【実走燃費17.9km/L】ナイケンGTは新時代の乗り心地! /ヤマハ
- 2019/07/15
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MotorFan編集部 近田 茂
ヤマハLMW (リーニング・マルチ・ホイール)の本格派モデルとして投入されたNIKENは報道発表会を始めクローズドコース試乗及び一泊二日の公道ツーリングも開催。新時代の乗り物のひとつを示唆するに相応しい逸材として筆者も久々に興味津々だった。今回は受注生産で(2019年モデルの予約受付けは7月31日まで)追加投入されたGTに試乗。改めてNIKENの展望が見えてきた。
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ヤマハ・NIKEN GT……1,944,000円
まず簡単にお復習いしておくとNIKENは前2輪、後1輪の3輪車だが、免許証も含めてバイクと同様に乗れる革新的スポーツツーリングとして開発された。エンジンはMT-09と同じ3気筒を搭載。ステアリングヘッドより前方部に独自のパラレログラムリンクを持つ前2輪化を実現して見せた異色モデルである。
気になるのは車重が重い事。MT-09比較で74kgもの差がある。しかし、前2輪で地面に踏ん張るメリットはとても大きい。何より強力な制動力による安全性が抜群。フロントサスペンションも左右が協調して格段に上質な作動性を発揮。その快適な乗り心地と安心感は侮れない。ハッキリ言って2輪車とは次元の異なる乗り味が楽しめる。
ただNIKENでバイクと同様のスポーツ走行を楽しむと、前輪のグリップ力に絶大な安心感が伴い、濡れた路面でも不安が少ない。バンク角は45度もあり、コンセプト通りスポーツ性は高いレベルを発揮する。正直一級レベルの走行&操縦性能には驚かされる。しかし同時に、実は微妙な疑問を覚えてしまったのも正直なところだ。“スポーツ”走行を心底楽しめるのか? その操縦性に興奮できるのか? と自分自身に問いかけるとバイク(2輪)の方が良いのでは!? と言う思いが浮かんだのも事実だからである。
今回のGTはNIKENをベースに各装備内容が一段とグレードアップされたのが特徴。先ず大型のハイスクリーンを採用。シート左脇にも12V電源ジャックを装備。リヤのグラアブバーもトップケース装着を考慮して新設計。センタースタンドや、ハンドル・グリップウォーマーを標準装備。そして何よりも肉厚のGT専用シートを採用。シート高は15mm高いがツアラーとしての快適性向上が期待できるわけだ。
リヤシート横に取り付けられたエアロサイドケースセットはオプション品(73,440円)。値は張るが旅には活用したい一品だ。
実走燃費は17.9km/L
早速プチツーリングへ。車庫では場所が取られるし、出し入れ時の取りまわしも重い。傾斜のある場面では押し切れず、前進はエンジンを始動。アイドリングは1200rpmだが、クラッチをミートする瞬間に1800rpmに上昇するので、発進や押し歩きには左手の操作だけで事足りてしまう便利さもある。後退もできればなお良いのにな~。おまけにバイクが自立してくれれば、スタンドを立てる必要もなくなるから、駐輪時の省スペースにもなる。
GT専用シートに跨がると一瞬腰高感を覚えるも、足つき性はそれほど悪化していない。いかにも高級そうでクッションに腰があり、厚みもタップリ。とても贅沢な座り心地を実感できるのが魅力的。シートの善し悪しはバイクそのもの価値グレードを左右すると言っても過言ではないだろう。
フロントまわりのボリューム感も含めて大柄なバイクであることは事実で、扱いは慎重になる。ただスタートした瞬間に、それまでに感じられていた大きさや重さに起因する不安感はフッと消え失せてしまうのである。
極低速走行やタイトなUターンでもドッシリと落ち着きはらい、いかにも悠然たる安定走行と素直な扱いやすさを披露してくれたからだ。そこに段差の上がり下りが含まれていても、車体のグラツキは極めて少ない。なるほどバイク(2輪)では必要な細かな気遣い(心構え)がNIKENでは不要になる事も。これならライダーはどれだけ楽になれることかと感心させられた。マラソンを先導する白バイもNIKEN GTを使えば遥かに楽だろう。
安心感では頼れるブレーキ性能も見逃せない。いざと言う時は躊躇なく全制動が掛けられ、制動能力は4輪車に匹敵するだけに、市街地でも気持ちにゆとりを持って楽に走れる。狭い路地を走る時も操縦性は至って素直で巨体を忘れる程扱いやすい。ついでに言うと停止時には足を出すのをウッカリと忘れてしまいそうな気分。自動自立機能を望みたい。
高速では重さもプラスに作用して実に気持ちの良い直進安定性を発揮。コーナリング時の安定感も抜群。専用ハイスクリーンのおかげでウインドプロテクションも良い。まさにGTの名に相応しい快適性である。クルーズコントロールは前車追従式への進化に期待を残すが、長距離クルーズではとても便利。
パニアをつけてタンデムで旅に出たいと思わせる仕上がりに将来的な方向性のひとつが見えてきた。例えばホンダ・ゴールドウィングの様なモデルをヤマハ流の3輪LMWで開発進化させると、とても贅沢で魅力あるモデルができるのではないか。筆者の勝手な印象ではあるが、そんな期待が膨らむ試乗であった。
⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)
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