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街乗りもロングツーリングも守備範囲。乗りやすさとコスパは極上レベル! 【REPORT:ケニー佐川】 【試乗レポート】スズキ「V-Strom250」を異なる3ステージで検証

  • 2017/09/19
  • モト・チャンプ編集部
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<CASE.1 「Urban」> 都会の雰囲気にも溶け込むスタイリッシュなデザインが魅力。外装パーツにもグレード感があり、いい大人が乗ってもサマになる。それでいて小回りも利くから日常の足としても便利。

今年、急激な盛り上がりを見せる「250ccアドベンチャーツアラー」のリリースラッシュ! 最後発としてスズキから発売されたのは、シリーズ共通の“くちばしデザイン”が愛らしい1台。さっそくその性能を検証してみた!

普通のライダーがプチ冒険を楽しめる!

Vストローム250は最近注目されている250ccクラスの、いわゆるスモールアドベンチャーツアラーとして開発されたモデルだ。同シリーズには1000と650があり、その末弟となる位置づけ。オンロードを主体にちょっとしたダートも含めて長距離を快適に移動するための性能と装備を備えたモデルである。

ベースになったのはGSX250Rで、中速トルクに優れる水冷並列2気筒エンジンをスチールフレームに搭載するロードスポーツモデルの基本骨格はそのままに、前後サスペンションに専用セッティングを施し、シリーズ共通イメージの冒険テイスト溢れる外観が与えられているのが特徴だ。

大柄でハンドルは高めのゆったりポジションに、シートは低く両足ベタ付きの安心感。それでいてシートは肉厚があって快適だし、車体がスリムで跨ったときに圧迫感がないのがいい。そして何といっても軽さが素敵。アドベンチャーツアラーというと、道なき道を一日何百キロも走破する巨大オフロードマシンを想像する人も多いだろう。だが、Vストローム250はこの軽い車体のおかげでマシンとの距離が一気に縮まる。普通のライダーが普通に乗れるバイクなのだ。そう思うと自然と親近感も沸いてくる。

見た目も堂々とした存在感があり、メーターやスクリーンなども250らしからぬグレード感が漂う。大きく目立つヘッドライトや飛び出したビーク(くちばし)、大型キャリアなどのヘビーデューティな装備が旅の雰囲気を盛り上げる。ちょっとした冒険ツーリングに出かけたくなる心憎い演出だ。

市街地はゆったり乗れるライポジと滑らかなエンジンで気持ちよく流せる。アップライトで目線も高いため、安心感もある。前後17インチであるのとハンドルがよく切れるおかげで、アドベンチャーの割には意外と小回りも効く。軽くて足着きがいいので狭い路地での取り回しも楽々だ。欲を言えば、市街地メインで走るのであれば、とっさの危険回避も考えてABSの装備も欲しいところだ。

<CASE.2 「Highway」> 中速トルクに厚いフラットな出力特性により、ガンガン回さなくてもスムーズな高速クルーズが楽しめる。スクリーンの整流効果も高く、アップライトなライポジと合わせて快適だ。
高速道路ではウインドプロテクションの良さが光った。スクリーンはそれほど大きくはないが速度が上がるほど効いてきて、巡行ペースでも顔の下半分と体幹部分をちょうどカバーしてくれる感じ。風圧との闘いを最小限にしてくれるし、ハンドガードも含めて冬場であればなおさら有難みを感じるはず。バックミラーも大きくてブレが少なく見やすい。

GSX250R譲りの並列2気筒エンジンは低中速域の豊かなトルクが持ち味で、5速からでも十分な加速が得られる。パワー的にも高速クルーズを楽しむには十分で、クルマの流れに乗ってもストレスを感じることはないはずだ。この日も東京から富士五湖方面まで往復300㎞近くを一気に走破できた。フルデジタル液晶メーターも現代的なセンスでスマート。レッドゾーン近くで白く光るRPMインジケーターも見やすいし、ギヤポジション表示もあるので何速で走っているか即座に分かって便利だ。ハンドリングは安定感抜群で100㎞/h+αの高速コーナーでも全然オーケーだった。

GSX250Rだとやや重く感じたハンドリングが、Vストロームだとかえってしっくりくる感じがする。元々アドベンチャー系モデルと相性のいい車体とエンジン特性だったのかも、と思えるほど素直でゆったりとした乗り味が気持ちいい。サス設定がロングストロークなのでギャップ吸収性も良好で、大柄な車体と穏やかでトルクフルなエンジン特性が絶妙にマッチしているのだ。それでいて、ハンドルが高いのでテコの応用でハンドルさばきによって切り返しを軽くできる。また、燃費の良さも折り紙付きで、ガソリン残量計の目盛りも150㎞走ってやっとひと目盛り減った感じだった。

<CASE.3 「Outdoor」> 意外にもよく走るダート走行が楽しい。前後17インチのキャストホイールなのでムリはできないが、その気になればスタンディングで後輪を軽く流すような走りも可能だ。
フラットダートにも足を踏み入れてみた。250ということもあるが、穏やかなパワーで乗りやすい。一方で後輪をスライドさせながら派手に走るにはスロットルをずっと開け続けなければならず、逆に難しいかも。前後17インチでオンロードタイヤだからムリはできないが、キャンプ場の砂利道やちょっとした勾配のある草地などもまったく問題なくいける。

試しにスタンディングにもトライしてみたが、ハンドル位置もちょうどよく初めから立ち乗りを前提に設計したと思えるほどきまる。タンクもスリムなのでダート走行でも股下でホールドしやすく、またサスペンションもソフトタッチでストローク量が豊富なので、小さな凸凹もけっこう楽しめてしまうのだ。

全体的にバランスよくできたマシンだと思う。扱いやすくて気軽。都会でもスタイリッシュかつ便利に乗りこなせて、ロングツーリングでも快適に距離を伸ばせるなど、250アドベンチャーという世界観をうまく表現した新たなスタンダードモデルとなりそうだ。

考えてみれば、何故今までこのようなジャンルが無かったのかと不思議に思う。オンロードかオフロードかという大雑把な棲み分けしか存在していなかった中で、オンもオフも楽しめるアドベンチャーという新しいカテゴリーが台頭してきたのはうれしいことだ。その中でVストローム250は正しい方向性を示したモデルと言える。コスパも最高だし、若い人にこそガンガン乗ってもらいたいモデルである。

コンパクトなフル液晶ディスプレイは燃料残量や時計、ギヤポジションなど、必要な情報がひと目で分かる配置となっている。
オプションのサイドケースがワンタッチで脱着できるアタッチメントを標準装備。ツーリングモデルとしての高い資質を感じさせる。
リヤキャリアは利便性の高さはもちろん、アウトドアテイストもアップしてくれる。トップケースを取り付ける際も便利だ。
スクリーンは風洞実験を繰り返し、最適な防風性能を実現。アウトドアテイストあふれるヘッドライトのデザインにも注目したい。
スピードメーターの横にDCソケットを装備。デジタル機器の電池残量を気にすることなく使えるのはうれしい限りだ。
ナックルカバーも風洞実験によって、高い防風効果を誇る。飛び石から拳を守ってくれるので、夏でもあると便利な装備。

SPECIFICATIONS
■ 全長×全幅×全高 2150mm×880mm×1295mm
■ 軸間距離 1425mm
■ シート高 800mm
■ 車両重量 188kg
■ エンジン種類 水冷4ストSOHC2バルブ2気筒
■ 総排気量 248cc
■ 最高出力 24ps/8000rpm
■ 最大トルク 2.2kgm /6500rpm
■ 燃料タンク容量 17ℓ
■ 燃費 31.6km/ℓ(WMTCモード値)
■ タイヤ 前・後 110/80-17・140/70-17
■ 価格 57万240円

モトチャンプ 2017年9月号

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ケニー佐川:2 輪ジャーナリストや「ライディングアカデミー東京」校長など多方面で活躍中。今回はダートを激走したくてウズウズしていた様子。

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