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日本導入未定の新型スクーターをインプレ!|キムコ・XタウンCT125

  • 2021/06/05
  • 大屋雄一
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2018年のEICMAでデビューし、2019年の東京モーターサイクルショーで参考出品されたキムコのXタウンCT125だが、現在は国内販売を検討中の段階。現在、原付二種スクーターの販売ランキングはホンダ・PCXの独壇場となっており、そこに割って入れるだけのオリジナリティがあるのか気になるところ。今回はその最新モデルに乗り、メインステージの市街地だけでなく、峠道でもじっくりとチェックしてみた。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
問い合わせ●キムコジャパン(http://www.kymcojp.com/index.html)

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キムコ・XタウンCT125……価格未定

大柄かつ軽くはないボディだが、15psのエンジンがそれをフォロー

フラットフロアモデルにありがちなシャシーの弱さはほぼ皆無

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

ディテール解説

XタウンCT125 主要諸元

キムコ・XタウンCT125……価格未定

276ccのXタウンCT300と車体を共有しているため、原付二種とは思えないほど大柄だ。ホイールベースはPCXの1315mmより約20cmも長い1513mmを公称する。
ホイール径はPCXがフロント14インチ/リヤ13インチなのに対し、XタウンCT125は前後とも13インチを選択。なお、試乗車の装着タイヤはフロントがマキシス、リヤがCSTだった。

大柄かつ軽くはないボディだが、15psのエンジンがそれをフォロー

1964年に創業し、1992年に自社ブランドを立ち上げた台湾のキムコ。今では世界107か国に販売チャンネルを持つほか、BMWへスクーターのエンジンを供給したり、カワサキと業務提携を結ぶなど、成長の勢いは増すばかりだ。台湾は世界有数のスクーター大国であり、その地において21年連続新車販売台数ナンバー1を誇るキムコは、日本メーカーのラインナップにはない個性的かつ魅力的なモデルを多数輩出している。今回紹介するXタウンCT125も、もちろんその例に漏れないのだ。

このXタウンCT125、300と共通シャシーという大柄なボディながら、乗り降りのしやすいフラットフロアを採用しているのが最大のポイントだ。剛性を確保するのが難しいアンダーボーンフレームのまま、足を伸ばせるほどのフロア長を確保したのは注目に値する。しかも燃料タンク容量は、フロアトンネルを持つホンダのPCXより2.4リットルも多い10.5リットルを公称。こうしたパッケージングの妙、さすがはスクーター大国生まれだ。

124.8ccの水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンは、EUのA1ライセンスで乗れる上限の15psを発揮する。PCXが12.5psなので、さそがしスタートダッシュは力強いかと思いきや、意外とスムーズで拍子抜けした。それもそのはず、乾燥重量が167kg(PCXは装備重量で132kg)と重いことが影響しているようで、発進加速はこのクラスとしては標準レベルだ。それと、最高出力15psを9000rpmという高回転域で発生する特性のためか、加速する際は常に7000rpm付近を多用している。結果、やや気忙しいという印象はあるものの、この大柄かつ重いボディを過不足なく走らせるだけの能力があることは十分に確認できた。

フラットフロアモデルにありがちなシャシーの弱さはほぼ皆無

続いてハンドリングについて。試乗を開始する際、わずかに取っ付きにくさを感じたが、それは150というワイドなリヤタイヤによるロール方向の手応えと、穏やかな舵角の付き方などが影響しているようだ。とはいえ、それらは数kmも走っていれば慣れるレベルであり、試乗後半にはその手応えに安心感を覚えるようにすらなった。

ホイールベースが1.5mを超えるため、キビキビと向きを変えるタイプではないが、交差点の右左折から片側2車線道路のレーンチェンジまで、操縦に関して特別な操作は一切必要なし。試しに峠道にも足を運んでみたが、バンク角不足(右側はサイレンサーカバーが接地する)をうらめしく思うほど、狙ったラインをトレースできることに心が躍った。その最たる要因は高いフレーム剛性で、下りコーナーの進入で強めにブレーキングしても、ステアリングヘッド付近がユラユラと捩れないのだ。結果、ブレーキを残しながら倒し込めることになり、これがスポーティな印象の源となっている。

さて、日常的に使う原付二種スクーターなので、装備についても言及したい。私が特に気に入ったのは左右のブレーキレバーの調整機構で、250ccのスクーターでもこれが装備されることは稀だ。また、ハンドル中央のUSBソケットだけでなく、シート下のラゲッジスペースにもシガーソケットを装備するなど、電力供給はほぼ完璧。さらに、そのラゲッジスペースに照明を設ける(PCXにはない)など、装備面についてもさすが抜かりない。

これを執筆している2021年6月上旬現在、まだ日本での価格が決まっていないのでコスパについて言及できないのは残念だが、スマートキーやアイドリングストップなどを採用していないので、PCXよりも極端に高くなることはないだろう。フラットフロアは日常シーンでこそありがたみを実感しやすく、これで選ぶ人がいても不思議ではない。近年のキムコの勢いを象徴する1台と言えるだろう。

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