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前16インチホイールはビジネス用途にも好都合かも。キムコ・ターセリーS 150試乗。

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キムコ・Tersely S 150 は、ステップスルータイプのスクーターである。フロントに16、リヤに14インチホイールを採用。ウインドシールドやリアボックスも標準装備。どこかビジネスライクな、上質感漂うデザインに仕上げられている。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO ●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●キムコジャパン株式会社

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キムコ・Tersely S 150.......308,000円

走りにはそれなりに重さを伴う落ち着きが感じられる。

足つき性チェック(身長168cm/体重52kg)

ディテール解説

⬛️主要諸元⬛️

⚫️試乗後の一言!

キムコ・Tersely S 150.......308,000円

ディープブルーメタリック
マットシルバークリスタル

 冒頭に記した通り、スクーターのカテゴリーとしては最大級と言える大径ホイールを履いているのが特徴。アンダーボーンフレームで構築されるスタイルは乗降性に優れ、扱いやすい。イタリアの市場では、年間4,000台以上の販売実績を誇る人気モデルである。
 オールクリアのウインドスクリーン(風防)とナックルカバー、リアキャリアにはトップケースも標準装備されており、それなりにボリューム感があり、立派なフォルムに仕上げられている。
 カラーバリエーションは、シルバーとブルーの2タイプから選択でき、それぞれに異なるシートカラーがマッチされている。ブルーにはブラウン、シルバーにはワインレッドのシートが組み合わされ、どこか大人びたセンスと上質な雰囲気を漂わせている。
 それでいて価格設定は、125ccクラスのホンダスーパーカブC125より約10万円も安いのだから驚きである。しかも高速道路が走れる排気量の149cc エンジンが搭載されているのだから、その “お買い得感” は侮れない。
 
 搭載エンジンは空冷のSOHC4バルブ単気筒だが、Racing S 150に搭載のSR30Bとは異なり、バルブタイミングやリフト量の可変機構であるVVCSは採用されていない。
 シリンダーボアは同じ59mmだが、ストロークはほんの僅かに(0.3mmだけ)長く、その排気量は149.8cc 。10.9:1と言う高圧縮比を得て10.3kw(14ps)/8,500rpm の最高出力を発揮する。
 サスペンションはスクーターとしては常識的なリア・ユニットスイング方式。フロントのテレスコピックフォークはφ33mmサイズの正立式。リヤは2 本ショックタイプで3段階のプリロード調節ができる。
 ブレーキは前後共にシングルディスク式で、BOSCH製の2チャンネルABSを標準搭載。灯火類はLED式を採用。また、アクセサリー電源を取り出せるUSBソケットがシート下収納後部とステアリングヘッド右側の2箇所に装備されている。

走りにはそれなりに重さを伴う落ち着きが感じられる。

 やはり最大の特徴はフロント16インチ、リヤ14インチサイズのホイールを履いていること。ちなみにスーパーカブは前後共に17インチだが、同プロやDio110は前後共14インチである。
 試乗車を目の前にすると、その車体ボリュームはなかなか立派。車量重量は130kgとそれなりの重さがある。ちなみにスーパーカブC125の車両重量は110kg。体感的にも20kg差は歴然としたものがあるわけだ。
 さらにスクリーンやリアボックスの装備等、重心高が高めな感覚があり、シートに股がり車体を引き起こす時の手応えはズッシリと重みが伴う。
 しかし欠点と感じられる程の重さではなく、むしろ車体挙動の全てはユッタリした雰囲気の落ち着いた動きに終始する。車幅は700mmとスマート。シート高は790mm、やや腰高な上、背筋の伸びた姿勢になるので前方の見晴らしが良い点も印象的である。
 決して軽快ではないが重みの伴う落ち着いた乗り味が楽しめるのである。
 フロントスクリーンの設置位置がライダーに近いこともあって、乗車位置は前後方向に少し窮屈な感じを覚えるが、ウインドプロテクション効果は抜群。
 フォーマルシューズはもちろん、胸元に風をはらむビジネススーツや、スクリーンの無いヘルメット着用でも問題無く走れてしまう。シート下とテールにセキュリティーが確保できる大容量収納があるので、仕事道具等を携えての移動もほとんどの要件はカバーできてしまえるだろう。

 走りは決してパワフルではないが、トルクに不足はなく高速走行も無難にこなせる。80km/hクルージング時のエンジン回転数は、500rpm刻みのメーター読みで7,500rpm。
 やや速めの加速では6,000〜6,500rpmあたりを常用する。機敏ではないが、全体の雰囲気に相応しい穏やかで不足の無いパフォーマンスを発揮してくれた。
 試乗当初、タイトターンやUターンする時、操舵に対してゆっくりとリーン(車体が傾く)し始める感覚が、やや扱いにくい癖の様に感じられたが、直ぐに慣れてしまうのも事実。
 キャラクターとして、走りそのもの(操縦性)を楽しむタイプではないが、大径ホイールの基本性能の高さを遺憾なく活用した快適な移動道具としての乗り心地がそこに発揮されているわけだ。
 
 直進安定を始め、コーナリングでの旋回挙動、悪路でのフットワーク等いずれにも良い意味での落ち着きが伴い、結果としてゆったりとした乗り味に安心感が伴う点も魅力的である。

足つき性チェック(身長168cm/体重52kg)

シート高は790mm。スクーターとしては腰高な乗り味が印象的。両足の踵は浮いてしまうが、バイクを支える事に不安は感じられない。

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