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ホンダ新型CRF250L。その進化をひと言で表すなら、ズバリ「軽い!」でした。

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2020年12月17日発売予定だったCRF250L。新型コロナウイルス感染症等の影響で輸送遅延が発生。今春になって、ようやく日本市場にも販売開始された。初代デビューは2012年4月のこと。2017年の熟成を経て、今回はフルモデルチェンジされた第二世代モデルとしての投入である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

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ホンダ・CRF250L.......599,500円

フットワークとスロットルレスポンスが好印象。

足つき性チェック(ライダー大屋雄一:身長175cm/64kg)

ディテール解説

⬛️主要諸元⬛️

⚫️試乗後の一言!

ホンダ・CRF250L.......599,500円

エクストリームレッド
CRF250L〈s〉 (エクストリームレッド)
CRF250 RALLY.......741,400円 (エクストリームレッド)

 コロナ禍、諸々のせいで新型車登場時のインパクトが薄い存在になってしまった様に感じられるのが残念だが、なかなかどうしてこのクラスにおける孤高の存在として見逃せないポジションにあるのが今回のCRF250Lである。
 あえて国内4メーカーでライバルを探すと他に浮上するのはカワサキKLX230しかない。本格派オン・オフモデルの250ccフルサイズモデルはCRFだけ。
 かつては4社が凌ぎを削りあう賑やかな時代があった事を知る筆者にとっては、少し寂しく感じられる一方で人気再燃への期待も感じられ、そんな序章期の再来を彷彿とさせてくれるのが今回のCRF250Lなのである。
 バリエーションはシンプルでカラーもエクスリームレッドのみ。旧型にあったモタード系のCRF250Mは消滅。また選択肢に添えられていたLD(ローダウン仕様)はなくなり、今回は逆によりオフロード性能の高い足の長い〈s〉仕様が選べる設定。
 わかりやすく言うと従来のLD仕様が今回の標準車に昇華している。このほかにはアドベンチャー指向のCRF250 RALLYと同〈s〉があり、ユーザーは4種の中から自分好みの1台を見つけることができるわけだ。
 価格は59万9,500円。一気に約10万円の価格高騰には少々驚かされるが、それだけ今回のモデルチェンジにはホンダ開発陣の大きな意気込みが感じられるとも言えるだろう。

 車両のトピックを探ると、255mmだったロードクリアランス(最低地上高)が245mmになっている。ここで10mm下げたと判断するのは間違い。実は旧型のLD仕様は210mmでしかなかった。つまり実質的なロードクリアランスは30mmも高く設計されている。実際〈s〉タイプのそれは285mmもある本格派なのである。
 シート高はLD仕様と同じ830mm(〈s〉タイプは880mm)がキープされている点が嬉しいポイントである。
 ホンダの公式Webサイトから引用すれば、「オフロード走破性を高める最低地上高の確保と、日常での扱いやすさに配慮した足つき性を両立させたタイプ」と明記されていた。 

 もうひとつ見逃せないのは、車両重量が140kgに4kg(LD仕様と比較すると3㎏)ダウン。4kg差をどう捉えるかは人それぞれだろうが、ABSの搭載等、重量の増加要素もある中で達成された軽量化は立派。
 セミダブルクレードルのスチールフレームやアルミスイングアームも見直され、ステアリングのボトムブラケットにはアルミ鍛造部品が新採用された。
 その他、前後サスペンションもしっかりと熟成進化させている。フロントフォークはストロークアップ。リヤのプロリンクはリンク機構の使用部品が一新されリンクレシオの最適化も施されたと言う。ちなみに〈s〉タイプは前後共に260mmのストロークを誇っている。

 搭載位置を高めてマウントされたエンジンは、スペックデータ的に大きな変更はないが、吸排気系を一新。ツインカムの吸気側カムシャフトも変更された。
 最高出力の発生回転数は8,500~9,000rpmに。逆に最大トルクの発生回転数は6,750~6,500rpmになっている。
 点火タイミング等、諸々細部のチューニングが変更され、高速ではより伸びが良く、中低速ではより柔軟に使える扱いやすい出力特性が追求されたもようである。
 さらに6速トランスミッションのレシオが大幅変更されている点も見逃せない。
 旧モデルのレシオと比較すると1次2次減速比は共通。しかし全体的にワイドレシオとなり1~5速は低めに設定。逆に6速トップは少しだが高めに設定されているのが印象深い。
 またクラッチの操作荷重が20%軽減されたアシストスリッパークラッチを新採用。追加装備されたABSには、リヤの作動をOFFできるスイッチも採用されている。

 

水冷ツインカム4バルブのシングルエンジン。6速ミッションも一新されている。
剛性バランスと軽量化が追求されたスチール製ツインチューブのセミダブルクレードルフレーム。

フットワークとスロットルレスポンスが好印象。

 実は試乗前に仕入れた情報やパッと見も含めて、少し大柄だな~とか、昔の同クラスモデルよりは重いな~等、個人的な主観に基づくマイナス要素を頭に描きながら試乗車をスタートさせた。
 しかし、レバー操作の軽いクラッチをミートしスタートさせた瞬間、その乗り味と動力性能が大きく進化している事に驚かされた。
 ひと言で表すと「軽い!」。
 車体の大きさや重さをライダーに感じさせない軽快感がとても気持ち良いのである。
 パワーも操縦性も自分の手の内に納まる程良い感覚。もっと言うと自分のライディングテクニックが上達したかのような楽しさを直感できる。
 何よりも出だしから歯切れの良い吹き上がり感が爽快。スロットルを少しワイドオープンして行くとグイグイとパワフルな加速力がキープされ、峠道でもメリハリのあるスロットルレスポンスを披露する。
 
 剛性バランスが見直されたフレームやスイングアームを始め僅かながらフロントフォークが立てられた関係か、狭い峠道を駆け抜けるのも素直に扱える。フロント21インチホイール特有の緩慢な動きがいい具合に影をひそめ、ロードモデルとあまり変わらない扱いやすい走りが楽しめた。
 ステアリングのボトムブラケット(三叉)のアルミ鍛造化、ハンドル幅の5mm拡幅もあってか、操舵フィーリングも軽快。そんな好印象は林道に入るとさらに高まってくるのである。
 正直旧モデルでの走りは、重くモタついた印象を覚え、ひと時代前のオン・オフ車の走りが懐かしく思い出されたと記憶しているが、新型はかなり荒れたダートも嬉々として走ることができた。
 こいつは楽しい! 
 さらに確信できたのはMXコースで飛んだり跳ねたりしない限り、多くの一般ユーザーにとっては足の長い〈s〉を選択する必要性を感じないだろうと言う事。
 つまりCRF250 Lはオフ性能も十分に高いレベルを備えているのである。

 ちなみにホンダの公式サイトによれば「On(日常の便利さ)とOff(休日の楽しさ)に磨きをかけた『Evolved ON-OFF GEAR』を開発コンセプに掲げている。
 オンとオフの意味合いも時代と共に少しずつ新しくなっていくのかもしれない。日常的な扱いやすさからオフロードでの走破性まで、その万能ぶりにはますます磨きがかけられ、より魅力的な仕上がりになっていたのがとても印象的であった。            
 なお、ローギヤで5,000rpm回した時のスピードはメーター読みで22km/h。6速トップ50km/hクルージング時のエンジン回転数は3,000rpmだった。
 今回、実用燃費率は計測できなかったが、エンジン出力特性及びギヤリングの変更により、定地燃費/モード燃費共に5%程向上しているのも嬉しい所である。

足つき性チェック(ライダー大屋雄一:身長175cm/64kg)

写真のモデルはゆとりのある体格だが、両足は楽々と地面を捉えられている。日常での扱いやすさに配慮され、扱いやすい。ちなみに身長168cmの筆者では、ギリギリながらも両足の踵まで地面につく。

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