東京モーターショー2019で実車にまたがってチェック! ホンダ編その1 身長163cmの日本男子|東京モーターショー会場のバイク(ほぼ)全部の足つき性をチェックしてみた♯1【東京モーターショー2019】
- 2019/10/29
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増田満
「最近の新型車はシート高が高くてね」とお嘆きの貴兄が多いのではないだろうか。筆者もその一人。というのも、身長が低く短足なため、バイク選びでは足つき性が重要項目になるのだ。そこで気になる新型車はどうなのか。昭和30年代の平均身長(163cm)しかない筆者が一気に28台で試してきた。まずはホンダ車から紹介しよう!
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kosaku)
足つき性を気にするのは女性ばかりではない! と声を大きくして言いたいのだが、なかなか世の中そうは思ってくれない。「え、大丈夫でしょ」とか「何とかなるよ」と、こちらの悩みを理解してもらえることは少ない。そう、身長が低いと足が付かない=バイクを自立させられない=好きなのに乗ることができない、という悲劇が待っているのだ。これは身長が低いことだけではなく、悲しいかな日本人の特徴でもある「短足」な場合に顕著になる。
また、最近の新型車はシート高810mm以上なんて数値が当たり前になってきた。純日本人的体型(短足)だと、810mm以上高いシートにまたがるのは正直言って厳しい。カッコいいし高性能だから乗ってみたい!と思っても、諦めてしまうのが低身長・短足の悩みだ。今回はそんな悩みを嘆く貴兄を代表して、筆者が東京モーターショー2019の会場に展示してあるバイク28台で試してきた。
ちなみに筆者は身長163cm、体重50kgの小柄なオッサンだ。昨年までは56kgほどあったのだが急激に痩せてしまったので、身長ももしかしたら縮んでいるかもしれない・・・。50kgしか体重がないので自重によりバイクが沈むことは100%期待できない。シート高がまんま足つき性に直結する。はてさて、結果はどうなったのだろう。
ホンダCBR650R
まず試したのはホンダCBR650Rだ。648ccの水冷直列4気筒DOHCを搭載するロードスポーツモデルで、コンパクトなフルカウルを装備。中間排気量のスポーツモデルはツーリングからサーキット走行までこなせる実力。身長問わず試してみたい人が多いことだろう。筆者がまたがると両足同時では爪先立ち。ただ207kgの車両重量だから支えることはできそうだし、お尻をズラして片足立ちになればカカトまでベッタリ付くから不安感は少ない。タンクを抱えるようなポジションは自然な前傾姿勢で、ロングツーリングにも使えそうだ。
ホンダCBR400R
続いては399ccの水冷直列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載するホンダCBR400Rを試してみた。こちらは2気筒なのでCBR650Rよりさらにスリムで車両重量も192kgと軽い。両足同時では土踏まず付近まで接地。お尻をズラせばカカトまでベッタリになり、CBR650Rよりお尻をズラす幅も少ない。これなら問題ナシだ! CBR650Rより穏やかな前傾具合になり、タンクとの距離もちょっとだけ離れるポジション。何も文句なしで、これならデイリーユースからロングツーリングまでOKだ。
ホンダCBR250RR
250ccフルカウルのスーパースポーツ市場で真打になりつつあるCBR250RR。同じ2気筒エンジンでもCBR400Rより一回り小さな車体は165kgしかない。足つき性が良いとは言えないが、軽量スリムな車体だから不安感は少ない。両足同時だとCBR400Rより悪く、土積まずまで接地しない。以前試乗した時の経験から、ポジションは前傾姿勢が強調された感じなるのだが、それが辛くなるほどでもない。車体が軽くヒラヒラと曲がっていくので、デイリーユースより峠を攻めるのが楽しいだろう。
ホンダCB400SF
CB400SFが登場した当時は、そのスタイルやエンジン、走りの良さに心躍ったもの。それから早くも27年以上が経ったわけで、今さら足つき性なんて確認しなくていいだろうと思った。でもでも、またがると随分と印象が違う。昔とはデザインが違う外装なので、またがった瞬間に体が触れる部分が変わったかのように感じる。両足同時だと土踏まずの先端が接地する感じで、前傾にならないポジションだから不安感は少ない。さらにお尻をズラすと片足はベッタリ着地。車両重量は立派なもので、201kgの堂々たる重さ。市街地では片足ベッタリじゃないと不安になるかもしれない。
ホンダCB1100
クラシカルなスタイルに伝統の空冷直列4気筒DOHCエンジンを搭載するCB1100も、発売されたのは2010年だからすっかりお馴染み。過去に試乗した時には「足つき性がよくて体格を問わない」というのが第一印象だった。ただその後、2014年からシートクッションを改善して20mm高くなった。だから今回、久しぶりにまたがったら、普通の大型モデルと変わらない印象になってしまった。ただ、これはこれでロングツーリング時に有効だろうから否定はしない。発表されているシート高は785mmなのに、もっと高くなったように感じた。お尻をちょっとだけズラせば片足はベッタリ着地する。
ホンダCB1300SF
車両重量268kgと聞いただけで尻込みしてしまうCB1300SUPER FOUR(以下CB1300)。水冷4気筒DOHCエンジンは1284ccの排気量になるのだが、そんなことよりもデカい車体が印象的。当然またがると完全にバイクに体が負けている印象。シート高は780mmしかない設定だが、ワイドなシートとタンクからサイドカバーへのラインが足を外へ押し出してしまう。だから足つき性はここまでで一番悪い結果になってしまった。
ホンダ・レブル250
2017年に新型となったレブルは過去に500を試乗している。この時にも足つき性に不安を覚えたことは皆無で、500で190kg、250だと168kgと軽量だから取り回しやUターンでも気楽に操作できる。シート高は250・500ともに690mmで、スリムなシート・タンクが足を邪魔しないから膝を曲げても両足がカカトまで着地する。身長160cm以下の人でも安心して取り回せると思われる。ライディング中も膝で車体をホールドしないスタイルになるだろう。
ホンダCB250R
249ccの水冷単気筒エンジンは、フルカウルのCB250RRと違い日常域での扱いやすさ、軽快なコーナリング性能を追求している。街中走行が多くなるだろうから、足つき性は重視したいところだが、これが意外に悪い。シート高は795mmで車両重量が144kgなので、もっと安心できるのかと思っていた。だからかもしれないが、悪い意味で期待を裏切られた。片足になればカカトまでベッタリ着地するし、車体が軽いから不安感はない。難癖つけているみたいな気分になってきたが、足つきが良くなくても大丈夫な気持ちになれるはず。
ホンダCB650R
今年3月に発売されたばかりのホンダCB650Rは最新ネイキッドスタイルを纏う中間排気量モデル。古いヨンフォアのような4本並ぶエキゾーストパイプのデザインなど、今最も筆者が注目しているモデル。私情を挟むつもりはないが、またがると実にしっくりきた。CB250Rよりハンドルが遠く前傾気味のポジションになるのだが、その状態で足を出すと両足とも土踏まず付近まで着地する。手足を投げ出すと、そこにハンドルと地面があるような印象。さらにお尻をズラせば片足はベッタリ着地する。不安はほぼなく、街乗りからツーリングにまで活躍してくれそうだ。
CB1000R
最新ネイキッドスタイルのCBーRシリーズ最大排気量となるCB1000Rは、すでに高い評価を得ている定番モデル。ただ、このスタイルを見て身長が低い筆者などが乗れるのか、と不安に思っていた。実際にまたがると、結果は写真の通りでかなり厳しい。今回はアフターパーツを使ってカスタムされた参考出品車だったのでノーマル車では印象が変わるかもしれないが、ハンドルが遠いので自然と前傾になるポジション。これで両足は爪先ツンツン。お尻をズラしても片足ベッタリとはいかず、「オレには無理」という印象。各方面で絶賛されているので、ノーマルにまたがってみたいところだ。
ホンダCRF1100L Africa Twin
フルモデルチェンジしたばかりのアフリカツインは、CRL1000LからCRF1100Lと改められたようにエンジン排気量を拡大して102psへ7psアップした。だが、そんなこと身長の低い筆者からすると関係ない世界のことにしか聞こえなかった。事実、CRF1000Lのアフリカツインに乗ろうとしたのだが、またがっても片足すら着地できず、サイドスタンドすら払えない。到底乗れるものではなかった。だから今回も始めから諦めていたのだが、またがって「アレ?」となった。両足同時でも爪先が着地するのだ。説明員が近くにいなくて聞くことができなかったが、これはおそらく「ローポジション」だったのだろう。その場合、シート高は830mmから810mmへと改善される。でもこの巨体を支えるのは根性が必要だろう。
ホンダ・ゴールドウイング
アメリカで爆発的に売れているゴールドウイングは、日本国内にも根強いファンが多い。確かに1833ccもある水平対向6気筒エンジンには独自の世界があるのだろう。さらにこの車格。全長は2475mmに達し車両重量は365kg。シート高が745mmと低く発表されていて、またがると確かにシート自体は低い。だが、デカいアメリカ人のお尻を支えるシートはソファのように幅広く、短足な筆者の腿を外へ押し出す。一旦走り出してしまえば盤石の安定感なのだろうが、これを一般道に出す気になるほど筆者は太っ腹じゃないのが悲しい。
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