(km/h)60.0(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)45.1(クラス 1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m)2.6
エンジン型式 CFA1
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC単気筒
総排気量(cm³)124
内径×行程(mm)62.0 × 41.2
圧縮比 11.0
最高出力(kW[PS]/rpm)11[15]/10,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)11[1.1]/8,000
燃料供給装置形式 フューエルインジェクションシステム
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式
潤滑方式  ウェットサンプ式
燃料タンク容量(L)11
クラッチ形式  湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
 1速 2,923
 2速 1,933
 3速 1,476
 4速 1,217
 5速 1,045
 6速 0,925
減速比(1次/2次) 3,285/3,214
キャスター角(度) 25°30'
トレール量(mm) 93.3
タイヤ
 前 90/80-17M/C 46S
 後 130/70-17M/C 62S
ブレーキ形式 前/後 油圧式シングルディスク(ABS)
フレーム形式  ダイヤモンド

村上 菜つみ

モデル・モータージャーナリスト。
ツーリング雑誌の編集部員を経て、フリーランスとして独立。
オートバイや車での気ままな一人旅を好み、各地のグルメや名湯をレポートし続けている。
月刊モトチャンプにて旅企画「ぶらり二輪散歩」連載中。
FB:https://www.facebook.com/natsumi0606/
Instagram:mi_natsu66

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