2人乗りも可能!“CB系”の血統を継ぐ、パワフルで扱いやすい原付2種モデル 【ホンダ エイプ100】エイプ50とはエンジンの互換性ナシ!違いをあれこれ解説|シリーズ全モデル掲載
- 2019/12/07
- MotorFan編集部 北 秀昭
2001年(平成13年)に「エイプ」50が発売。翌年の2002年(平成14年)には、「エイプ50」ベースの100cc原付2種モデル「エイプ100」が登場。排気量アップによってパワーアップした「エイプ100」は、フレーム、スイングアーム、リアホイールなど、各部の強度をアップ。ダブルシート&タンデムステップを装備して、2人乗り仕様にアレンジしているのもポイントだ。最高出力7.0馬力を発揮するエンジンは、扱いやすくて粘り強い走りを実現している。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
2002年(平成14年) エイプ50の兄貴分!100cc版の原付2種モデル「エイプ100」がリリース
49cc=3.7馬力から、99cc=7.0馬力にアップして、ストリートでの“走りやすさ&扱いやすさ”をアップ
エイプとは、英語で「類人猿、猿人、尾のないサル」という意味。人間に最も近い動物という意味であるこのネーミングは、あらゆる人にとって身近な存在であり、気軽に乗れるバイクであることを、親しみやすい語感で表現。
エイプ50が登場した、ちょうど1年後にリリースされたエイプ100は、ストリートはもちろん、カスタムベース、ミニバイクレースなど、様々なシーンで活躍した“走りのCB系”の血統を受け継いだ、縦型エンジンを搭載したスポーツ&レジャーモデルだ。
エンジンは、オフロードレース専用のアグレッシブな「XR100R」がベース。パワーは「XR100R」の9.8psから7.0psにダウンされているが、街中で多用する低中回転域でのトルクを重視した、非常に扱いやすい特性に味付けされている。
「エイプ100」のエンジンは、オフロードレース専用の過激な「XR100R」がベース
モトクロスレース専用モデル「XR100R」は、1990年(平成2年)1月に登場。パワフルな縦型99.2ccエンジンを搭載し、フレームは高剛性のダイヤモンド型、リヤショックは本格的なプロリンク式モノショックを採用。
最大出力は9.8ps/9000rpm、最大トルクは0.81kgm/7000rpmを発揮。ボア×ストロークはエンジンを回してパワーを稼ぐ、53mm×45mm(エイプ50はボア42mm×ストローク35.6mm)のショートストローク型を採用。キャブレターは中口径のPDΦ22がチョイスされている。
●XR100R 主要スペック(2003年モデル)
全長:1870mm/全幅:815mm/全幅:1070mm/ホイールベース:1265mm/乾燥重量:73kg/燃料タンク容量:5.6L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒99.2cc/ボア×ストローク:53.0mm×45.0mm/圧縮比:9.4/最大出力:9.8ps/9000rpm/最大トルク: 0.81kgm/7000rpm/点火方式:CDI式マグネット点火/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前2.50-19 後3.00-16/当時の価格:22万9000円
「エイプ100」と「エイプ50」の大きな違いはココ!
エイプ100の弟分、エイプ50のエンジン・フレーム・足周りは、CB系の縦型エンジンを搭載したオフロードレース専用の300台限定モデル「XR80R」がベース。
エンジンは、XR80R用の「ボア47.5mm×ストローク45.0mm=79.7cc」から、「ボア42mm×ストローク35.6mm=49cc」に変更。ミッション、クラッチ、オイルポンプ、またリンク式リアサスペンションはXR80R用としている。
エイプ100は、弟分であるエイプ50がベース。外観は酷似した両モデルだが、細部は大きく異なっている。両者の主な違いは下記の通り。
・エイプ100は「XR100R用」をベースにしたエンジンを搭載。XR80R用ベースのエイプ50は「ボア42mm×ストローク35.6mm=49cc」、エイプ100は「53mm×45.0mm」に設定(※注1)
・排気量の大きいエイプ100は、エイプ50よりも腰上(シリンダーヘッドとシリンダー)が一回り大きい。また、シリンダーヘッドの位置が50よりも高いのが特徴
・エイプ100はシートレールを延長してダブルシートを装着。また、フレームにリブを溶接して、取り付けステーとタンデム用ステップを固定
・パワフルかつ2人乗り用に設計されたエイプ100のスイングアームとアクスルシャフトは、50よりも太くて頑丈なタイプを採用
・ホイールベースはエイプ50=1185mm、エイプ100=1190mm
・全長はエイプ50=1710mm、エイプ100=1715mm
・乾燥重量はエイプ50=75kg、エイプ100=82kg
・強度を高めるため、エイプ100用のリアホイールは窓(穴)が塞がれている
※注1:エイプ100とエイプ50のエンジンは、ベースが異なるため、カムチェーンテンショナーの構造等、細部が異なるのが特徴。そのため、「エイプ100用」として発売されているエンジンパーツは、エイプ50には装着不可。また、「エイプ50用」として発売されているエンジンパーツは、エイプ100には装着不可。
●エイプ100 主要スペック(2002年の初期型)
全長:1715mm/全高:970mm/全幅:770mm/ホイールベース:1190mm/シート高:715mm/乾燥重量:82kg/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒99cc/ボア×ストローク:53mm×45.0mm/圧縮比:9.4/最大出力:7.0ps/8000rpm/最大トルク:0.71kgm/6500rpm/点火方式:CDI/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12/当時価格:24万9000円(カラーオーダープランは26万4000円)
●エイプ50 主要スペック(2001年の初期型)
全長:1710mm/全高:970mm/全幅:770mm/ホイールベース:1185mm/シート高:715mm/乾燥重量:75kg/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:42mm×35.6mm/圧縮比:9.2/最大出力:3.7ps/7500rpm/最大トルク:0.37kgm/6500rpm/点火方式:CDI/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12/当時価格:19万9000円(デラックスは20万9000円)
縦型50ccエンジンはなぜパワーを出しやすい? ホンダ エイプを根掘り葉掘り。|シリーズ全モデル掲載
モンキー、ゴリラ、スーパーカブ、ダックス等の4MINIカスタムがブレイクしていた2001年(平成13年)に登場した「エイプ(Ape...
50は3.7馬力だけど、100は7.0馬力!ストリートでは余裕のパワーを発揮
原付2種のエイプ100は、2人乗りできるだけでなく、原付1種にあった「30km/h規制」や「二段階右折義務」からも開放。また、最高出力3.7馬力のエイプ50に比べ、余裕のパワーを誇る7.0馬力のエイプ100は、幹線道路などでもクルマの流れに乗れ、スムーズに走行できるのがポイントだ。
写真はエイプ100が発売になった頃の、懐かしいホンダの広告(月刊モト・チャンプ誌2002年5月号)。エイプ100は、タンデム(2人乗り)も可能なバイクであることをアピール。
当時のカタログにも起用された、モヒカンヘアのメインキャラクターは、ミュージシャンのKAB.☆氏(写真右)。サックスを持ってタンデムシートに座っているのは、レコーディングエンジニアの佐藤氏。
外装・足周り・エンジンのカスタムパーツも豊富な「エイプ100」は、“走り”のチューニングベースにも最適!レースでも大活躍!!
エイプ50と同じく、エイプ100は「Gクラフト」などから発売の社外ステムキットを使えば、ボルトオンでNSR50/80用のフロント周り一式が移植可能。また、各社から発売のキット等を駆使すれば、リアブレーキのディスク化も簡単に行える。
エイプ100のポイントは、“ポン付け”で排気効率がアップするスポーツマフラーやレーシングマフラーに加え、ノーマルの7.0馬力から、10馬力オーバーが期待できる115ccボアアップキット、15馬力オーバーが狙える125ccボア×ストロークキットなどの「エイプ100専用キット(※注1)」が発売されているところ。
キットの中には、吸排気ポートの拡大・燃焼室形状の変更・吸排気バルブを軽量化した「2バルブシリンダーヘッド」、吸気バルブ2本&排気バルブ2本を備えた「4バルブシリンダーヘッド」、カムシャフトを2本備えた「DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)シリンダーヘッド」など、超高性能タイプが勢揃い。
エイプ100はカートコースでのミニバイクレースはもちろん、国際ロードコースを使用した「DE耐(ツインリンクもてぎで開催)」や「鈴鹿Mini-Moto(鈴鹿サーキットで開催)」などの耐久レースでも大活躍。
絶版となった今でも、中古車市場では、ユーザーの個性を演出するための“カスタム素材”として人気を誇っている。
※注1:エイプ100とエイプ50のエンジンは、ベースが異なるため、カムチェーンテンショナーの構造等、細部が異なるのが特徴。そのため、「エイプ100用」として発売されているエンジンパーツは、エイプ50には装着不可。また、「エイプ50用」として発売されているエンジンパーツは、エイプ100には装着不可。
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