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アドヴィックス 回生協調ブレーキシステム 前後輪の独立制御へと進化したアドヴィックスの新世代回生協調ブレーキ PR
- 2020/07/16
- Motor Fan illustrated編集部
回生協調ブレーキが本格的に搭載されるようになったのは初代プリウスが発売された1997年以降のこと。
それから20年以上が経過したいま、自動運転時代を見据えて進化を果たしている。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA) PHOTO&FIGURE:ADVICS
前後輪のブレーキを独立で制御することで新たな可能性が見えてきた!
自動車動車の電動化が進行するとともに、回生ブレーキの重要度は増してきた。その主たる目的は燃費・電費の向上である。制動時にモーターを発電機として作動させ、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収する。それが回生ブレーキだ。STOP&GOの多い都市内の交通環境においては、とくにエネルギー回収の効果が高くなる。そして、この回生ブレーキ力と従来の油圧ブレーキ力を協調させながら、減速時の運動エネルギーの回収をもっと効率よく行なうように制御するシステムが、回生協調ブレーキである。
アドヴィックスでは、初代プリウスを皮切りに、回生協調ブレーキシステムの部品や制御システムの開発、生産に携わっていたが、現行システム(AHB-R)からアッセンブリーでの開発・生産を行なっている。エネルギー回収の最大化だけではなく、油圧と回生を併用するため作りこみが難しいブレーキフィールにおいても、アキュムレーター加圧による高応答化技術により滑らかさを実現。完成車メーカーからの評価も高い。
「運転者のペダル操作は一定のまま、回生から油圧ブレーキへのすり替えをスムーズに行なう点は苦労した部分です。いまやガソリン車と変わらないレベルに到達しています」と語るのは、制御システム技術部の安武俊雄氏だ。
そんなアドヴィックスが新たに開発したのが、ここで紹介する新世代の回生協調ブレーキシステム(AHB-Rx+ESC)だ。現行システムをベースに、大型車、自動運転へのニーズを取り込むべく進化させた。すでに、今年発売された複数のSUVに採用されているという。
「従来品では前後輪を同圧で制御していたのですが、今回は新たに前後の回路を独立させることで、前後輪を任意に制御可能なシステムとしました。これによりエネルギー回生量を増大させることに成功しています。前後の油圧が可変ですから、回生ブレーキと油圧ブレーキを条件に応じて細かく切り分けて使うことができる。だから、回生ブレーキの使う回数と時間を増やすことで回生量の増大が見込めます。
また、前後の回路を任意で制御できる2ch化は車両の姿勢制御にも貢献します。4輪同圧ではブレーキ時にフロント荷重が過多になり、ピッチングが大きくなりますが、新世代では前後の油圧が可変ですから、制動力を理想的に配減して、乗り心地や安心感を向上させるというメリットが生まれます」
同社では、車両の付加価値向上に貢献するため、車両姿勢制御を積極的に導入することを検討しているという。制御いかんによっては、クルマのポテンシャルが上がるような、ドライバーの運転が上手になったように操れるような制御も、ゆくゆくはできるだろう。いずれも、最終的には安全に繋がる技術である。
また、本システムは、上下流(AHB-RxとESC)それぞれのユニットに加圧機能を配置している。万一、電気系統の失陥があってもブレーキ性能を維持できる冗長性の高さもメリットのひとつ。将来の自動運転を見据えると、故障時のフェールオペレーション性能の向上は、不可欠となる。
2ch回生によるメリット
INTRODUCTION:電動車はどのくらい売れるのか?
BASICS1 :電動車の仕組み Q&A
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