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【けっこう軽い】車重96kgって素晴らしい。新型ホンダ・Dio 110 は、原付二種クラスの入門機としてベストなスクーターだ。

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2月25に新発売された原付二種スクーターのDio110は、エンジンもフレームも一新されたフルモデルチェンジ車。デザイン・イメージや、車体寸法に大きな変化は見られないが、果たしてどのような進化を感じ取れるのだろうか。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダ・Dio 110.......242,000円〜

パールジャスミンホワイト
ディセントシルバーメタリック
マットギャラクシーブラックメタリック.......245,300円
マットスターリーブルーメタリック.......245,300円

 既報の通り新登場のDio 110 はフルモデルチェンジされている。踏襲されたスタイリングイメージが示す通り、前後14インチホイールの採用や、ステップスルータイプのフラットフロアを持つ基本デザインは同じ。
 しかしユニットスイング方式で搭載されたeSPエンジンはボア・ストロークを変更し、さらにロングストローク化されている。圧縮比が9.5対1から、10.0対1に高められ、特に実用域での出力特性を向上。フリクションロスの低減化も相まって、燃費性能もレベルアップされている。セルモーターを廃止し、ACGスターターの活用も新しい特徴だ。
 フレームも新設計されたeSAF(Enhanced Smart Architecture Frame)を採用。プレス成形された部材をレーザー溶接する方法で作られ、軽量化に貢献。縦方向のたわみに対する剛性も最適化(強化)されている。トータルで車重は従来モデルより4kg軽い96kgに仕上げられた。
 従来のJF58Eエンジンは、ボア・ストロークが50×55.1mmの108ccだったが、新型のJK03Eエンジンは、ボアが3mm縮小されて、ストロークを8mmも伸ばして109ccに。ボア・ストローク比は1.102から1.343へ大胆なロングストローク化が印象的。
 結果的に燃費性能が着実に高められているのも見逃せないところである。

ステップスルーの基本的なスクーターフォルムを構築するアンダーボーンタイプの新型フレーム。生産効率の追求(生産性と製造品質向上)にも余念がない。
大きくロングストローク化した新型eSPエンジン。燃料消費率が向上している。

際立つ軽快感。走りの安定性も心地よい。

 試乗車を目前にすると、フロントマスクを始め、ステップスルーのフラットフロア・デザイン。前後14インチホイールの採用や基本的な車体寸法に大きな変化は感じられない。
 もちろん車体全体のカバーリングデザインやホイールも一新されているのは理解できるが印象としては先代モデルのフォルムが継承された新スタイリングとなっている。
 ただ明確な違いを感じたのは、フロアステップの内側にレイアウトされた樹脂製パネルの一部を始め、マフラーやエアクリーナーカバー他に「グラデーションテクスチャー」と呼ばれる独特な表面処理が施されていた。
 上手い例えが見つからないが腕時計の裏蓋内面等で見られる梨地に柄を加えた様な感じ。光線の当たり具合によって反射光が変化する幾何学模様が印象深い。好みは分かれるかもしれないが、ひと工夫新しいデザインにトライしてくれた斬新さを覚えた。
 そしてもうひとつ、スマートキーシステムを新採用。説明は割愛するが、通常の使い勝手としてキーシリンダーのある従来モデルの様に鍵を抜き差しする手間が省けるので、アクセスが容易で快適である。

 車格的にはほぼ同じで、誰にも親しみやすい雰囲気が堅持されている。そして取り扱いが軽快。従来モデルも軽快だったが、さらに軽さが際立つ印象。取りまわしがより楽になっている事が感じられた。
 バイクと比較すると軽過ぎるぐらいに感じられるかもしれないが、走り出し、スピードが乗るにつれて、小径ホイールスクーターとは明確に異なる独特の安定性が感じられ、落ち着きのある乗り味が好印象。
 車輪の回転慣性力が増大することと、細めのタイヤとのマッチングで、軽い車体でも確かな直進性と、落ち着きのある快適なクルージング性能を発揮してくれるのである。
 前後サスペンションの動きも初期の作動性が進化しているように感じられた。サスの取付剛性が高まっている様な感覚で、荒れた路面の連続でも以前より乗り心地が良かったのも嬉しいポイント。
 そしてエンジンもゆったりと頼もしいパワーフィールになっていた。実力的に大きく明確な差が感じられる程ではないのだが、市街地走行時の静かさとゆとりの増した乗り味が印象深く、結果的に自然とスロットル開度がセーブされるイメージ。
 Vマチックも含めて駆動系のギヤリングに変更は無いが、あるいはVベルトやドライブプーリーの作動具合は、出力特性の変更に伴いチューニングし直されているのかもしれない。
 市街地を走るごく普通の走行では、メーター右上のECOランプ点灯を意識するまでもなく、右手のスレットルをあまり開けなくて済んでしまう。結果的に平地を走る限りはほとんどの場面でECOランプは点灯しっぱなしになる。そんな柔軟性を増した余裕を感じられる出力特性が印象深いのである。

 外付けのタコメーターを装着して試験路を全開で発進すると、60km/hで5,700rpm、80km/hで6,500rpm。そして7,500rpmで90km/hをマーク。上体の起きた通常姿勢でもここまでは難なく到達するがこの上は伸びない。伏せ姿勢をとってもせいぜい95km/hの7,900rpm止まりである。
 もちろん実用上はこれで十分。ピーク性能のポテンシャルとしては先代モデルを凌ぐレベルでは無いと思うが、常用域のゆとりある乗り味と柔軟性のある穏やかな快適性には確かな進化が感じ取れるものだった。
 ちなみに通常の市街地走行(平坦路)では60km/hで5,000rpm。50km/hで4,700rpm、40㎞/hで4,200rpm程度。もちろんライダーの体重や路面の勾配といった走行負荷によってエンジン回転数は変化する。なおエンジンブレーキは10km/hぐらいまで効いており、クラッチが切れる時も唐突ではなく自然な感じで扱いやすかった。
 アイドルストップの再発進も違和感なく、メカノイズの無いACGスターターも快適。前後連動ブレーキも扱いが楽で安定した制動力を発揮してくれた。
 高い燃費性能も期待できるし、何よりも廉価な価格設定が魅力的。改めてコスパに優れた優良商品であることは間違いないのである。

足つき性チェック(身長168cm)

スクーターの割にはほっそりとシェイプされた車体デザイン。シート高は760mm、ご覧の通り両足はべったりと楽に地面を捉えることができる。

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