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世界のバイク市場を牽引するのは125ccクラス。ホンダが展開する二輪事業全体戦略とは

  • 2019/12/23
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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軽量&高剛性を両立した新型フレーム「ESAF(Enhanced Smart Architecture Frame」採用の、インドネシア生産110ccスクーター「Genio(ジェニオ)」。

ホンダは世界戦略や国内市場に関する見解を示した「二輪事業全体戦略」を発表。世界を制するには、燃費性能に優れ、パワフルで実用的な125ccクラスが鍵となるのか!? 二輪事業全体戦略における話題は今後の市場の主役となるエリアや国々、生産やコストダウンの方法、世界で戦うための、国内での体制変更まで展開された。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

燃費が良くてパワフルな125ccクラスは、世界規模で人気

 現在、世界のバイク市場の主役は、アセアン諸国、南米、アフリカの各国に移りつつあり、特に近年は、インドやブラジルにおけるモータリゼーションの発展は目覚ましく、バイクの需要は拡大している。
 排気量でみるとスーパーカブなど、燃費が良くてパワフルな、極めて実用性の高い125ccクラスの需要は群を抜いている。もともとホンダは小型車に強い!ということに加えて、2019年にMoto GP、モトクロスGP、トライアルの世界3大レースを制覇し、ブランド力をさらに向上したことも、シェアの獲得に貢献したと言えるだろう。

ホンダが考える「世界戦略における今後の課題」とは?

インドネシアで生産中の110ccスクーター「Genio(ジェニオ)」。
 ホンダでは、今後の世界戦略の1つとして、『成長から成熟』への転換を挙げている。
 例としては、海外に工場を持たず、各国のメーカーと提携すること。これにより部品生産の効率化などが狙え、コストダウンが可能となる。

 特に中国に続く、世界最大規模の市場であるインドでは、ヨーロッパの環境基準である「ユーロ4」や「ユーロ5」レベルの厳しい環境規制「BS6」が制定。これに対応するため、ホンダでは部品生産を効率化させ、コストダウンに成功した新型スクーターを発売した。
 その結果、車体価格を大幅に引き上げることなく、インドを含めた南西アジアの農村部のシェアも拡大。125ccクラスの販売促進に成功した。

 インドネシアでは、部品生産の効率化を図った110ccスクーター「Genio(ジェニオ)」を発売。軽量かつ剛性の高い新型フレーム「ESAF(Enhanced Smart Architecture Frame」を採用し、軽快な走りを実現した「Genio(ジェニオ)」は、インドネシアでも好調な売れ行きを見せている。

軽量と高剛性を両立させた新型フレーム「ESAF(Enhanced Smart Architecture Frame」。
シンプルな液晶メーターを装備。
燃費を向上させるアイドリングストップ機能を装備。

ホンダの二輪部門は「ものづくりセンター」を開設し、スピード感を向上

 現況の国内市場は、原付2種の125ccクラスは人気が持続。一方、50ccなど、“日本専用車”の販売台数は、年々減少している(※表1参照)。ホンダでは、125ccクラスなど、海外での販売を視野に入れたモデルを今後とも積極的に開発・リリースしていく予定だ。

 国内・海外を問わず、気を付けなければいけないのは、排ガス規制が厳しくなると、開発費がアップしてしまうこと。これを100%車両価格に反映させてしまうと、ユーザーのバイク離れが加速する恐れがある。

 開発時のコストをいかに下げるか? これはホンダを始め、メーカーにとっては、もっとも頭の痛い課題だ。

 これに対応するため、2019年4月から、ホンダは二輪部門において、「ものづくりセンター」を開設。今までは、「本田技研工業」と「本田技術研究所」が別会社として存在していたが、既存の“縦割り構造”を解消するため、「ものづくりセンター」として、開発・製造・販売を一体化させた。

 世界的視野で見た場合、今、中国やインドのメーカーの技術力や生産力が、急速に伸びている。「ものづくりセンター」の開設より、社内の意思統一が図られ、生産のスピードアップ(決めたことを即座に実行する)=コストダウンにつながるのが大きなポイント。これにより、中国やインドのメーカーが持つ、スピードやコストに対応していく模様だ。

 なお、国内において注目されるのは、熊本工場などで生産される、高価な大型モデル。これらは“メイド・イン・ジャパン”として、今も昔も、欧米などでは評価が高いのが特徴。ホンダでは、「日本で生産するという意味は非常に大きい」という見解を示している。

※表1:二輪車販売台数

日本自動車工業会調(http://www.jama.or.jp/industry/two_wheeled/two_wheeled_2t1.html)

注:
1.原付第一種、第二種は国内末端販売店向け出荷台数。
2.軽二輪車、小型二輪車は輸入車を含む。

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