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見た目以上に乗りやすい!? 400クラスの新作シングルスポーツ 話題の新作、ハスクバーナ“スヴァルトピレン401”街乗り徹底試乗

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東京&大阪モーターサイクルショー2018で展示され(またがることもできた)、その斬新なスタイリングから大きな話題となったハスクバーナ・スヴァルトピレン401に試乗。水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒、373ccのエンジンは、日本の道路事情にも最適だった。
REPORT●近田茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ハスクバーナ・SVARTPILEN 401:……777,000 円

歴史ある北欧メーカーの最新作

 思い起こせば昨年のEICMA2017(ミラノショー)で一番のサプライズは、ハスクバーナヴィットピレン701の登場だったと思う。筆者にとってハスクバーナと言えばオフロード系のバイクメーカー。元を辿ればミシンやチェーンソー、芝刈機等を製造するスェーデン・メーカーとしての記憶がある。
 バイクに関しても既に100年以上の歴史を誇るが、同部門はイタリア・カジバグループの傘下に入ったり、比較的最近ではBMW傘下を経る等紆余曲折の後、KTM傘下として現在に至っている。

 ハスクバーナについて、記憶として鮮明に残っているのは1960~1970年代のモトクロス及びエンデューロ世界選手権で圧倒的な強さを発揮していた事。オフロード系では右に出る者はいないという最強のイメージが定着していた他、後にはスーパーモタードでの世界チャンピオンマシンに輝いた。

 国内にもごく少数が輸入販売されてきたが、コンペティションマシンに保安部品を取り付けたようなモデルが主流なので、そのレベルの高い高性能ぶりがファンを魅了する。実際筆者にとっても、縁の少ないモデルではあったが、オフロードマシンとして敬意を抱ける個性的ブランドのひとつとしての認識を持っていた。

 それだけに、ヴィットピレン701とその派生モデルのヴィットピレン401、スヴァルトピレン401の日本市場への投入のインパクトは非常に大きなものだったのだ。前述の通りハスクバーナがロードスポーツモデルを展開するなど、考えも及ばなかっただけに、この3機種の投入はまさかの展開。心底驚かされたと言うわけである。


意外なほどに完成された走行性能

 そして今回、“黒い矢”を意味するスヴァルトピレン401に試乗する機会を得た。ストリートへの復活として登場したシングルスポーツモデル。白いヴィットピレンと基本的に共通だが、スヴァルトピレンはオフロードテイストを加味したクロスオーバーモデル。ニッチな市場開拓を担う試金石である。

 スヴァルトピレンは、前述の通りヴィットピレンと共通のフレーム&エンジンながら、パイプのアップハンドルバーにはブリッジバーを加えて剛性強化。幅もワイドで肘を左右に張り出す姿勢も許容する。低い前傾姿勢を決めるヴィットピレンとは異なる乗り味をもたらしてくれるのである。そして装着タイヤはダートでのトラクションも頼れる大胆かつ溝の深い独自パターンを採用したピレリ製スコーピオンラリーSTRを履いているのが特徴だ。

念のため報告しておくと、車体もエンジンも基本的にはKTM 390DUKEがベースになっている。同ブランドにはスーパースポーツのRC390もあるが、より親しみやすいストリートスポーツのブランニューとしてハスクバーナブランドを活用しての投入だ。

 とはいえ一番驚くべきは、水冷DOHC4バルブの単気筒エンジンを積みながらも約150kgの車重に納め切っていることだ。かつて国内にも同様なカテゴリーが人気を集めた事はあったが、代表例のヤマハSRX400(1985年発売のシングルスポーツ)は、乾燥重量が149kgで空冷のOHCエンジンを搭載。最高出力も33ps /7000rpmに過ぎなかった。今回のスヴァルトピレン401は約43ps /9000rpmを発揮。水冷なのに空冷並みの車重という点も素晴らしい。

 ワイドハンドルや835mmという高めのシート高も相まって、ホイールベースもSRXの1425mmに対してスヴァルトピレンは1357mmに過ぎない。パッと見250㏄クラスかと思えるほどスマートだ。取り扱いも至って軽快。当時とは計測方法が異なることもあって、実質的にはSRXより5~10㎏は軽量であると思われる。そこにDUKEでも定評のある最新鋭エンジンの採用となれば、その走りも大いに期待できるわけだ。

 実際、それはエキサイティングでとても気持ちよい。絶対的なパワーでこれに勝るエンジンはいくらでもあるが、気筒当たり373㏄ 、φ89mmのビッグボアから得られる一回当たりの爆発エネルギーは実に頼もしい。低回転域でシフトダウンを不精するとギクシャクする傾向はあるが、スロットルONなら意外にネバリ強く、逞しいレスポンスを発揮してグイグイと加速する。
 一般的な感覚で言えば、このエンジンは8000rpmも回せば十分に鋭いハイパフォーマンスを発揮。ストリートファイターとしての動力性能は申し分無い。7000rpmを超えるとメーター天辺にある赤いシグナルが点滅しそれを知らせてくれるが、アクセルを開け続けると回転計の表示は難なく1万rpmを超えていく。エキサイティングな噴き上がりと伸びの良さも気持ち良く、なによりそこに伴うパフォーマンスとエキサイティグな雰囲気が、ストリートマシンとしての程良さを覚える。

ラリータイヤと舗装路面の相性は良好

 例のラリータイヤは見た目よりもロードノイズが少なく舗装路でのマッチングもなかなかのレベル。幅広のハンドルのせいもあって、操舵フィーリングは軽快で実にシャープ。コンセプト通り、フラットダートで押さえの利く姿勢も取りやすい。ただステアリング周辺のワイヤーハーネスやケーブル類の取り回しが窮屈で、操舵フィーリングを若干スポイルしていたのが気になったが、基本的に操縦性は素直で軽快感がありとても扱い易いものだった。

 丸形液晶表示メーターにある回転計は目盛りが500rpm毎なので、大雑把な表示だが、6速トップギヤで3500rpm回した時の速度計は54㎞/h。計算上で100㎞/hで約6500rpm回る。レシオはDUKEと同じ。個人的な好みを言うともう少し高めの方が良いとも思えたが、通常走行では、力半分のユトリを持って穏やかな走行フィーリングを示してくれたのも好印象。

 シングルならではの出力特性と軽量コンパクトな車体との組み合わせを披露してくれたことに改めて大きな拍手を送りたくなった。そしてもうひとつ、この手の製品が注目を集めれば、あるいはヤマハ“SRX250WR”の登場も期待できるかもしれない!?などと別の事にも考えが及んでしまった。いずれにせよ、シングルスポーツの動向には、今後も目が離せない。

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