XSR155、CB190SS、W175cafe|小排気量ネオクラシックはなぜ人気? 比べてみた。/ヤマハ・ホンダ・カワサキ
- 2020/07/21
- 佐藤 快
カワサキインドネシアから発表され、日本ではまだ未発売のW175。日本では現在SOXが販売しています。
W175cafeと話題のネオクラモデル、XSR155、CB190SSを比べてみました!
PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
問い合わせ●バイク館SOX(https://bs-sox.com)
ヤマハ・XSR155.......399,000円(税込)
ホンダ・CB190SS.......399,000円(税込)
カワサキ・W175Cafe…….309,000円(税込)
スタイリング比較
3台を並べてみるとこんな感じ。
ヘッドライトは3台ともスタンダードな丸形ですが、よく見ると細かいところが違います。
大きさは同じですが、W175cafeは昔のバイク同様メインのバルブとは別にハロゲンのポジションが一灯入っています。
XSRとCBはメインがLEDとなっていてリフレクター自体に車名が入っていたり多少デザインされています。
ポジションもLEDで一灯入っているのではなく、XSRは上半分のみ、CBは内側のフチ部分全体がじんわり光る仕様。
作り込みだけで言えばW175cafeはスタンダードなオールドスクールスタイル、XSRとCBはスタンダードをベースに現代的なデザインに変わっています。
おまけにXSRとCBは倒立フォークを採用、W175cafeは正立フォークなのでフロント周りのマッスル感も違っています。
次にリアまわりから比較。
こちらもヘッドライトと同じくW175cafeはハロゲン、XSRとCBはLEDランプを採用。
デザインもW175cafeはクラシックバイクらしいスタンダードなスタイルですが、XSRとCBはトラッカースタイルのフェンダーに丸形、フェンダー一体型のランプなど流行りのトレンドを取り込んだスタイル。
そもそもW175cafeは2本ショック、XSRとCBはモノショックなのでリア周りの構造が違い、高さや厚みも違います。
もっと言えばタイヤの太さ、大きさも違うのでこの時点でW175cafeはネオクラシックというよりももっとクラシックバイク寄りの設計であることがわかります。
次にタンク+シート周り。
W175cafeのタンクは立体エンブレムを採用していたり、グラフィックも入っていてなかなかの作り込み。ブラウンのシートも合わさってカフェらしいスタイルに仕上がっています。
XSR155のタンクは他の2台と違ってタンクカバーを採用。
一昔前までフルカウルのスポーツバイクでしか見なかった手法ですが、XSR155はストリートバイクにも関わらずタンクカバーを採用しています。
日本ではまだあまり見ませんが、XSR155が売られている地域では社外の外装パーツが出ていたり、スタイリング面でも遊べるバイクだからこその工夫かもしれません。
シートもスタンダードな形ではありますが、赤いステッチが入っていたり純正にしては高級感高め。
CB190SSはいかにもCBらしいゴツっとした無骨なタンク。
エンブレムは日本のホンダではあまり見ない丸ロゴを採用し、シックな雰囲気に統一。
ダイアモンド柄のブラウンシートも合わさってネオクラシックらしいスタイルに仕上がっています。
エンジン比較
W175cafeのエンジンは4ストSOHC空冷177cc単気筒。
エンジンの細かい造形も一部フィンの外側が削られていたり、レトロ感漂う形に設計されています。
燃料供給はキャブレターのため、始動時はチョーク操作が必要となります。
キャブ未経験のライダーにとっては多少手間ですが、これが懐かしくて愛らしいと感じるライダーも一定数いるはず。
次にCB190SSのエンジンは4スト空冷184cc単気筒。
W175cafeよりも少し現代的な造形のエンジンですが、シリンダーだけでなくケースにもフィンが刻まれていたり、プラグコードが標準でレッドだったりとスポーティなルックスとなっています。
燃料供給はインジェクション式。
面倒なことは全てコンピューターがやってくれるので一発始動はもちろん、標高の高い山の上など空燃比が変わってしまう場所でも常にベストなセッティングで走ることができます。
XSR155のエンジンは4ストSOHC水冷155cc単気筒、と今回唯一の水冷エンジンに加え、唯一VVA(可変バルブタイミング)システムを採用。
ラジエターが搭載されていたり他の2台よりもパーツ数が多いですが、そもそもフレームの形状も大きく違うためコンパクトに収まっています。
燃料供給はインジェクション式となっています。
足回り比較
W175cafeは前後スポークホイールに17インチの細いタイヤを採用。
最近のバイクでこのサイズは細すぎる!と思いますが、W175cafeは全体を通してクラシカルな要素が強いバイクなので一昔前の細いタイヤサイズのほうがクイックなハンドリングになって車体とのマッチングがいいと思います。
サスペンションはフロントが正立フォーク、リアが2本ショック。
ブレーキはフロントがシングルディスク、リアがドラムとなっています。
次にCB190SSの足回りはこちらもスポークホイールとなっていますが、サイズは現代の250の定番サイズと同じ。
純正はスクランブラー的なブロックパターンのタイヤを採用しています。
サスペンションはフロントが倒立フォーク、リアがリンク式モノショック。
ブレーキはフロントがシングルディスクでABS付き、リアもディスクとなっています。
XSR155の足回りはキャストホイールを採用。
YZF-R25などのホイールにもよく似ていて、キャストなのに主張しすぎないシックな雰囲気のデザイン。
サスペンションはフロントが倒立フォーク、リアはモノショック。
ブレーキは前後共にディスクブレーキとなっています。
クラシカルな味付けが楽しい!
W175cafeはこれまで紹介していた通りクラシックな作りなので、速いなどの期待はしていませんでしたが、実際乗ってみると想像以上にクラシック…。
何も知らずに乗ったら70年代のマシンをベースにカスタムした車両と勘違いするかもしれません。
急加速や高速巡航ではもっさりと吹け上がってくるので高回転まで回してもイマイチパワーを感じません。それよりも低回転の粘り強いエンジンが街中では扱いやすい印象です。こういうフィーリングのバイクって現代じゃまず他にありません。
このサイズ感の車体にゆったりと吹けるエンジン、よく動く足回りが合わさると、いつもは気にもしない程度のコーナーでも楽しく走れます。バイクと一体となって走る感覚を忘れていた事を教えてくれました。
最近のバイクはどれもハイテクなので特殊なことをしなくてもある程度誰でも楽に、速く走れると思います。
しかしW175cafeは乗り手のスキルがそのままバイクの動きに反映される味付け。だからこそ普通じゃ満足できないようなスピードで走っていても満足できてしまう部分もあります。
コーナー手前で一気に減速してさすが戻る前に一気に車体を倒し込んで曲がっていく時の感覚なんかは今回の3台の中で一番楽しく思いました。
ハイテク、ではありませんがローテクだからこそ良さが光るバイクでした。
CB190SSは190ccにも関わらず、CBらしい安定感を感じるバイク。
低回転では粘り強さと瞬発力のちょうどいいバランス加減、高回転まで回すと谷を感じること無く一気に吹け上がっていきますが、そのまま高速巡航もできちゃいます。
W175cafeとはある意味対照的で全体的にかなりハイテクな作りです。
スポーツマシンのような激しさこそありませんが、スクーターのようなこれ1台で基本何でもできてしまう安定感があります。
お互いに違った得意分野を持ってるバイクなので、今回W175cafeとは比較しがいのあるマシンでした。
今回もっとも現代的な性能だと感じたのはXSR155。
一番小さい155ccという排気量ながら回して一番パワーを感じました。
街中で使う低〜中回転は150ccクラス相当の大人しさでバランス良くゆったりも素早くも走れます。
感動したのはVVAが効き始めてくる高回転域。
メーターにVVAの表示が出て効き始めた瞬間から回転が上がるにつれ、常に伸び続けるんです。
頭打ちはレッドゾーンの手前まで、それまでは250とも思えるパワー感で伸び続けます。
元々が水冷エンジンなので、高回転で伸びても何もおかしくはないのですが、今回の3台の中で比較するならやっぱりXSR155が一番良くできているエンジンだと思います。
結果、どれが一番のネオクラ?
それぞれ比較してみた結果、やはりトータルでみるとXSRが一番優秀に感じました。
スタイリングの作り込みしかり、エンジンの完成度しかり、値段が張るだけあってよくできているバイクだと思います。
しかしXSR155には逆にW175cafeのようなゆるさ、渋さは一切無く、CB190SSのような抜群の安定感はありません。
なのでバイクを何で選ぶのか次第になってきますが、W175cafe、CB190SS、XSR155それぞれ似たジャンルのバイクですがそれぞれ違った別の魅力を持っています。
ネオクラの中でもこんなにジャンルが派生したいたのは驚きでした。
ネオクラシックは見た目だけじゃなく乗り味でもクラシックがあると知ったのはW175cafeが初めて。
これからさらに発展していくネオクラの展開が楽しみです!
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