ジェントルな佇まいと怒涛の加速力。 ドゥカティ・ディアベル1260S|見た目を裏切る軽快さに驚いた! しかも両足かかとがべったり着く。
- 2019/10/21
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MotorFan編集部 近田 茂
ディアベルの登場には誰もが驚かされた。初代デビューは2010年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)。ドゥカティが投入した新ジャンルモデルの存在感はとても衝撃的だったからだ。そして今年、第二世代へとフルモデルチェンジ。6月に千葉みなとで開催された発表イベントで披露され、その進化の大きさは見る者を改めて驚嘆させた。
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
◼️ドゥカティ・ディアベル 1260S.......2,755,000円
のっけから誤解を恐れずに書いてしまうとこれはもう「デザイン先にありき」で開発されたモデル。贅を極める造りにこだわった上質な商品に仕上げられているのが印象深い。あえて国産車で例えるのならヤマハ・V-MAXのような存在で、見るからに圧倒されるド迫力なスタイリングと高級感漂う別格の存在感は只者ではないのである。
パワークルーザーと呼ばれるジャンルでリヤには240/45ZR-17 の極太タイヤを装着。マッシブかつ独創的なスタイルから当初社内ではメガモンスターと呼ばれていたと言う。スポーツネイキッド、スーパーバイク、そしてクルーザー。それら3つのデザインを融合したたデザインスケッチを忠実に表現することでディアベルが誕生した。
今回の新型は、そんな初代のイメージを踏襲しながらもよりダイナミックで洗練、ハイテク投入も併せて大きく進化させている。標準モデルの1260と上級の1260S。カラーバリエーションも併せると3機種をリリース。そのデザインセンスは改めて評判を呼び、2019年3月にイタリアで「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞。ミラノ・デザインウィークのイベントに出展される等、大きな注目を集めた。なにしろ約3年ものデザインプロセスを経て完成されたこだわりの逸品。見る者を圧倒するフォルムのみならず細部に至る仕上げの良い上質さも魅力的である。
スチールパイプ製トレリス・フレームにはテスタストレッタDVT の水冷Lツイン1262ccエンジンを搭載。デスモドロミック可変タイミングの4バルブデュアルスパーク式。13.0対1というハイコンプレッションを得て159psもの高出力を誇る。
ブレーキもサスペンションも有名ブランドの高級ユニットが奢られている。そして最新ハイテクを象徴するボッシュ製6軸慣性測定ユニットを搭載。同コーナリングABS EVOやトラクションコントロールEVO ウィリー・コントロールEVO、パワー・ローンチEVO、クルーズコントロール、クイックシフト アップ/ダウン EVO、マルチメディア・システム等、最高級、最高峰の最新ハイテクデバイスの数々が満載である。
豪傑パワーと軽快な操縦性、そして美しさとの調和
見るからに重量感がある。いかにもドッシリとたたずむディアベルに跨がり車体を引き起こしてみる。両足はベッタリと楽に地面を捕らることができ、アップライトなポジションと少しワイドなハンドルを握る扱いに、不安感は感じられない。さらに、スタートすると何とも軽くスムーズな操縦フィーリングに驚かされた。
見た目の印象は初代の雰囲気が活かされているが新型では軽快な乗り味へと劇的な変身を遂げていた。そのフレンドリーな感覚が大きな進化であり魅力的なのである。
アクセルを大きく開けて行くと、以前よりも増して強力なスロットルレスポンスを発揮する。それはもう怒濤の加速力である。しかも、そんな高トルクに負けじと大地を蹴りだす極太タイヤのグリップ力も凄い。ハイテク電子機器の制御が巧みに介入してくれる安心感もあるが、頼り甲斐のある駆動力の高さも一級である。
しかも峠道を素直に切り返してスムーズに走れるグッドハンドリングはとても扱いやすい。初代モデルは重量級である事と共に、少々手ごわい感覚や倒し込みに抵抗感のある癖を覚えたものだが、新型は、ごくさりげなく普通に走れてしまう。つまり持てるポテンシャルを高いレベルまで発揮しやすくなっている。直線もコーナーも凄味のある性能を柔軟にかつイージーに楽しむ事ができるのだ。
ちなみにアイドリングは1500rpm。ローギヤで5000rpm回すと速度は47km/h。トップギヤ100㎞/hクルージング時のエンジン回転数は約3700rpmだった。クルーズコントロールを効かせて走る様は、大きなパワーを秘めて走る悠然とした心地良さが堪能できる。前後サスペンションの仕事ぶりも作動性に優れたフットワークを披露し、とことん上質な仕上がり具合は流石である。
でもディアベルの価値は走りの進化だけではない。やはりデザイン! 細部までこだわって開発された仕上げの良さにいちいち感心させられるところが見逃せない。
バイクを構成する部品それぞれに吟味された素材と美しい加工技術が投入されている様が、そこかしこに認められる。一例を上げるとフロントフォークを支持する三叉はフォークに対して直角ではなく、地面に対してほぼ水平に見える斜めデザインを採用。他では見られないそんなコダワリにいちいち感心させられてしまうのである。
休日に、ドリップしたてのコーヒーカップを片手にガレージの扉を開ける。しばしゆっくりと愛車を愛でる。そんなシーンにおいて、ディアベルは、バイクライフの楽しさをより贅沢なひとときに変えてくれる事だろう。
⚫️足つき性チェック(ライダー身長168cm)
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