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安心を得る、速さを得る。ホンダ新型CBR600RRの電子制御システムを知る。

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各社のハイエンドモデルに装備されるような最先端の電子制御システムが、ついに新型CBR600RRにも搭載された。
REPORT●川島秀俊

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ホンダCBR600RR……1,606,000円(消費税10%を含む)

主要諸元

ホンダCBR600RR……1,606,000円(消費税10%を含む)

 新型CBR600RRの電子制御システムは新たに採用された電子スロットルのTBW(スロットル・バイ・ワイヤ)と、車体の挙動を検出するIMU(イナーシャル・メジャーメント・ユニット)によって実現できたもので、ABSシステムもIMUとの連携で大きく進化。プログラムとしては先に発売されたCBR1000RR-Rと同じものとなっており、エンジン出力や車体の挙動を緻密に制御してくれる。この最新の電子制御が目指したのは、レースシーンでも通用するコントロール性の向上と、高いポテンシャルを操作する際のストレスを解消すること……つまり、どんなレベルのライダーでも扱いやすく、安心感を提供できるように仕上げられている。

 新型CBR600RRの開発コンセプトは、ズバリST600などのプロダクションレースで勝つこと! タイヤグリップのギリギリを使い切るセンシティブな制御ができなければ、この命題はクリアできない。今回採用されたHSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)というトラクションコントロールシステムはスリップレートとスリップ率の両面からエンジン出力を制御しており、TBWでアクセル開度、さらにECUから点火カットすることで最大限のパフォーマンスを保ち続けられる。レースでは一発の速さだけでなく、ゴールまでハイアベレージを続けるタイヤマネージメントも必要となる。HSTCは個々のコーナーで加速力を担保しつつ、タイヤへのダメージも最小限にコントロールできるのだ。

 実はこのHSTCによるトラクションコントロールは、ライディングモード設定の1項目に過ぎない。これだけでも9段階+オフという繊細なセレクトが可能だが、他の項目ではパワーセレクターが5段階、ウイリー制御が3段階+オフ、エンジンブレーキ制御が3段階と4つの項目のパラメータを最適にセレクトできる。ライディングモード設定では「クイック」「リニア」「スムーズ」というメーカー推奨のプリセットが3モード選べるほか、4つの項目を自由に設定できるユーザープリセットも2パターン登録できるので、個々のライディングに応じて好みのセッティングが簡単に保存可能だ。
 IMUの新採用はパワーマネジメントだけでなく、ABS制御にも優れた恩恵をもたらしている。従来はブレーキロックを制御するだけだったが、新たに旋回中の制動力をコントロールできるようになり、コーナーアプローチ中のブレーキングが安心してできるようになった。また、急制動時の後輪リフトも抑制できるようになり、誰もが効率良く安定したブレーキングが可能となっている。この進化したABSは、万一に遭遇しかねない一般ライダーにも大きな安心を与えてくれるものだ。

 今回はオプション装備となったが、クイックシフターの採用も見逃せない存在。アップ/ダウンの両対応で使い勝手も良く、ツーリングや街乗りでもレバー操作の減少は疲労軽減に貢献してくれる。操作する踏力の感度は3段階に調整できるので、まさに人馬一体といえるシフトワークを追求できそうだ。

 新型CBR600RRのメーターはフルカラーTFT液晶式に進化しており、表示情報を「ストリート」「サーキット」「メカニック」の3モードから選択できる。周囲の明るさに合わせて自動調光し、最大1000カンデラのバックライトによって昼間の視認性も良好だ。画面操作は左側ハンドルの手元スイッチに変更され、ライダーの使い勝手が向上。ラップタイマーのトリガーも使いやすく、一人でもサーキット走行がエンジョイできそうだ。
 新型CBR600RRで最大の進化といえる電子制御システムは。優れたパフォーマンスを安心して使いこなすために欠かせない存在といえるだろう。最先端のノウハウが凝縮された完成度は、ミドルクラス随一の魅力と言っても過言ではない。

主要諸元

車名・型式:ホンダ・2BL-PC40
全長×全幅×全高(mm):2,030×685×1,140
軸距(mm):1,375
最低地上高(mm)★:125
シート高(mm)★:820
車両重量(kg):194
乗車定員(人):2
燃料消費率(※6)(km/L):
国土交通省届出値…定地燃費値(※7)(km/h)23.5(60)<2名乗車時>
WMTCモード値★(クラス)(※8)…17.3(クラス3-2)<1名乗車時>
最小回転半径(m):3.2
エンジン型式・種類:PC40E・水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒
総排気量(㎤):599
内径×行程(mm):67.0×42.5
圧縮比★:12.2
最高出力(kW[PS]/rpm):89[121]/14,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):64[6.5]/11,500
燃料供給装置形式電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-DSFI)>
始動方式★:セルフ式
点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式★:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):18
クラッチ形式★:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速…2.615
 2速…2.000
 3速…1.666
 4速…1.444
 5速…1.304
 6速…1.208
減速比(1次★/2次):2.111/2.562
キャスター角(度)★/トレール量(mm)★:24°06´/100
タイヤ:前…120/70ZR17M/C(58W)、後…180/55ZR17M/C(73W)
ブレーキ形式:前…油圧式ダブルディスク、後…油圧式ディスク
懸架方式:
 前…テレスコピック式(倒立サス ビッグ・ピストン・フロント・フォーク)
 後…スイングアーム式(ユニットプロリンク)
フレーム形式:ダイヤモンド

◼道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元) 
■製造事業者/本田技研工業株式会社
(※6)燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
(※7)定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
(※8)WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます

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