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プリマベーラS150ABS試乗|高速道路も意外とイケるくち。もちろん街での機動力も満点!

  • 2019/10/06
  • MotorFan編集部 隅本辰哉
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街が似合うコンパクトなベスパ……そんなプリマベーラに設定された特別仕様車がS150ABSだ。要所をダークブラッシンググレーで引き締めて、スポーティ感を増したルックスに仕立てられている。そこで気になるプリマベーラS150ABSを徹底紹介する!

REPORT●隅本辰哉(SUMIMOTO Tatsuya)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ベスパ・プリマベーラS150ABS……49万6800円

半世紀の歴史を背負うヒットモデル

レッグシールドモール、ホーンカバー、フロントフェンダークレストを専用のダークブラッシンググレーカラーとし、スポーティな特別仕様らしさを醸すことに成功。
 ピアッジオの主力ブランドであるベスパにはボディサイズの違いによるスモールとラージという2つのレンジがあり、今回試乗したのはスモールと呼ばれるコンパクトクラスの人気モデルであるプリマベーラだ。このプリマベーラというネーミングの登場は1968年。当時の若者にとってエントリーモデル的な位置付けだったスモールだが、そのハイエンドバージョンとしてラインナップに加えられ、以来50年以上の長きにわたるロングセラーモデルへと成長した。

 現行プリマベーラの外観上におけるポイントは、ベスパのイメージリーダーとも言える946のデザインエッセンスがふんだんに盛り込まれていることに尽きる。たとえばレッグシールド前面の意匠やサイドパネルのプレスラインなどがそうで、優雅さと快適性を併せ持ったスタイルであることは誰の目にも明らかだ。

 そして150ccモデルに設定された特別仕様車がプリマベーラS150ABSとなり、専用のグレーステッチブラックシートに加え、ホイール、レッグシールドモール、ホーンカバー、フロントフェンダークレストをダークブラッシンググレーで統一。引き締まったスポーティなスタイリングを実現し、コミューターとしての軽快感をいっそう際立たせることに成功している。

高速走行だって積極的に楽しめる!

 コンパクトなボディを右へ左へと切り返し、街を軽快に走り抜ける……それがベスパ・スモールレンジのイメージとして語られる定説だろう。じっさいプリマベーラの登場以前に人気を博したLXシリーズはクイックなハンドリングが際立ち、ともすればちょっぴりナーバスな印象を与えかねないほど切れ込みの強いハンドリングが特徴のひとつだった。

 しかしプリマベーラではハンドリングの軽快感はそのままに、クイックさだけを巧く抑え込むことで切れ込みが強いというイメージを払拭することに成功している。つまり、より万人に対して不安なくベスパ・スモールレンジを楽しんでもらえる味付けがなされているということだ。

 現行のプリマベーラには150cc/125cc/50ccという3種の排気量バリエーションが用意されていて、それぞれの排気量ごとに異なる印象だというのを覚えている。このあたりは「やるなピアッジオ!」という感もあるのだが、今回は改めて150ccバージョンに乗る機会を得た。しかも特別仕様車のプリマベーラS150ABSである。
 150ccエンジンを搭載する歴代ベスパの印象は、125ccほど回さなくても(高回転を多用しなくても)同等以上の加速感が得られるところがポイントだ。それにぶん回したからといって、最高速が大きく伸びたりするような味付けにはなっていない。ギヤ比などのセッティングもあるだろうが、あくまで開けなくても実用域で十分な加速感が得られというのが150ccバージョンに共通したキャラクターである。そこはプリマベーラS150ABSでも同様だと感じられた。

 まず走り出してすぐに前後12インチとなったホイールサイズによる安定感を感じることができ、ハンドリングもクイックさなど微塵も感じさせないほどに調教されていることがわかる。それでも行きたい方向に顔を向けてアクセルを戻せば、それをきっかけに旋回が始まるので、実にコントローラブルだと感じるだろう。

 例えば幹線道路などを一定の速度で走行中、ステップの踏み変えや、掌でグリップを軽く押し込んでやるようなモーションだけで、瞬時に車線変更が行えるほどの軽快感も健在だ。どのように旋回のきっかけを作るかは慣れた方法や好みの方法で構わない。きっかけさえ作れば向きを変えることも車線を移ることも自在。ベスパ・スモールレンジらしい軽快なハンドリングを楽しめる。

 また今回は高速道路の試乗もでき、100km/hまでの速度上昇感も、追い越し加速もコンパクトで軽い車体には必要十分なパワーだと感じられた。とくに高速走行時のアクセルオフから再加速というシーンでは、力強い走りを堪能でき、もはや150ccクラスにありがちな「なんとか高速だって走れる排気量だから」なんて表現はまったく当てはまらない。むしろ積極的に高速走行も楽しめるコンパクト・ハイスピードランナーとして、ステージを選ばず走りを存分に楽しめるお勧めな一台だ。

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