Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンテック
  1. TOP
  2. バイク
  3. ニューモデル

モトグッツィ・V7スペシャル|ライダー人生で一度は経験したい、空冷Vツイン。

  • 2021/06/06
  • 大屋雄一
このエントリーをはてなブックマークに追加

1921年に産声を上げたイタリアのモトグッツィにとって、2021年はちょうど創業100周年にあたる。そんな記念すべき年に主力モデルのV7シリーズを一新し、6月から日本でもデリバリーを開始した。新型V7はV85TTの新世代エンジンを搭載し、最高出力は52psから65psへ。さらにスタイリングも、アイデンティティを忠実に受け継ぎつつ一新された。今回試乗したのは、ワイヤースポークホイールを履く〝スペシャル〟だ。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
問い合わせ●ピアッジオグループジャパン(https://motoguzzi-japan.com/)

目次開く

モトグッツィ・V7スペシャル……1,276,000円

スムーズに回るエンジンに感動する一方で、一抹の寂しさも……

ハンドリングは現代的に。乗り心地も大幅に向上している

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

ディテール解説

V7スペシャル 主要諸元

モトグッツィ・V7スペシャル……1,276,000円

車体色は写真のフォーマルブルーのほかにカジュアルグレーを用意。標準モデルのストーンおよび100周年特別仕様車のストーン・チェンテナリオがアルミキャストホイールなのに対し、スペシャルはワイヤースポークホイールを採用する。車両重量は先代比で10kgアップ。
装着タイヤはダンロップのアローマックス・ストリートスマート(フランス製)で、前後ともバイアスとなる。クロームメッキのグラブレールはスペシャルのみが標準装備する。

スムーズに回るエンジンに感動する一方で、一抹の寂しさも……

リバイバルプロジェクトの一環として、V7クラシックが誕生したのが2008年のこと。現代的なネイキッド〝ブレヴァ〟から派生したこのネオクラシックモデルが人気を博し、ついに2021年、歴代初の排気量アップを主軸とするフルモデルチェンジを実施した。エンジンはV85TTに搭載されている新世代の空冷90度V型2気筒となり、排気量は744ccから853ccへ。最高出力は52psから65psに、最大トルクは60Nmから73Nmへとそれぞれアップしている。付け加えると、従来の最大トルク60Nmをわずか3,000rpmで発生するというから、どれほど動力性能がアップしたかがイメージできるだろう。

新旧の違いは、クラッチをつないだ瞬間に実感できた。アイドリングのすぐ上でミートしたにもかかわらず、発進加速が驚くほど力強いのだ。744ccの旧型も決して遅くはなく、排気量なりの出足を見せてくれたが、新型はそれを大きく上回る。付け加えると、同じエンジンを搭載するV85TTよりもスタートダッシュは速いようにすら思う。最高出力はV85TTの76psよりも控えめであることから、おそらく日常域で多用する低中回転域を強化したのだろう。

レッドゾーンの入口は6,500rpmで、スロットルを大きく開ければそこまで驚くほどスムーズに吹け上がる。厳密には、2,000~2,500rpm付近でわずかにくぐもる症状があるものの、それ以外は落ち込みもなくフラットにパワーが盛り上がる。これはつまり、どの回転域からでも必要な加速力が得られるということであり、扱いやすいエンジンと表現できる。クラッチレバーの操作力は軽く、ミッションもシフトストロークこそ長めだが吸い込まれるようにスコスコと決まる。これぞ正常進化と言えるだろう。

その一方で、旧型の小太鼓的かつ明瞭なビート感や、回転数ごとの表情の変化を気に入り、過去に程度のいい中古車を本気で探していた私にとって、そうした味わいと呼べるものが薄まってしまったことに一抹の寂しさも。とはいえ、縦置きクランクならではのトルクリアクションなどはまだまだ健在であり、初めてモトグッツィに触れる人にとってはこの新型V7でも歯ごたえ十分だろう。

ハンドリングは現代的に。乗り心地も大幅に向上している

車体については、フロント18インチ/リヤ17インチのホイール径はそのままに、リヤタイヤが130から150へと2サイズ太くなった。これに伴いスイングアームが変更され、リヤショックの取り付け角度が大きく寝かされた。なお、ホイールトラベル量については、フロントは130mmのままだが、リヤは93mmから120mmへと大幅に増やされている。

これらが功を奏したのか、まず感じるのは乗り心地の良さだ。旧型はリヤサスのストロークの短さが際立ち、ギャップ通過時の突き上げ感が大きめだったが、新型はそれが大幅に軽減している。これにはシートの座面の広さやウレタンの厚さも貢献しており、距離を延ばすほどに疲労の差は顕著になるだろう。

ハンドリングは、縦置きクランクのジャイロ効果が生む直進安定性と、倒し込みの軽さという持ち味は健在で、そこに現代的な扱いやすさが加わった印象だ。一定のバンク角を保持する力が強く、どんな操作であれ倒し込んでしまえば曲がれるという安心感がある。なお、シャフトドライブゆえにスロットルを急開するとリヤサスが伸び、戻すと下がるというテールリフトが発生するが、これはすぐに慣れるだろう。

ブレーキは従来と同様にフロントはシングルディスクだが、握り込めば必要にして十分な制動力を発揮してくれ、ABSの介入レベルも問題なし。不満があるとすれば、レバーに調整機構がないことぐらいだ。

車両価格は先代のV7スペシャルが1,177,000円だったのに対し、新型は約10万円アップの1,276,000円に。数あるネオクラの中で直接のライバルとなりそうなのは、価格と排気量から考えてカワサキのW800シリーズあたりか。エンジン形式がハンドリングにまで大きく影響する稀有な存在であり、ライダー人生において一度は経験してほしい1台だ。

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい! 一覧へ

解決します! 交通ルールの素朴なギモン

解決します! 交通ルールの素朴なギモン 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ