【実走燃費29.7km/L】大きすぎず、小さすぎず、両足べったり、理想のサイズ感。|ホンダ・レブル250試乗
- 2020/10/01
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MotorFan編集部 近田 茂
ホンダのクルーザーモデルとして根強い人気を獲得しているレブル250。シンプルなデザインの中に異色なセンスを込めたフォルムはそのままに、灯火器のフルLED化や細部の熟成と車種の追加も含め、マイナーチェンジされて新登場3月19日から新発売されている。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
※2020.10.2 一部記事内容を修正しました。
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・レブル 250.......599,500円
REBELは、1985年4月にアメリカンスタイルのスポーツバイクとして初登場。233ccの空冷2気筒エンジンを搭載し339,000円(税別)で発売された。当時の車名は大文字表記だったが、2017年の4月にrebel 250として復活デビュー。堂々と立派なフォルムと共に、日本的な程良いサイズ感のクルーザーモデルに仕上げられた。250と500の兄弟モデルが同時にリリースされ、エンジン関係以外は、ほぼ全てが共通で開発されていた事でも話題に登った。
この復活したレブル、プレスリリースによれば「自由な発想でカスタマイズを想起させるスタイリングを表現」とあり、オーナーの好みに合わせて個性を主張する。そんな楽しみを演出できるベースモデルとしても相応しい。4頁物で制作された250の製品カタログより、カスタマイズ・パーツカタログ(6頁)の方が充実していた程なのだ。
確かにそのスタイリングは、ライダーファションも含めて自由度の大きな雰囲気に包まれている。スポーツバイクで無いことは明確で、オーナーそれぞれ好みに応じたニーズに対して柔軟に対応してくれそう。
デザインコンセプトは「SIMPLE」「RAW(未加工の素材) 」とされ、細身でくびれのあるフォルムやブラックに仕上げられたエンジン等が特長。タフでクールなイメージを表現すると言われた。
大きく傾斜してマウントされたタンクデザインや前後に16インチのワイド&ファットサイズタイヤを履くのも個性的である。
ホイールベースは1,490mm と長く、それはCB1000Rを凌ぎ、CB1100に匹敵する。φ41mmのSHOWA製フロントフォーク左右の幅は230mmとワイドに設定。太いタイヤと共に堂々とした存在感を醸しだしている。リヤにはφ45mmのスチールパイプ製スイングアームに窒素ガス封入式ツインショックを装備。フレームはクレードルを持たないダイヤモンド式だ。
DOHC水冷単気筒の搭載エンジンは基本的にCRF250LやCB250Rと共通で、圧縮比の10.7対1も同じ。フリクションの少ないローラーロッカーアームを介して駆動される狭角4バルブヘッドを持ち、ボア・ストロークは76×55mmというショートストロークタイプの249ccである。
その出力特性はCRF250LとCB250Rの中間的なレベルに仕上げられている。トランスミッションはCRF250Lとは別物。1次2次減速比も含めてCB250Rと共通だが後輪の外径寸法の違いで、実際の総合減速比はCB250Rより少し高めになっていると思われる。
パルス感を表現するためエンジン内部のギヤや、マフラー内部構造にもこだわりを持って造り込まれたと言う点も見逃せない特長である。
灯火類は全てLED 化され、丸形ヘッドランプデザインの中に、4灯が組み込まれたフロントマスクもユニーク。ウインカーはクリアレンズの丸形に変更。テールのフィニッシュはスマートに仕上げられた。
なおレブル 250の販売計画台数は、年間9,000台。ヘッドライトカウルやブラウンのカラーシートを装備した上級のS Editionも追加投入されている。初代登場時の販売計画は1,500台であった事を思い出すと、レブル250の人気ぶりが理解できるのである。
気軽に楽しめる自由なジャパニーズ・クルーザー
試乗車を目の前にすると、なかなか堂々と立派に見える。かと言って大き過ぎる事の無い程良いフォルムが好印象。シートは低く、腰を下ろす感じで座り込める。膝を曲げても両足は地面にベッタリ。車重は少し重めだがバイクを支える不安は感じられないし、取りまわしは軽快で、気楽に扱える。
ステップは脛の少し前にあり、足を乗せると腰から膝までの股はほぼ水平に前方へ伸びる。両手も前方に伸ばす感じでゆったりした乗り味が新鮮。そして走り始めると、全身に浴びる前方からの風がとても心地良いのである。
バイクに乗ると「風になれる」と言う定番中の定番話が思い出された。初めてバイクに乗るビギナーライダーがバイクの魅力を素直に肌で感じ取る事ができる心地良いワンシーンがとても微笑ましく思えた。
もちろん高速道路で風を浴び続けると、前方からライダーを襲う風圧が苦痛になる事もある。ただ一般論としてカウル無しで耐えられるのは120km/h程度迄であり、所詮はそれほど飛ばしたいと思う類のバイクではないので、「風」に対する印象は辛さではなく、快適さの方が勝って感じられる。それがレブルの魅力となるのである。
特に空いた郊外の道を60km/hぐらいの速度で流す時の快適かつ解放感に溢れる乗り味は侮れない。また上体の起きた姿勢で乗る関係で、前方視界が開け周囲の景色も目に入りやすく気ままな散策やツーリングにも相応しい乗り味りがそこにある。
250の単気筒エンジンは、クラッチミートの瞬間から不足のないトルクが発揮され、実際軽やかに加速する。その吹き上がりは乾いた歯切れの良い排気音と共に、十分に元気良い走りを発揮。
タコメーターが無いので外付けの回転計を装着して走ると、市街地レベルの走りなら、加速時でも4,000rpm程度しか回していない。言い換えるとそんなに回さなくても、つまり上まで引っ張らなくても十分にキビキビと快適に走ってくれる。
ちなみにアイドリングは1,500rpm、ローギヤでエンジンを5,000rpm回した時のスピードは25km/h。そして6 速トップギヤで100km/hクルージング時のエンジン回転数は5,900rpmだった。
同エンジンを搭載するCB250Rのデータは約6,500rpmだったので、車輪の違いによってレブル250の方がより静かにクルージングできると言うわけである。
操縦性は素直で直進安定性も良くタイヤのグリップ感も頼り甲斐のあるフィーリング。荒れた路面では前後サスペンションから、吸収しきれない衝撃が伝わって来て、乗り心地はやや硬め。少しばかりドタバタ感があり、ダンパーの効きがお粗末に感じられたが、総じて軽快で親しみ易い乗り味は魅力的だった。
本誌編集長の言葉を借りれば、「とにかく懐の広いバイクなので、初めての1台に悩んだらこれを買ってみてもいいかもしれない。次にどんなタイプのバイクに乗りたくなるのか、本命と出会うまでのつなぎのつもりでも十二分に期待に応えてくれるだろうし、乗ってる間に気に入って長く乗り続けてしまうかもしれない」と言う。
確かにフレンドリーで扱いやすく、かつ大らかな乗り味を楽しめるのが印象的。旅の道具として日常の足として、普段から親しめる相棒感覚で乗るに相応しいと思えた。
なお、今回の試乗&撮影での走行はおよそ100km。市街地から郊外と高速を走行、満タン法計測による実走燃費率は29.7km/Lだった。
足つき性チェック(身長168cm)
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