機械式スーパーチャージャーの知られざる本質

2019/07/20
Motor Fan illustrated編集部

日産の1.2リッター直噴スーパーチャージャーエンジン：HR12DDRエンジン

イートンのS/C・TVSのカットモデル。内部での空気の逆流は矢印で示した４ヵ所で発生し、そこから空気が逃げ、過給の効率が落ちてしまう。この部分のクリアランスをいかに詰めるかが、S/Cの性能を左右する。形状が複雑なのでコーティングはできないそうで、純粋に機械加工だけで圧力を保持する。

スーパーチャージャーとターボチャージャーの過給レスポンス。エンジニアリング企業が作成したS/CとT/Cの過給圧立ち上がり速度の比較。圧倒的にS/Cの方が速い。ただし、点火タイミングやバルブタイミングの制御如何でT/Cにも改善の余地はあるので、参考としてご覧頂きたい。

ツインチャージャーにはS/C→T/CとT/C→S/Cの２種がある。T/C→S/Cはレスポンスが速く燃費にも貢献度が高いが、インタークーラーを二重につけなければいけない等、既存のターボエンジンにS/Cをアドオンするだけでは成立しない。メーカーがS/CかT/Cかを検討する場合、圧倒的多数派であるT/Cシステムを前提とするが、T/CをS/Cにする時には点火タイミングやバルブタイミングをS/Cに合わせる必要があり、それを考慮しないでT/Cありきで話を進められると、なかなかS/Cのメリットは理解されない。

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