日本電産:トラクションモータシステム「E-Axle」が吉利汽車の新型EVに採用
- 2020/05/28
- Motor Fan illustrated編集部
2020年5月に吉利汽車控股有限公司が発表した新型 EV「几何 C」(Geometry C)に日本電産のトラクションモータシステム「E-Axle」の 150kW モデル「Ni150Ex」が採用された。
吉利汽車(Geely Automobile)はボルボ・カー・コーポレーションと並ぶ中華人民共和国、浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group Co., Ltd.)傘下の大手自動車メーカーで、2019 年の新車販売台数は136万1500台と、近年目覚ましい成長を遂げている。また、メルセデス・ベンツやスマート等のブランドを有するダイムラーと2020年にスマートEV開発の合弁会社を設立する等、積極的なEV化を進めている。
同社が2020年5月に発表した新型EV「Geometry C」は、吉利汽車のハイエンドEVブランド「Geometry」シリーズの第2弾で、吉利汽車が独自に開発したバッテリー温度制御システムやヒートポンプエアコンシステム、軽量ボディテクノロジーの採用により500km以上の航続距離を実現しているほか、自動駐車システムや5G対応の最新インテリジェントネットワーク技術など搭載。その「Geometry C」に搭載される日本電産の「E-Axle Ni150Ex」は2019年4月に量産開始したE-Axleから進化したモデルで、日本電産が得意とする精密小型モータ開発で培われた、優れた磁気回路設計ノウハウや永久磁石と独自のモータ油冷構造を生かした軽薄短小モータ構造、第2世代(同社呼称)のインバータ採用等により、同車の動力性能、電費性能、音振性能の向上と車重の低減に大きく貢献している。なお、最大出力は150kW、最大システム出力トルクは3,100Nm、重量は91kg。
日本電産は2019年5月より吉利汽車向けのE-Axle開発をスタートし、車両への適合を含めてわずか1年間で量産開始にこぎつけた。E-Axleはモータ、インバータ、ギアを一体化し、ユニットシステムとすることで小型化・軽量化を実現したことが大きな特徴。2019年4月より、同社が Tier1サプライヤーとして世界で初めて量産を開始した150kWモデルである「Ni150Ex」の他、「Ni200Ex」(200kW)、「Ni100Ex」(100kW)、「Ni70Ex」(70kW)、「Ni50Ex」(50kW)の計5機種を開発している。小型・軽量の特性を活かして車両の前後に2つ搭載することも可能であり、その場合は最大400kWの出力まで対応する。
この世界トップレベルの製品ラインナップにより「E-Axle」は世界 98%の車両セグメントをカバーできるようになる。日本電産は2030年までにEV用駆動モータ市場で世界シェア35%獲得を目標としており、E-Axle はそのけん引役となる見込み。
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