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W175をベースにしたスクランブラー|カワサキW175TR SE レトロ系スクランブラーW175TR SE試乗|W175 Cafeとは意外なほど異なる乗り味。

  • 2020/07/05
  • 後藤武
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W175 TR SEは、2017年からインドネシアで販売されているW175のスクランブラータイプ。日本国内で販売されていた250TRと良く似たスタイル、テイストのマシンである。

PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
問い合わせ●バイク館SOX(https://bs-sox.com)

カワサキW175TR SE……30万9000円/29万9000円(白)

 W175TR SEは、同時に試乗したW175カフェと外観、マフラー、タイヤなどが異なる兄弟モデル。従って乗り味も似たようなものだろうと思っていたのだが、これが予想以上に違っていた。

まったりした特性のエンジンは、ノンビリと走っていても楽しい

 エンジンーの性格は基本的に低中速型。ストリートを走るのに十分なトルクはあるが、特に力強いというわけではない。全体的にまったりとした性格で、高回転まで引っ張っても特にパワーが出てくるわけではない。
 その代わり扱いやすさやスムーズさは素晴らしい。国内モデル250TRのエンジンをそのままスケールダウンしたような感じだといえばわかりやすいかもしれない。
 

 エンジンの特性に関してはW175カフェと同じ。マフラーの違いで排気音が若干歯切れのよい感じがする程度だ。

ディメンションの違いで性格の異なるハンドリング

 違っていたのはハンドリングである。W175カフェがステアリングの動きもニュートラルでバイクを寝かすと自然に旋回していくのに対し、W175 TR SEはステアリングの舵角が多めにつき、フロントから回り込んでいくようなイメージ。

 ハンドリングに影響する部分の違いはスクランブラー風のタイヤとアップハンになって起き上がったポジションになっていることくらいのはず。
「それにしてはずいぶんハンドリングが違うなあ」と思って2台を比較してみるとリアサスの長さが違っていた。W175TRのリアショックが目測で20mmほど長い。つまり車体が前下りの姿勢になり、キャスター角の立ったセッティングになっているのである。
 リアが持ち上がっている為にバンク角も深くなっている。2台一緒に走っている時にカフェだけバンクセンサーが接地することが多い理由もここにあった。

 アップハンドルで上体の起きたポジションと、このハンドリングのマッチングは悪くない。タイトなコーナーは少し攻めてみようかなという気持ちにもなる。おそらく、このハンドリングがW175本来の味付けなのだろう。カフェは前傾ポジションになったため、リアを少し下げてバランスを取ろうとしているのかもしれない。

 試乗では少しオフロードも走ってみた。軽い車体とスクランブラー風のタイヤ、アップハンドルのおかげで、林道のような場所やフラットダートであればそれなりに楽しむことが出来る。ただし、路面状況が悪くなってくると、さすがにオフロードバイクのような感じにはいかない。オンロードバイクにオフロードタイヤとアップハンドルを装着したスクランブラーであれば、これは仕方ないこと。ツーリング先でオフがあっても、あまり苦にならないというレベルで考えておけば間違いないだろう。

 W175TR SEと W175 Cafeの2台を比較してみればハンドリングに違いはあるものの、基本的な性格は同じ。ストリートで扱いやすく、まったりとした性格のマシンだ。飛ばしたい人には物足りないだろうが、速さを求めていない人にとっては十分な動力性能を持っている。急かされたりせず、気楽にバイクに乗りたいという人にはうってつけのマシンである。

アップハンドルの為上体は起きてリラックスしたポジション。ストリートではマシンコントロールもしやすい。
リアショックの違いで足つき性はW175Cafeよりも若干悪い。しかし元々車体が小さい為、気になるレベルではない

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