モーター駆動をプラスしたハイブリッドスクーター、新型PCX e:HEV。その加速性能はPCX160に匹敵する !?|ホンダ
- 2021/02/19
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MotorFan編集部 近田 茂
2020年12月8日に発表された新型PCXは2021年1月28日から新発売された。PCXと同160に関しては既に試乗報告済みだが、今回は「Honda 二輪EV扱い店」にて販売されるe:HEV(イーエイチイーブイ)に試乗した。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダPCXがモデルチェンジで大進化|通勤バイクでありながら、ツーリングの相棒にもなる逸材だ。
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+7cc、2バルブ→4バルブ化で0.8psアップ。フルモデルチェンジで進化したホンダPCX160に乗る。
PCXシリーズのモデルチェンジは、国内では軽二輪となるPCX150も大きく変貌させました。新設計されたエンジンは排気量を149㏄...
ホンダ・PCX e:HEV.......448,800円
既報の通りPCXはフレーム、エンジン等、ほぼ全ての部分が新設計されて第4世代モデルへと大きくフルモデルチェンジされた。そのバリエーションの一つに加えられているのが今回試乗したe:HEVである。
ご存知の通り、エンジンとモーターの動力を協調制御して両方を賢く使うハイブリッドモデル。ごく簡単に説明すると、基本となっているPCXと同様に動力源はエンジンが主体となっているが、電力によって駆動させるモーターがそれを加勢する仕組み。
普通のエンジン車であるPCXの基本を、大きくは変えない構造で構築されている合理設計も見逃せない。
注目のモーターはACGスターターを活用。つまり交流発電機に電流を流す事で回転力を発生、セルモーターは不要で合理的なクランキングを静かに果たす物だが、それを増強してアシストモーターとしても機能させている。
48V系のリチウムイオンバッテリーを後席下の位置に搭載。それに合わせた電気(制御)系に変更されている。さらにエンジンとモーターを一つのPDU(パワー・ドライブ・ユニット)で制御する。つまり基本構造の多くはPCXと変わらぬままに、ハイブリッド化しているのが大きな特徴なのである。
リチウムイオンバッテリーを搭載する分、スペースが奪われ、コストや車重も増加するが、立ち上がりから最大トルクが発揮されるモーターの特質を活用することで、より強力な発進加速性能を発揮できる。
ゼロ(停車状態)からいきなりビッグトルクを発揮させることで、エンジンへの負担は大きく軽減される。言い換えるとまるで下り坂や強い追い風を受けて発進するかの様に軽快な滑り出しが期待できる。
モーター動力で加勢される分、PCX(普通のエンジン車)と比較すると、エンジンへの燃料供給がセーブ(節約)され、結果的に燃費性能が向上するメリットも見逃せないだろう。
さらに言うと、エンジンパワーとモーターパワーをフル活用すれば、それこそPCX160のパフォーマンスを凌ぐ領域があるほど、強力な走りも期待できるのである。
ホンダのオフィシャルWEBサイトから引用すると、スロットルを開けるとモーターが約4秒間、エンジンをアシストするという。4,000rpm時のPCXと比較すると33%のトルクアップに相当。当初の3秒間はフルアシストし、その後の1秒間でアシスト力は徐々に減少する設定になっていると言う。
ちなみに諸元データによれば、フルアシスト時の最大トルクは16.3Nm。PCX160の15Nmを凌ぐ。フレーム等の車体関係はほぼ共通。明確な相違点は次のイラストでわかる通りリチウムイオンバッテリーの搭載と縮小されたシート下収納スペース程度。ただし車両重量は4kg増加している。
125ccカテゴリーとは思えないほどにトルクフルな走りが気持ちいい。
もともとPCXだってその走りの性能に不足は感じていなかった。コスパに優れた原付二種スクーターとしてとても魅力的な製品だと高く評価していたのが正直なところである。
しかしe:HEVに乗ると元気の良いスタートダッシュやスロットルレスポンスが魅力的に思えてくる。特に発進時の加速力は強力で、仮にPCX160と共に走っていても、市街地ならそのポテンシャルは決して引けを取らない。
4kgの重量増は、ほとんど気になる事はなく、あえてネガな要素を上げればシート下収納容量が6L減少している事ぐらいだろう。
とにかく走りは元気良い。出だし当初の “クイック” 感、スッと遅滞なく発進する点も気持ち良いのである。ただしその快活な加速フィールは継続的ではなく、前述の通り、時間経過と共にモーターアシストが緩和されてしうまから、通常のクルージング時はPCXと同様な走りとなるわけだ。
もちろん追い越し加速や登坂等でアクセルをワイドオープンすれば、再びモーターアシストが働いて、エンジントルクを補ってくれるから心強い。
アシストがフル活用されている時は、PCX160に匹敵するパワフルさが発揮され、125ccとは思えない逞ましい乗り味にしばし感激することは間違いないだろう。モードスイッチでアシスト具合の強弱も切り替えられる。
また熟成された足回りで乗り心地がさらに快適になっている点も嬉しいところだ。
アシスト具合に違和感は無く、そんな走りもすぐに慣れてくる。自然と馴染んで来る程度の差でしかないのもまた事実で、バッテリー管理も含めてその巧みな制御具合に関心させられた。
数日間、足代わりにアチッコチと試乗してきたが、PCXとの比較でハッキリと気づいた事がある。試乗当初こそそのパフォーマンスを確かめ(楽しみ)たく、アクセルワイドオープンな走りを堪能したが、通常用途では明らかに、それもごく自然と右手のスロットル開度が少ないと感じられた。
つまりPCXよりも常用スロットル開度が小さくなると言う事実だ。当然の事ながら、結果的に省燃費運転にも大きく貢献してくれることは間違いないのである。
またハイブリッドとは無関係ながら唯一気になったのは、ホーンボタンの位置。個人的な慣れの問題なのかもしれないが、咄嗟の時に鳴らしそこねてしまう事があった。
正直、自分が原付二種スクーター購入を検討した時、税込みで9万1,300円になるPCXとの価格差に悩むことは間違いないと思う。お得感では圧倒的にPCX優勢なのだが、元気の良い豊かな走りっぷりから発揮されるe:HEVの贅沢で進歩的な乗り味の魅力もまた侮れないのである。
足つき性チェック(身長168cm)
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