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乗りやすい方向に舵を切っている1000ccスーパースポーツだが、街乗りしたらどうなる!? スーパースポーツなのに! 「GSX-R1000R」は街乗りにも”意外と”活躍する秀才だった。

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スズキ・スーパースーパースポーツのフラッグシップが「GSX-R1000R ABS」です。現行型は「THE KING OF SPORTBIKES」の称号を目標に開発され、今回試乗したトリトンブルーメタリックの車両はMotoGPマシンと同じ“エクスターカラー”で見るからに速そう。サーキットでなければ、面白くないのでしょうか。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

GSX-R1000R ABS……2,116,800円

 現行型のGSX-R1000がデビューしたのは2017年のことです。ジャーナリスト向け試乗会は袖ヶ浦サーキット(千葉県袖ケ浦市)にておこなわれ、アクセルを積極的に開けてバイクをグイグイ寝かせていけたのを鮮明に覚えています。

 テレビのレース解説などでもお馴染み、元MotoGPライダーでスズキMotoGPマシンテストライダーの青木宣篤選手もゲストで登場し、華麗なる走りを披露してくれました。
 そして、「200PS近いパワーのあるモンスターマシンであるにも関わらず、乗りやすさを感じました」と感想を伝えると、「MotoGPマシンで培ったソフトや6軸センサーからなるトラクションコントロールも搭載していますし、ライダーの技量を問わずに気持ちよく走れるようになっています」と、教えてくれたことも忘れられません。

“扱いやすい”が“速い”ための必須条件に

 つまり、自在に操れるからこそ“速い”という考え方なのです。いくら200PSオーバーでも、結局乗り手が持て余してしまうのでは、速くは走れない=レースでも勝てないということなのでしょう。
 最新のスーパースポーツは昔のように「乗れるもんなら乗ってみろ」という感じではなく、“乗りやすく”を意識し開発され、乗り手の技量によって速度こそ異なるものの、それぞれのレベルで走りを楽しめてしまうのでした。

 以来、スズキGSX-R1000と青木宣篤さんの言葉のおかげで、リッタースポーツスポーツに対する見方がすっかり変わった筆者。新作タイヤの試乗会などでいろいろな機種が用意されていると、なんとなく避けがちでしたが、好んで1000ccスポーツスポーツに乗るように。やはりメーカーが威信をかけて開発した最上級のモデルですから、たとえワイドオープンにできなくとも、シフトの入り方など各部の動きひとつをとってみても素晴らしいと感心することがよくあります。

 もちろんマシンが持つポテンシャルをフルに発揮なんて到底できるものではありません。それはトップライダーでもそうなんだと、ある選手が言っていました。
 我々がバイクを趣味として乗るとき、たとえサーキットでも絶えず全力で走る必要なんてありませんし、公道でならなおさらです。安全を意識し常識的に走れば、たとえ250ccでもフルに性能を発揮すれば、制限速度は容易く超えてしまいます。

 となると、リッタースポーツスポーツは我々フツーのライダーが、フツーに一般道で楽しむことはできないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。

見た目、スタイルでもう感激!!

 今シーズンもスズキ「GSX-RR」に乗るアレックス・リンス選手が、MotoGP第3戦アメリカズGPにて表彰台の真ん中に立つなど、世界最高峰の舞台で上位に食い込むことが多くなってきたスズキのブルーのマシン。「GSX-R1000R ABS」のトリトンブルーメタリックの車体は、瓜二つと言っていい“エクスターカラー”で仕上げられ、もうこれだけでテンションが上がってしまうではありませんか。

GSX-R1000R ABS (2018年式)

 2018年式と細部が微妙に異なり、ゴム製だったフロントのブレーキホースがステンメッシュにグレードアップしたほか、グラフィックの配置やリムストライプ色を変更。アンダーカウルは青でしたが、黒になっています。

BATTLAX RACING STREET RS11 フロント
BATTLAX RACING STREET RS11 リヤ

 ブリヂストンのタイヤ「BATTLAX RACING STREET RS10」は19年式から「RS11」へ進化。よく見るとパターンが異なり、ショルダー付近にも溝が入ってウェット性能が上がっていることが一目瞭然です。
 また、ETC2.0を標準装備したことも19年式のトピックスとなっています。

 跨ってみると、足着き性が意外と良いことに気付きます。サーキットで速く走ることを徹底追求しているバイクですから、足が届くかどうかなんて本来ならば二の次でいいのですが、シート高は825mmで大型スポーツバイクのなかでも優秀な部類と言えるでしょう。

 身長175cm、体重65kgの筆者の場合、片足立ちならカカトまで、両足出してもツマ先の裏がしっかり地面に届きます。
 当たり前ですが、前傾のライディングポジションはハードです。長時間の走行は覚悟が必要でしょう。しかし、かつてのレーサーレプリカと比較すれば、極端にグリップ位置が低いというわけではありません。

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