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限定ベスパを振り返る♯1|レーシングベスパのレプリカモデル、「Sei Giorni(セイジョルニ)エディションII」

  • 2020/01/02
  • MotorFan編集部 大家 伝
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伝説のプロダクションレーサー復活ということで話題をさらった「Sei Giorni(セイジョルニ)」だったが、反響の大きさも手伝いエディションIIが投入された。しかも今回はエンジンを最新ユニットに載せ替えるなどテコ入れもハンパなかった! ……そんなセイジョルニ-エディションIIをじっくり見てみよう!!
REPORT●隅本辰哉(SUMIMOTO Tatsuya)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●SiLVER BACK GARAGE

ベスパ・セイジョルニ-エディションII……78万8400円

強心臓を手に入れ、走りも存在感も確実にランクUP!

 新世代Sei Giorni(セイジョルニ)についてはこれまでに何度か記事化してきているし、エディションIIについても発売開始に合わせて記事化済みだ。しかし資料価値の高い実写撮影による画像をふんだんに使い、改めて整理しておこうという流れから今一度記事化することと相成った。なのでセイジョルニ・エディションIIを、たっぷりの撮り下ろし写真と共に解説していくことにする。

 そもそもセイジョルニとは、ピアッジオのレース部門・Piaggio Squadra Corseがフェンダーライトをベースに製造したプロダクションレーサー(市販車をベースとした レーシングマシン)のモデル名である。それを現代的な手法で復刻させたのが、新世代セイジョルニということになる。

 その復刻に際しベースとして選ばれたのが、現行モデルとしてはラインナップ落ちしてしまっているGTVである。このGTVというモデルだがスポーティ・ベスパの定番であるGTSをベースとして、初期ベスパの名車であるフェンダーライトを巧みに再現しているところがポイントだ。つまりフェンダーライトをベースに作られたかつてのセイジョルニと同様、新世代セイジョルニのベースに現代版フェンダーライトであるGTVが選択されたのは自然かつ当然の成り行きなのである。

 ただし新世代セイジョルニは、かつてのプロダクションレーサーモデルだったものとは異なり、グランドツーリング色が強まっているのは仕方のないところ。逆に普段使いのショートランから、ツーリングなどのロングランまでこなす懐の深さが好特徴と言える。

 さてエディションIIとなった新世代セイジョルニの仕様だが、なんと言ってもエンジンユニットを最新のものに変更している点がハイライトとなる。最新のエンジンユニットは「300HPEエンジン(High Performance Engine)」と呼ばれ、水冷4バルブ4ストローク単気筒/278ccから23HP(17.7kW/24.1PS)を発生するベスパ史上最も強力なエンジンユニットである。
 先代セイジョルニにも搭載され、名機と名高いクォーサー300エンジンと比較して最大出力が約12%、最大トルクは実に約18%も向上している点が見逃せない。

 このハイパフォーマンスユニットを搭載する車体は、先に触れている通り現代版フェンダーライトと言えるGTVだ。ベスパの伝統であるスチールモノコック構造のボディを採用するラージボディのベストセラー・GTSをベースとしている。そのためラージボディならではの快適性は抜きんでたものがある。
 とは言っても国産ラグジュアリー系モデルとは異なり、スポーツ志向のGTSがベース。それだけに窮屈感のないポジションを取れる程度と思ってもらったほうがいいだろう。ただこのちょっとした余裕がロングランで確実に効いてくるのである。

 エクステリアも細かく見ていくことにしよう。なんと言ってもルックス上のポイントとなっているのがフロントフェンダー上部のヘッドライト、それにパイプハンドルだろう。たとえフェンダーライトやオリジナルのセイジョルニを知らなくても、一目でスタンダードなベスパとは違うレーシーな雰囲気に気がつくハズだ。それはレーシングゼッケンをあしらったナンバーデカールと、エディションII専用カラーであるセイジョルニ・グレーによるところが大きい。
 加えてブラックアウトされたサイレンサー&ホイール、差し色として目を引く深紅のリムライン&フロントサススプリングも採用。これによってレーシーさが増すのはもちろんだが、この手法が現代ベスパにおけるスポーツルックの定番スタイルとなっていることも見逃せない。つまり、この魅力的なレーサーレプリカを単なる懐古主義で終わらせたりはしていないということだ。

 さて、ディテールについてもチェックしていこう。常に乗り手の視界に入り、的確な情報を表示するメーターパネルはアナログ式ホワイトメーター+デジタル表示部で構成。これに見た目以上の効果を実感できるエレガントなスモークトップフェアリングを組み合わせ、独特のGTスタイルを形成。ABS(アンチロックブレーキシステム)やLEDテールランプも装備し、安全面も抜かりなし。
 そしてホワイトのパイピング&ステッチが施されたセミダブル・スポーツシートがレーシーなムードを盛り立てるとともに、レッグシールド内側に設置されたフロントコンパートメントの扉に装着されたシリアルナンバー入りプレートが限定車としてのプレミアム感を増している。ちなみにプレートには「Vespa Sei Giorni II Edition」と記され、さらにシリアルナンバーが入れられたスペシャルなもの。なお日本国内におけるエディションIIの流通量だが、わずか66台の限定となっているためかなりのレア車だと言えるだろう。

 さらにフロントコンパートメント内にはUSBポートも備え、シート下ラゲッジは十分なスペースを確保。利便性も高く、通勤・通学と言ったデイリーユースから週末のツーリングユースまで幅広く対応するなど、使い勝手に優れた全方位型コミューターとしてお勧めの1台だ。
 ただしアクセル操作だけは注意深く、そして抑え気味に開けていくことをお勧めする。先代セイジョルニのクォーサー300エンジンのポテンシャルは、気を抜いている600ccクラスのマシンなど信号で置き去りにしてしまうほどの瞬発力を秘めていた。当然パワーアップを果たしているエディションIIでは、その上をいくパフォーマンスが頭をよぎる。
 レーシングムード溢れるルックス、パンチの効いた走りを楽しめるパワーユニット、使い勝手や安全面もカバーする装備群、セイジョルニ-エディションIIはやはり現代における不備のないレーサーレプリカなのである。

主要諸元◼️

全長/全幅/全高:1,950mm/770mm/ーーmm
軸間距離/最低地上高:1,375mm/ーーmm
シート高:790mm
車両重量:160kg
エンジン:HPE4ストローク・水冷単気筒/SOHC・4バルブ
総排気量:278㎤
最高出力:17.7kW〈24.1PS〉/8,250rpm
最大トルク:26.0N・m〈2.65kgf・m〉/5,250rpm
燃料供給装置:電子制御燃料噴射システム
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:8.5L
トランスミッション:無段階オートマチック(CVT)
クラッチ形式:自動遠心乾式クラッチ
フレーム形式:スチールモノコック
ブレーキ形式(前/後):油圧式220mmシングルディスクABS/油圧式220mmディスクABS
タイヤサイズ(前/後):120/70 - 12"、130/70 - 12"
乗車定員:2名

SiLVER BACK GARAGE/シルバーバックガレージ

正規ディーラー「ベスパ/モト・グッツィ東京青葉台」として、最新モデルからビンテージモデルまで幅広く対応。山手通りの1本裏手でアクセスもよく、中目黒駅からも近い。車両販売だけでなくカスタムや修理の相談もでき、頼れるショップとして注目だ。
電話◎03-6452-4335
住所◎東京都目黒区青葉台1-29-6 101
営業◎10:00~19:00
定休◎毎週水曜、第2・第4木曜
HP◎https://silverbackgarage.jp/

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