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Vストローム250 ABS 1000kmガチ試乗1/3|たっぷり、じっくり走り込むと”売れてる理由”が見えてきた!

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スペックや装備に特筆すべき要素はないものの、2017年のデビュー以来、コンスタントに好セールスを記録しているVストローム250。ライバル勢との比較を念頭に置きつつ、その理由をじっくり考えてみたい。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

Vストローム250 ABS……61万3800円

試乗車が装着するトップ/サイドケースとステーは純正アクセサリーで、フル装備時の価格は9万4600円だが、スズキが行っているツーリングサポートキャンペーン中(2021年4月1日~9月30日)に新車を購入すると、2万8380円OFFのクーポンが配布され、6万6220円で3点セットを装着することが可能になる。ただし、取り付け工賃は別途必要。

発売前と発売後で評価が一変

ヘッドライトはオーソドックスな丸型なのに、スクリーン&クチバシとのマッチングが絶妙だからだろうか、フロントマスクはなかなか個性的。アフターマーケット市場では数多くのロング/ワイドスクリーンが販売されている。

 今だから言うわけじゃないけれど、発売前と発売後で、Vストローム250ほど業界内での評価が変わったバイクは、昨今では珍しい気がする。具体的な話をするなら、2016年の初公開時は、“エンジンがV型じゃないのにVストロームって……”、“GSR250の単なる着せ替えモデルでしょ”、“あの足まわりでオフロードは無理”などと、僕の周囲では否定的な意見が少なくなかった。でも2017年から市販が始まると、状況は一変。これはこれで大いにアリ!という感じで、Vストローム250は多くのライダーが存在価値を認めるバイクだったのである。

GSR250から継承したエンジンは、今どきの並列2気筒では珍しいロングストロークで(53.5×55.2mm)、動弁系も今どきの並列2気筒では珍しいOHC2バルブ。最高出力・最大トルクの発生回転数は、ライバル勢より低い24ps/8000rpm・2.2kg-m/6500rpm。

 そんなVストローム250は発売からの約4年間、コンスタントに好セールスを記録している。もっとも、近年の日本で最も売れている軽二輪はホンダ・レブル250なのだが、ツーリング先で見かける頻度は、個人的にはレブル250よりVストローム250のほうが上だと思う。なお僕が休日の山道や高速のSAで遭遇するVストローム250は、ソロ率が高く、服装や荷物の積載方法から推察するに、旅慣れしている雰囲気。おそらくこのバイクのオーナーは、周囲の意見にあまり左右されない、自分なりのツーリングを確立している人が多いのだろう。

基本設計の多くはGSR250譲り

 世の中には数多くのアドベンチャーツアラー、あるいは、アドベンチャーツアラー的なモデルが存在する。そんな中でVストローム250の特徴は既存のオンロードモデル、2012~2017年に国内販売されたGSR250の主要部品をできるだけ転用したこと。他のアドベンチャーツアラー/的なモデルが、エンジンを既存のモデルから転用しても、フレームを専用設計したり、フロントホイールの大径化や前後サスストロークの延長を行ったりすることが多いのに対して、Vストローム250は外装を除くほとんどの部品がGSR250譲り。もちろん細部はいろいろと変更されているけれど、この分野で重視されることが多い、悪路走破性に特化した開発は行われていない。

 まあでも、それが大きなマイナス要素にならないのが、Vストローム250の面白いところである。むしろ世間では、よくぞGSR250をこういう形で進化させてくれた!、悪路なんて通過できれば十分、などという感じで、生い立ちを肯定的に捉える人が少なくないようだ。

 ただし誕生から約4年が経過した現在、Vストローム250が盤石の地位を築いているのかと言うと、必ずしもそうではない。今年から発売が始まったKTM250アドベンチャー(価格はVストローム250+6万6000円の67万9000円)は強力なライバルになりそうだし、第二世代に進化したホンダCRF250ラリー(74万1000円)も、ツーリング好きからは注目を集めている。もちろんVストロームと同時期に登場したカワサキ・ヴェルシスX-250(現在はサイドバッグを標準装備する、70万4000円のツアラーのみを販売)も競合車の1台だ。幸いなことに僕は他の媒体の仕事で、少し前にその3台を体験しているので、当記事ではライバル勢を念頭に置きつつ、Vストローム250の魅力をじっくり考えてみたい。

既存の常識に捉われない構成

 あら?……。久しぶりにVストローム250に乗った僕は、予想外の違和感に戸惑うこととなった。このバイクのハンドリングは至ってニュートラルなはずなのに、今回の試乗車はフロントまわりがフラフラしてどうにも落ち着かない。もっともその原因は、総重量が16kg以上の純正アクセサリー、トップケース/サイドケース×2/ステーを装着していたからで、重量増によって下がったリアの車高を上げるべく、モノは試しとリアショックのプリロードを2段階強くしてみたら、問題はあっさり解決。ただし以後もしばらくの間、微妙な違和感は続いた。

 その原因は、前述したライバル勢との差異だ。ハンドル幅が狭くて絞りが強く、シートが低く、排気量のわりに車重が重く、エンジンのパンチが控え目なVストローム250は、アドベンチャーツアラー感が希薄なのである。視界に広がる風景は紛れもなくアドベンチャーツアラーなのに、ライディングフィールは普通のオンロードバイク。こういったキャラクターをどう感じるかは人それぞれだが、乗り始めの段階で前述した3台のようなワクワク感、非日常の世界に連れて行ってくれそうな気配が感じられないことに、僕は少々物足りなさを感じた。

 もっとも、日常の足として10日ほど使った段階で、僕の意識は大きく変化。と言うのもこのバイク、ワクワク感や非日常感が希薄な一方で、いや、希薄だからこそ、近所の買い物から高速道路を使っての長距離移動まで、どんな用途にも気軽に使えるのである。その感触には、いい意味でスーパーカブを思わせるところがあるのだが、もちろんスーパーカブと比べれば、Vストローム250のほうが格段に守備範囲は広い。ちなみにこれまでの僕は、ホンダのNC750Xと400Xに対して、“でっかいスーパーカブ”という印象を抱いていたものの、車格の小ささや価格/維持費の安さなどを考えると、その称号が最も似合うのはVストローム250のような気がして来た。

 逆に言うなら、前述した3台のライバル勢は、Vストローム250ほど気軽ではないのだ。と言っても、いずれの乗り味も決してハードルが高いわけではなく、その気になれば日常の足として普通に使えるのだけれど、シート高と車幅を考えると(Vストローム:800・880mm、250アドベンチャー:855・900mm、CRF:830・920mm、ヴェルシス:815・940mm)、やっぱり気軽さではVストローム250が一番。また、僕自身は大径ホイール好きなのだが、フロントタイヤが17インチのVストローム250は、19インチの250アドベンチャーとヴェルシス、21インチのCRFより、フレンドリーで市街地では扱いやすいという説もある。そのあたりを考えると、既存のアドベンチャーツアラー/的なモデルの常識に捉われなかったことが、このバイクが成功した原因なのかもしれない。

 さて、何だか結論めたいことを記してしまったが、ここまでに記した文章は、あくまでも日常の足とプチツーリングに使っての話。近日中に掲載予定の第2回目では、約500kmのロングツーリングの印象を記す予定だ。

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