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トルク良し、ダッシュ良し。ホンダ新型NC750X DCTにサクッと180km試乗。

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最新のホンダ・NC750X。今年1月のフルモデルチェンジで、少しスポーティに変身。乗り味の心地良さとエンジンを回した時に魅せる出力特性の爽快感は侮れない。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO ●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

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ホンダ・NC750X DCT.......990,000円

走りに活力を感じるアグレッシブな乗り味が気持ち良い。

足つき性チェック(身長168cm)

ディテール解説

⬛️主要諸元⬛️

⚫️試乗後の一言!

ホンダ・NC750X DCT.......990,000円

パールグレアホワイト
グランプリレッド
マットバリスティックブラックメタリック(写真はNC750X.......924,000円)
最終スケッチと言えるCGによるデザイン。アクティブなイメージが強調された。

 NC750Xは、普通燃料タンクがある位置に23L容量の大きなラゲッジボックスを備え、ヘルメットが収納できる。シート下スペースを活用するスクーターと同様な高機能を持ち、ロードスポーツバイクとしては、稀に見る実用的な使い勝手が魅力的である。
 元々は2012年2月に「ニューミッドコンセプト」として開発され国内発売の第一弾として投入されたNC700Xから始まっている。同年6月にはDCTモデルや足つき性を高めたローダウンモデルも追加投入。このクラスに掛けるホンダの意気込みの強さを物語っている。
 2014年1月にはNC750Xに進化。2016年1月にはDCT仕様にETC&グリップヒーター装備モデルをリリース。そして2018年4月のマイナーチェンジを経て2021年1月のフルモデルチェンジで現在に至っている。

 ボア・ストロークや圧縮比、バルブ開閉メカニズム等の基本は踏襲されているが、ピストンを一新して軽量化。クランクマスも軽量な物に最適化されている。それに伴いバランサーも軸径を変更する等、多くが新設計されてエンジン単体重量も軽量化された。
 吸排気系も一新しスロットルボアを拡大。電子スロットルのTBW(スロットル・バイ・ワイヤシステム)が採用され、旧モデルより高回転高出力を稼ぎ出している。
 さらにMT車の2~4速、DCT車の1~4速のギヤレシオが低めに設定し直され、ダイナミックなスロットルレスポンスの発揮を狙っているわけだ。
 ライディングモードも多彩な設定ができ、ユーザーモードでは3段階のパワーレベルを始め、4種のトルクコンロールレベル、エンジンブレーキは3段階、そしてDCTにおいては4種のシフトスケジュールが任意に選択できる。
 またマニュアルミッション車には、操作荷重が軽く、エンジンブレーキ時に発生する後輪のホッピングを軽減するアシストスリッパークラッチが新採用された。
 車体関係も細々と手が入れられ、前後サスペンション・セッティングも熟成。液晶メーターも情報表示の豊富な新型に変更されている。

クレードルを持たないスチールパイプ製ダイヤモンドフレームは設計し直され、1.6kgの軽量化を実現している。グンと低く取り回されたメインパイプが印象的。
パワー・トルク共に向上した新エンジンの性能曲線図。赤い線で示す高回転高出力の発揮が印象深い。

走りに活力を感じるアグレッシブな乗り味が気持ち良い。

 今さら古い感覚を持ち出して恐縮だが、筆者にとって“ナナハン”と言えば、イコール大きく立派な重量級モデルをイメージする。何しろかつては国産最大級のバイクが排気量750ccのエンジンを搭載していたからである。
 オーバー1Lものビッグバイクが普通に流通する現代において、ナナハンはもはやビッグバイクの範疇ではなく、ミドルクラスの中心的存在。「ニューミッドコンセプト」で開発された今回のNC750Xも重量級ではなく、その存在感は至って親しみやすい。
 フレームマウントされたフロントカウルから連続するタンク(ラゲッジボックス)カバーはそれなりのボリューム感はあるが、乗車位置はシュッとくびれていてシートに跨がった時の印象は適度にスマート。筆者の体格では両足ベッタリとはいかないものの、バイクを支えるのは楽で扱いやすい。
 車重は224kgあり、意外と重めな仕上がりだが車体を起こす時の手応えからはそれを感じさせない程の軽快さがある。エンジンや14L燃料タンクの搭載位置が低い事が好影響している。
 ちなみにマニュアルミッション車をチョイスすれば車重は214kgでより軽快な操作感が期待できることは間違いないだろう。
 試乗車はDCT仕様なので、エンジン始動後は右手でDボタンを押せば、あとはアクセル操作のみでオートマチックに走れる。もちろんAT限定免許でOKだ。

 そっと右手のアクセルを開けると、上手なクラッチワーク(自動制御)でスムーズに発進、そのまま小気味よくかつ違和感の無い巧妙なシフトアップをこなしてくれる。
 アイドリングは1,200rpmだが、回転計の目盛りが1ブロック増える前(1,300rpm前後)に、おそらく誰よりも上手なクラッチワークでジェントルに発進できてしまう。
 DCT車には他にも多く試乗してきているがさすがに熟成レベルは高く、どちらかと言うとマニュアル操作が好きな筆者でも、気付いてみれば全てオートマチックにお任せ。マニュアル操作ができる事を忘れさせられる程、ドップリとイージーライディングの快適性を享受してしまった。
 峠道を走るシーンでも、DCTのシフトワークは絶妙。特にシフトダウン制御が巧みで、エンジンブレーキも活用しながらスイスイと元気良く各コーナーを気持ちよくクリアして行ける。
 あえて気になる所をあげるとすれば、やや渋滞気味の市街地をトロトロ走る時、不要にシフトダウンされてしまうケースがあった。次の加速に備えるための制御で、特にギクシャクするわけではないが、ライダーの思惑としてはエンジン回転数を高めたくないと感じることがあった。
 もっとも、こんな時はマミュアルモードを活用すれば解決する話ではある。

 エンジンは柔軟で粘り強い。感覚的には穏やかな雰囲気で常に余裕たっぷり豊かなトルク感がある。市街地でごく普通に4輪の流れに乗る走りなら、使用するエンジン回転域は3,000rpm未満。少し元気の良いスタートダッシュを決めても3,500rpm前後に過ぎない。
 より大きな排気量のバイクに匹敵するその乗り味は実に心地良く、ツアラーに相応しいゆとりある雰囲気。ロングストローク・エンジンらしい出力特性がそこに貢献している。
 全体のキャラクターにも上手くマッチする出力特性だが、さらに言うと右手をワイドオープンした時、なかなか爽快なレスポンスを発揮するのが新鮮。
 旧型までは、そのエンジンキャラクター故に、あまり高回転域まで回そうとは思わなかったが、今回の新型はそんなアグレッシブな走りも許容する楽しさがある。峠道でコーナーを脱出する時も気分は豪快である。
 ブレーキも効き味に鋭さこそ無いが、穏やかなフィーリングの中で十分に強力な制動性能を発揮してくれた。
 操縦性も至って素直で扱いやすい。直進安定性も良く、小さめなウインドスクリーンも絶妙のプロテクション効果を発揮しており、ツアラーとしての仕上がりと快適性はなかなか素晴らしいものだった。
 通常姿勢で高速道路を走ると、前方からの風はちょうどオデコと両肩に当たり、風きり音も少し目立つが、上体を少し屈めた姿勢を取ると、スッと音が止み、空力特性の良い静かなクルージングも可能となる。
 グリップヒーターやETCは標準装備。オプションのアクセサリーにはハイウインドスクリーンを始め、パニアケースや特大(50L容量)トップボックスも用意されている。落ち着きのある穏やかな乗り味が印象深く、やはりツアラーとしての資質に魅力が感じられた。
 そのせいか、試乗直後の感想はオートクルーズコントロールが欲しいと思えたのである。

 ちなみに6速トップギヤで100 km/hクルージング時のエンジン回転数は3,200rpm。120km/hでは3,800rpm。より大きなエンジンのバイクで走る様な穏やかな乗り味だ。
 ちなみに1速ローギヤでエンジンを5,000rpm回した時のスピードは48km/hだった。また平坦路をレインモードでゆっくりと加速すると、5速から6速へは71km/hで自動的にシフトアップされ、同じくスタンダードモードでは75km/h。スポーツモードでは100km/hでもシフトされず、101km/hでようやく6速に入った。70km/h台では4速ギヤが使われ、いつでも急加速に対応すべくスタンバってくれていたのが印象的。
 なお、今回の試乗撮影で走行した距離は180km 。実用燃費率は満タン法計測で28.85km/L だった。


 

ライディングモードは4っつの選択ができる。ユーザーモードは各パラメーターをそれぞれ任意に組み合わることができる。

足つき性チェック(身長168cm)

シート高はちょうど800mm。ナナハンとしてはごく一般的レベル。両足の踵は少し浮いているが、足つき性に難はない。

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