渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこそ光る〈スズキ・スイフトスポーツ:夏休み250km試乗&燃費計測〉
- 2019/08/11
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MotorFan編集部 小泉 建治
当代きってのホットハッチとして名を馳せるスズキ・スイフトスポーツ。サーキットでも、ワインディングでも、その高い運動性能は多くのエンスージアストを唸らせる。だがこのスイフトスポーツ、なにもそんな熱血スポーツ派のためだけにあるわけではない。とりわけ現行型は上質感にあふれ、週末のドライブでも十分にその魅力を味わえる。真夏の週末、250kmのショートトリップでスイスポの真髄に触れてみる。
REPORT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
6速MTのシフトフィールは絶品! ペダル配置も文句なし
スイスポの運動性能に、いまさら疑問をはさむ余地はないだろう。サーキットでもワインディングでも、その存在感はピカイチで、クルマ好きの若者の登竜門としてはもちろん、スーパースポーツを知っているベテランドライバーさえも魅了し、このカテゴリーのベストセラーとして君臨し続けている。欧州のスポーツハッチバックの多くが、“大きくて高価な”スポーツカーへとシフトしてしまった今、世界で最もホットハッチらしいホットハッチと言っても差し支えない。
そんなスイスポだが、何もこのクルマは血気盛んな走り屋のためだけにあるわけではない。スポーツカーに少しでも興味を持っていたり、運転に向上意欲を抱いている人であれば、誰だってスイスポの魅力は理解できるはず。そしてそれは、渋滞にハマりながらのサンデードライブでも十分に味わえるのだ。
そんなわけで、夏休みも真っ盛りの8月の週末、スイスポを連れ出して250kmほどのショートトリップに出掛けてみたのである。編集部のある東京都新宿をスタートし、山梨県の大月周辺を軽く流して帰って来るというユルいドライブだ。
永福インターチェンジから首都高速4号線に乗り、そのまま中央道へと進む。高井戸インターチェンジを過ぎ、三鷹料金所の手前から早くも渋滞が始まる。今回は燃費も計ることにしているが、なかなか条件は厳しそうだ。
今回の試乗に供されたスイスポは、6速MTモデルである。今やATがMTに対して動力性能や燃費性能において大きく劣るということはなく、むしろ上回ることも珍しいことではない。スイスポも同様で、先代のCVTからコンベンショナルなステップ型へと変更され、大幅にアップデートされた6速ATのデキは相当に高いらしい。
とはいえ、やはり「わざわざスポーツカーに乗る」という行為を味わい尽くしたいのならば、やはりMTを選びたいというのが筆者の個人的な思いだ。
そしてこのスイスポのMTだが、とにかくシフトフィールがいい。ゲート感が明確なだけでなく、動かし始めに僅かな手応えを感じさせつつスウーと吸い込まれるように入っていくサマが上品なことこの上ない。なにしろ弟分のアルトワークスも軽自動車とは思えぬ超絶シフトフィールの持ち主だから、スズキのMTづくりにはある種の執念めいたものを感じる。
執念といえばペダル配置もそうだ。ひとまず下の写真をご覧いただきたい。
ホイールハウスの干渉を受けやすいコンパクトなFFハッチバックながら、オフセットのない見事なペダル配置を実現している。
スイスポのボディサイズはBセグメントのなかでもコンパクトな部類に入るが、右ハンドルの3ペダルモデルながらしっかりフットレストまで備えているのは秀逸と言うべきだろう。
そのフットレストから左足を持ち上げる際に、足の甲がクラッチペダルの裏側に当たることもない。フットレストがあるというだけでなく、しっかりスペースも確保されているのだ。筆者の足のサイズは27.5cmで、日本人男性の平均より少し大きいといったところか。NFLやNBAには30cmを越える巨大な足の持ち主がザラにいるそうだが、彼らでもなければスイスポのペダル配置に不満を覚えることはないだろう。
結局、国立府中インターチェンジから八王子インターチェンジを過ぎた辺りまでの15kmほどの区間で流れが良くなったものの、圏央道と交わる八王子ジャンクションの手前からまた混み始め、相模湖インターチェンジで降りるまで渋滞は続いた。
高速道路ながら平均速度は46km/hにとどまり、とくに八王子から相模湖まではずっと上り坂が続くセクションではあったが、カタログ値(JC08モード)の16.4km/Lと同等の16.5km/Lを記録したのはなかなか立派である。
参考までに、80km/h巡航時の6速でのエンジン回転数は2100rpmだった。
相模湖インターチェンジで一般道に降り、国道20号線から逸れてローカル線に入る。このコースはアップダウンやコーナーに富み、そのうえ交通量が少なく快適に走れる一方、所々狭くなったり、いくつかの集落の中を抜けるため、速度は控えめに抑える必要がある。
それがむしろ、目を三角にしてタイヤを鳴かせてばかりでは見逃してしまいがちな微かな挙動や振動、滑らかさや突っ張り感などに気づかせてくれるため、筆者のお気に入りのルートとなっている。
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