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10年使える電動スクーター「ベスパ・エレトリカ」。巡航速度は70km/h!| EICMA2019

  • 2019/11/13
  • MotorFan編集部 大家 伝
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ベスパ・エレトリカを「それは電動スクーターではなく、私たちの現代性とこれからの時代の両方を象徴する最高の技術的内容を持つ芸術作品」と表現するピアッジオ。イタリアの技術の最も現代的なアイコンだとも。そのピアッジオが総力をあげて取り組む電動モビリティが、これまでのものよりも格段に進化を遂げてEICMAでの発表を迎えた。
TEXT●大家伝(OYA Den)

都市部での通勤使用で10年乗れる!?

 まずエレトリカは、純粋な都市での使用のために生み出された電動モビリティである。オリジナルバージョンでは最高速度45km/hというスペックを備えていたが、今回のEICMA2019での発表モデルは70km/hにまで大幅なスペックアップを果たしている。ピアッジオによれば「さらにパワフルかつ静音性を高め、環境にも優しい」としている。

 エレトリカはすべてのコンポーネント(パワーユニット、車両管理システム、バッテリーパック)の一般的な最適化によりスペックアップを実現し、モーターサイクルとして認定されたとのこと。ECOモードでは最高速度45km/hで、100km程度の移動が可能。そしてパワーモードでは70km/hで、最大70km程度を移動出来るそうだ。またバッテリーはオリジナルバージョンのサイズと重量を保持しつつ、より高い連続出力の提供が可能なように変更。これは電気モーターの制御ソフトウェアの改善によって実現している。

 このパワーユニットからは3.6kWの連続出力と4kWのピーク出力を供給でき、200Nmを超えるトルクと組み合わせることで従来の50ccスクーターに劣らない加速と登坂力も実現。都市部での機敏で楽しい乗り心地の提供を可能とした。また高い静音性により、騒音の面でも環境に配慮したものとなっている。

 そして最大100kmの移動を可能としているが、これは最新のリチウムイオンバッテリーと減速段階で充電する効率的な運動エネルギー回復システム(KERS)によるもの。充電操作は考えられる最も簡単なものであり、リチウムイオン電池は最新のスマートフォンの電池と同様に特別な予防措置が必要ない。充電に際しては通常モデルの燃料キャップが配置されている座席コンパートメントからケーブルを抜き取り、コンセントまたは大都市で増え続ける公共充電ステーションの1つに差し込むだけ。フル充電に必要な時間は4時間(電圧220 V)とのこと。

 使用されるモーターとバッテリーパックは完全にメンテナンスフリーで、とくにバッテリーは最大1000回のフル充電を可能としている。これは50,000~70,000kmの移動に匹敵するという数値なので、都市での通勤を目的とした車両の約10年分に相当するそう。ちなみに数千回の充電サイクルの後でも、バッテリーは容量の80%を維持し、完全に使用可能だという。
 ヘルメットコンパートメントの下にあるコンパクトバッテリーパックは、エレトリカのシートコンパートメント機能を損なわない。モーターの出力制御はRide by Wireでコントロールされ、ハンドル右側のMAPボタンを操作することで リバースモード、ECO & パワーの2つの運転モードから選択が可能。

 エレトリカには、スマートフォンを車両に接続するマルチメディアシステムも搭載。このVespa Multimedia Platformは最新バージョンにアップデートされ、デジタル計器盤を組み込んだマンマシンインターフェイスで管理することが可能。4.3インチのカラーTFTディスプレイは、文字の背景と色を周囲の光の状態(デイ/ナイトモード)と4つの調整可能な輝度レベルに適応させるトワイライトセンサーにより常に見やすいものとしている。
 また表示される広範な情報はグラフィック化されて表示され、画面中央には速度、選択されたライディングモード、km単位の残存距離、バッテリー充電レベル(%)などの主な情報が常に表示される。さらに専用のVespaアプリとBluetoothを介してスマートフォンを接続すると、TFTディスプレイの機能を最大限に活用することも可能となる。
 このシステムではハンドルバーボタンを使用して通話に応答したり、スマートフォンの音声コマンドを使用して電話をかけたり、自分のプレイリストから音楽を再生したりすることも可能だ。そうした機能をすべて、イヤホンとBluetoothインターホン内蔵の専用ヘルメットで操作出来るのもポイントだ。これは純正アクセサリーとして用意されるヘルメットの右側に装備する、コントロールブロックの便利なジョイスティックで管理するというもの。

 ボディ周りに関しては、もはや伝統と言えるスチールモノコックボディを採用。専用カラーリングによってエッジが強調され、美しさが際立った印象だ。車体は特別なグレー仕上げとされ、レッグシールドモール、ホイールリムの縁、シートトリムなどにカラーバリエーション(Azzurro Electrical、Verde Boreale、Giallo Lampo、Cromo、Nero Profondo、Grigio Fumo)を設定。70km/hバージョンではGiallo Lampo、Azzurro Elettrico、Cromo、Nero ProfondoGA設定される。

 さらにカスタマイズされた「トータルルック」のコンセプトに沿って、エレトリカ専用のジェットヘルメットも用意される。これは車体カラーとマッチングさせられるだけではなく、内臓のBluetoothイヤホンによりスマートフォンを介したVESPA MIAシステムで音楽を聴くことも可能としている。
 またフロントヘッドライトとリアライトクラスターにはLEDテクノロジーを用い、人間工学に基づいて設計されたシートが快適さを約束。ビルトインされたバイクファインダー機能(方向指示器を点滅させる)とシートコンパートメントを開く機能をリモートコントロールキーによって管理でき、フロントトランク内にスマートフォンやその他のモバイルデバイスを充電するためのUSBソケットも備えている。

「Elettrica」主要仕様諸元

70km/hバージョン

全長×全幅×全高:1,870mm×735mm×ーーmm
シート高:790mm
軸間距離:1,350mm
車両重量:ーーkg
モーター:ブラシレスモーター×KERS(Kinetic Energy Recovery System/運動エネルギー回収システム)
パワー:3.6 kW(4kWピーク)
トルク:200N・m(ホイール)
バッテリー:4.2kWhリチウム電池、LG Chemセル、内蔵バッテリー充電器
バッテリー電圧:48V
バッテリー容量:86Ah
充電時間:4時間(220V)
フロントサスペンション:シングルアームフォーク(コイルスプリング×油圧式モノショックアブソーバー)
リアサスペンション:油圧モノショックアブソーバー
ホイールサイズ(前/後):アルミダイキャスト製3.00x12”/アルミダイキャスト製3,00x11”
タイヤサイズ(前/後):110/70-12/120/70-11
フロントブレーキ:φ200mm油圧式ディスク
リアブレーキ:φ140mm機械式ドラム

オリジナルバージョン

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