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【ホンダNSR達人会談】ストリート×サーキット、それぞれの極意を語る。

  • 2019/08/16
  • モト・チャンプ編集部
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足周りには現代の技術を投入する

──ここからは車体関連の話。まずは骨格となるフレームに、問題が生じていることはあるのだろうか。

渡部 ほとんどないです。NSRのフレームはとにかく丈夫で、ちょっとくらいの転倒や事故では変形しません。この点では、今どきの250ccのほうが軟弱です(笑)。

狩野 フレームは確かに丈夫ですが、実際に健康診断すると、ステムベアリングがガタガタになっていたり、前後ホイールの整列が出ていなかったり、リヤサスのリンクがグリス切れを起こしていたり、などという個体をよく見かけます。

──外装についてはどうだろう。NSRを含めた古いモデルの場合、メーカーからの供給が真っ先に無くなるのは外装と言われているが……。

狩野 貴重な純正は保管しておいて、普段はリプロ品を使っている人が多いですよ。最近はリプロでもいろいろな選択肢がありますから。

渡部 ウチのお客さんもそうですね。リプロの中には精度がいまひとつで、取り付けに加工が必要になる製品もありますが、新品が今でも入手できるのは素晴らしいことだと思います。

──足周りの要となる前後タイヤに関しては、両店ともに最新のスポーツラジアルを推奨している。

狩野 MC16には対応していませんが、MC18以降のお客さんに僕がオススメしているのは、ダンロップのα-14です。このタイヤとNSRの相性は抜群で、どんな場面でもスポーツライディングが満喫できる。過激なトレッドパターンを見て、敬遠する人もいるんですが、せっかくNSRに乗るなら、ツーリングタイヤや一昔前のタイヤではなく、最新のスポーツタイヤを選んで欲しいですね。

渡部 ストリートならブリヂストンS21、サーキットならピレリ・ディアブロスーパーコルサSCか、ブリヂストンR11が、モトアップでは主流になっています。狩野さんの意見には僕も同感で、やっぱりNSRに乗るなら、タイヤは最新モデルを選んで欲しいと思いますよ。

──ブレーキは、フロントはマスター&キャリパーを交換するケースが多いようだが、リヤはノーマルをオーバーホールして使うのが一般的だ。

渡部 きちんとオーバーホールすれば、NSRのブレーキはノーマルでも十分な制動力を備えているんですが、良質なタッチを求めてマスターはラジアルポンプ、パッドの選択肢を増やすためにキャリパーはブレンボに交換、というのがよくあるケースです。フロントディスクが磨耗限度を超えたときは、ウチではアフターマーケット製のサンスターやアドバンテージをオススメしています。

狩野 ブレーキに関しては、パッド選びがなかなか難しいところです。レース指向の製品は制動力が抜群ですが、モノによっては初期制動が強すぎたり、ダストが多かったりします。パッド選びは、乗り手の使い方に応じてということになりますが、NSRユーザーに推奨する機会が多いのは、ベスラとジクーですね。

──続いてはリヤショックユニット。このパーツについては、オーリンズやナイトロンといったアフターマーケット製が人気を獲得している一方で、純正をオーバーホールして使用するユーザーも少なくないという。

狩野 NSRの純正リヤショックは、現代の目で見てもかなり出来がいいですからね。最近は純正をオーバーホールしてくれるショップがたくさんありますから、スカスカのダンパーを本来の状態に戻して使い続けたい、と考えるのは当然だと思います。スプリングに関しては、アイ・ファクトリーの強化タイプが、昔からマニアの間では定番になっています。

渡部 ウチでも純正をオーバーホールして使う機会は多いですが、守備範囲の広さでは、やっぱり現代のアフターマーケット製のほうが上でしょう。ただし、アフターマーケット製リヤショックは、車体の状況や乗り手の技量、走る場面に合わせたセッティングが必要になるので、安易にオススメはできません。

プロの診断と整備で完調を取り戻す

──冒頭で述べたように、近年NSRの世界はブームと言えるほどに盛り上がっている。そういった状況を踏まえて、NSRユーザーにアドバイスをするとしたら、おふたりはどんなことを言うのだろうか。

狩野 完調を取り戻すなら今! でしょうか。何と言ってもNSRは、20年以上前に生まれた旧車ですからね。修理と部品に関する心配がほとんどない今の状況が、いつまで続くかはわかりません。だから自分の愛車に何らかの不満を持っているなら、できるだけ早く、プロの診断を受けたほうがいいと思います。

渡部 狩野さんと同じような言葉になりますが、程度の悪い車両をダマシダマシで乗るのではなく、完調の状態を知って欲しいと思います。ここまでスポーツライディングが楽しめるバイクって、僕が知る限りでは他に存在しないですから。ちなみに世の中には、昔の2ストレプリカは何となく手間がかかりそう……と感じる人がいるようですが、NSRはいったん完調になれば、以後の手間はほとんどかからないですよ。

ホンダ '94 NSR250R SE (MC28)

ルックスはレーシーになっているものの、使用パーツの大半は普通に購入できる製品がほとんど。アドバンテージイグザクトのアルミ鍛造ホイールは、ホンダ純正マグテックと比較すると、フロントで300g、リヤで1kgの軽量化を実現。削り出しのステップはSEDで、クイックシフターはバトルファクトリー。
アルミ削り出しのステアリングステムとデトネーションカウンターは、モトアップのオリジナルパーツ。
エンジンチューニングは耐久性の確保に加えて、気候の変化に左右されないことをテーマにして行なわれた。
FRP製フルフェアリング+シートカウルはタイガパフォーマンス。ガソリンタンクはSTDを使用する。

■ホンダ '94 NSR250R SE (MC28)
7C製チタン+カーボンチャンバー/ VHM製シリンダーヘッド/ AZ製リチウムバッテリー/タイガパフォーマンス製フェアリング+シートカウル/ HRC製ハンドル/オーリンズ製CBR250R 用フロントフォークカートリッジ/オーリンズ製TTXリヤショック/ゲイルスピード製フロントラジアルマスター/プロジェクトμ製ブレーキパッド/アドバンテージ製ディスク/ SED製バックステップ/ブリヂストン・R11 (F) 110/70ZR17 (R) 150/60ZR17

ホンダ '94 NSR250R SE (MC28)

ノーマル然としたスタイルを維持している狩野さんのMC28だが、ライズオンの井場さんがクランケース加工、狩野さん自身がポート加工を行ったエンジンは、クランク軸で約70psを発揮。クランクシャフトのセンターシールは、“抜け”の心配が不要となる、井上ボーリングのラビリンスタイプを採用している。
LEDヘッドランプはスフィアライト。ラジアルポンプ式のフロントマスターシリンダーはベルリンガー。
シリコン素材のラジエターホースはサムコ。点火系にはオカダプロジェクツのプラズマブースターを導入。
リヤショックのスプリングはアイ・ファクトリー。乾式クラッチはカバーを撤去したうえ、プレートを研磨。

■ホンダ '94 NSR250R SE (MC28)
ドッグファイトレーシング製ステン+カーボンチャンバー/ SEJ製トップブリッジ/井上ボーリング製ラビリンスシール/オカダプロジェクツ製プラズマブースター/ベルリンガー製フロントマスター/ベスラ製ブレーキパッド/ステルス製ドライブスプロケット/ RK製ドライブチェーン/ブリヂストン・S20(F) 110/70ZR17 (R) ピレリ・ディアブロスーパーコルサ150/60ZR17

NSR情報も守備範囲! モトチャンプ 2019年8月号

巻頭特集
「CUB 世界のカスタムサンプルが大集合」
日本、アメリカ、タイのお手本改 / カブカスタムのルーツを教えて! / 知っておきたい雑学集 etc.

・ツーリングの必需品「インカム+α厳選カタログ」
・達人対談「NSR250Rマニアックトーク」
・スクーター好き必見「三輪バイクが楽しい!」

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