2.4ℓ 直列6気筒SOHC
1965年に登場した直列6気筒、2.0ℓ、SOHCのL20型エンジンは、そもそも高級車用のジェントルなエンジンとして開発された。大量生産に対応して4気筒のL型と主要コンポーネントを共通にしたモジュール設計であったことは、このエンジンのエポックとも言える。基本的な設計コンセプトはその後のRB型やK型に継承されていることからも、日産を代表する1基と呼んでも過言ではない。1979年に登場したL20ET型は、日本で初めて市販車用にターボ化されたエンジンであった。
OTHER SIDE
L20A(セドリック/グロリア搭載)
〈あまりにも長大なエンジン〉北米で大ヒットしたダットサン240Zに搭載されたL24Tエンジン。4気筒のL16Tと主要部品を共通化した合理的なモジュール設計を施し生産性向上に貢献した。20年以上にわたり多くのモデルに活用された、とても丈夫で信頼性の高いエンジンだった。
左の図はL型直6エンジンの正面から見たところ。車体搭載時には右に傾斜してマウントされていることがわかる。右傾搭載で頭上弁がほぼ垂直になっているのが面白い。燃焼室形状はクサビ型だ。クランク軸の左(エンジンの右側)に描かれているのはオルタネーター。2点支持され片側は固定位置を変えられる設計で、ベルトの張り調節を行える。
シングルカムシャフトの駆動はダブルローラーチェーンを使用。クランク軸は図面上時計方向に回り、カムシャフトは減速されてクランク2回転で1回転する。図面右側のテンションン側には長いスリッパー構造のチェーンガイドを装備。反対側にはアイドラーギアを使用したチェーンテンショナーがある。
やはり長く巨大に見える直列6気筒のシリンダーブロック。開発途上では、ベンチ上で連続高回転試験をすると、振動によりクラックが入るトラブルも。何度となく補強を入れ、リブデザインを煮詰めながら、全体の剛性確保に努めたという。排気量は全部で4種だがボア及びストロークは3種ずつ。全てがショートストロークタイプである。
L型エンジンが開発された当初はキャブレター全盛の時代。標準的なエンジンにはダウンドラフト方式のワンキャブ仕様もあった。写真は輸出モデルのダットサン240Zに搭載のスポーツエンジン。見ての通りSUタイプのツインキャブが採用されている。当時はツインキャブ4速フロアシフトという響きにクルマ好きの熱い想いが刺激されたものである。後に電子制御式燃料噴射装置を採用。
6個のピストンが120度クランクをリズミカルに回す様はスムーズさと上質さを期待させてくれる。L20のボアサイズは78mm。L24とL26は共通サイズでボアは83mm。そしてL28のボアサイズは86mmである。60年代始め頃の日産は、あまり多くの種類は持たず、ボアは5mm飛びに揃える考えがあったそうだが、バリエーションの充実と共に多彩なボアサイズが必要になったようだ。
排出ガス規制対応でNAPSを導入するなど、時代の流れに多くの対応を強いられた。気持ちよくスムーズなふけ上がりを誇った直6エンジンも、キャタライザーの装備で骨抜きになった時代も経験。それらの変遷に伴い冷却系も手直しされている。ウォーターホースも短く合理的にレイアウトし直されているのがわかる。
SOHCというバルブの駆動形式こそ同じだが、L型と決定的に異なる要素はふたつある。L型はショートストロークタイプ。このG型のボア・ストロークは75mmスクエアだ。そして決定的な違いは、吸排気の流れをクロスフロータイプとしたことにある。開発陣はBMWのエンジンを好んで研究していたという後日談があるが、L型がプライオリティとして生産性の追求を重視したのに対して、G型は燃焼効率とハイパワーの追求を目指していたと思われる。
2.4ℓ 直列6気筒SOHC
1965年に登場した直列6気筒、2.0ℓ、SOHCのL20型エンジンは、そもそも高級車用のジェントルなエンジンとして開発された。大量生産に対応して4気筒のL型と主要コンポーネントを共通にしたモジュール設計であったことは、このエンジンのエポックとも言える。基本的な設計コンセプトはその後のRB型やK型に継承されていることからも、日産を代表する1基と呼んでも過言ではない。1979年に登場したL20ET型は、日本で初めて市販車用にターボ化されたエンジンであった。