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新型スズキ・カタナは写真より現物! 眺めるより乗れ!〈四輪エディターによる二輪試乗記〉

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スパッと切り落とされたリヤビューは最高にアグレッシブだ。テールランプの造形も個性的で主張が強い。

低中回転域からゴリゴリと加速する!

 そして今回、いよいよ実際に走らせることになった。

 跨がった瞬間、思わずニヤリとしてしまった。

 シートが高いのである。シート高は825mmとスーパースポーツ級で、身長174cm&体重76kgの筆者が両足を下ろすと、ブーツのカカトが傍目には着いているように見えるが、実際にはほとんど体重が掛からずつま先立ちのような状態になる。

 これが前述の幅広ハンドルと組み合わされることで、アップハンドルながらアグレッシブなライディングポジションを生み出す。スーパースポーツやモタードに乗り慣れた猛者なら、跨がった瞬間に戦闘スイッチが入るだろう。

液晶ユニットはGSX-R1000Rと共通で、いわばスズキのハイエンド仕様。表示内容はカタナ専用に再構築されている。

 スズキお得意のイージースタートシステムにより、スターターボタンを軽くワンプッシュするだけでエンジンはあっけなく目覚める。アイドリング音はかなりの迫力だ。

 これまたスズキならではのローRPMアシストの恩恵により、クラッチレバーをリリースすれば車体はスッと前に出る。

 アクセルグリップのワイヤーの巻き取り部を真円としないことで開け始めのスロットル操作を穏やかにする「プログレッシブスロットル」を採用しているとはいえ、それでもやはりレスポンスは鋭い。このエンジンの出自がスーパースポーツにあることを感じさせる。

シート下のスペースはご覧の通りミニマムだが、タンデムシート下の右サイド(写真上方)、バッテリーの脇にETCユニットを収められる。

 だが、スーパースポーツ系だからすなわち典型的な高回転型エンジンかと言うと、必ずしもそうではない。なにしろ中回転域のトルクが凄まじく、3000〜5000rpmあたりのゴリゴリとした手応えが特徴的だ。加速そのものも強烈なのだが、常にエンジンを回している実感が得られるゆえ、とくに飛ばさなくても気持ちがいい。

 148psもの最高出力を誇る4気筒ながらこれほど濃密な味があるとは、さすがは名機との誉れ高いK5ユニットである。

エンジンは2005〜08年のGSX-R1000に搭載されていたK5ユニットがベース。中回転域でのゴリゴリとした感触がたまらない。

 着座位置が高く、前寄りのライディングポジションは、走り出せば利点が際立つ。まず、街乗りではアップライトな姿勢でとっても楽チン。そしてポジションの自由度が高いため、ワインディングやサーキットでは思いのままに荷重移動ができるだろう。基本的にはフロントタイヤに荷重を乗せやすいポジションだが、フロントシート後方に尻がピタッと収まる場所があるため、必要とあらばリヤタイヤにもしっかり荷重を掛けられる。そして高速巡航時にも、この後ろ寄りの場所に座るのはアリだろう。

 このアグレッシブかつ自在に荷重移動できるライディングポジションを知ってしまった今、少なくとも自分がカタナのオーナーになったらハンドルを交換することはないと断言できる。

迫力のあるエキゾーストサウンドも新型カタナの大きな魅力。リプレイスマフラーの出番はない?

 かようにバイクは乗らなければわからないものである。とく新型カタナは、質感の高さ、懐の深い乗り味など、実物に接することなしに本当の魅力を知ることはできないバイクと言えそうだ。

 逆にもしもアナタが写真を見るだけで新型カタナに魅せられてしまったのであれば、安易に試乗はしないほうがいいだろう。その晩、預金通帳とにらめっこをする羽目になるからだ。

スズキ・カタナ
全長×全幅×全高:2130×835×1110mm
ホイールベース:1460mm
シート高:825mm
装備重量:215kg
WMTCモード燃費:19.1km/L(クラス3/サブクラス3-2/1名乗車時)
最小回転半径:3.4m
エンジン形式:水冷4サイクル直列4気筒DOHC4バルブ
総排気量:998cc
内径×行程:73.4mm × 59.0mm
圧縮比:12.2
最高出力:148ps/10000rpm
最大トルク:107Nm/9500rpm
燃料タンク容量:12L
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
トランスミッション:常時噛合式6段リターン
フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター / トレール:25°/ 100mm
フロントブレーキ形式:油圧式ダブルディスク(ABS)
リヤブレーキ形式:油圧式シングルディスク(ABS)
フロントタイヤサイズ:120/70ZR17M/C(58W)
リヤタイヤサイズ:190/50ZR17M/C(73W)
乗車定員 :2名
車両価格:151万2000円

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