じつはこれが都会にちょうどいい排気量! ヤマハトリシティに300cc版が登場| EICMA2019
- 2019/11/10
- MotorFan編集部 大家 伝

東京モーターショーでお披露目されながら、ミラノショー(EICMA2019)まで詳細についてベールに包まれていたトリシティ300。それが、いよいよ発表となった。新たな機構は? スペックは?
TEXT●大家伝(OYA Den)
アーバンモビリティが最も賢い選択となる予感

旋回時の優れた安定感や自然なハンドリングを生み出すLMWテクノロジーに、パワフルで環境性能に優れる“BLUE CORE”エンジンを組み合わせ、都市部でのコミューティングに安心感や快適性をもたらすものとなっている。さらに車両の自立をアシストする「チルトロックアシストシステム(TLA)」も採用し、利便性と快適性を一層向上している点も見逃せない。
そしてEU圏であれば、自動車の"B"ライセンス(あくまでザックリではあるが、日本の普通自動車免許的なもの)で乗車が可能だというのも大きなトピックだろう。つまり都市部における移動手段として"B"ライセンスを所持する自動車ユーザーならトリシティ300を選択肢に入れられるので、自動車ならではの渋滞や駐車場といった問題、トリシティ300の安定感などに魅力を感じてもらえる可能性が強いと言えそうだ。
ディテール&ポイント解説

◎安定感を高めるリーニングマルチホイール(LMW)テクノロジー
また72°のステアリングアングルがマシンのユーザーフレンドリーなキャラクターに貢献し、トリシティ300を混雑した道路で非常に操縦しやすいものとしている。そして2本のタイヤがフロント側のトラクションを確保し、2枚のフロントディスクによる十分な制動力を実現。なので3輪レイアウトに関連する安心感&安定性といった面が強化されている。そして470mmのトレッド幅とすることで、ステアリング操作とコーナリングのバランスを最適化。自然なフィーリングで旋回を楽しめる。
◎フロントエンドの信頼性と軽量な俊敏性
この新しく設計されたフレームは強度と剛性のバランスがとれた小径のチューブで構成され、ヘッドパイプ領域の周りにプレートを使用することで正確なコーナリングを実現。また振動感を最小限に抑えるために、リンク型システムを使用してエンジンを新しい軽量フレームに取り付け、スムーズで快適な乗り心地を実現している。
◎アクティブでスマートでモダンなスタイリング
スタイル上の特徴の1つは、コンパクトで空力的なフロントカウルだ。おそらくこのカテゴリーに属する他モデルのデザインよりもスリムで高い。オーバーハングのないトリシティ300の短くて狭いノーズは、ツインフロントホイールの間にオープンスペースを残し、機敏で軽くてスポーティなキャラクターを強調している。
◎特別に開発された14インチタイヤ
なお新しい14インチタイヤはブリヂストンと共同開発され、Battlaxスクータータイヤと同じトレッドパターンを共有する一方で、剛性の最適化されたバランスとトリシティ300の特定の要件を満たすように設計された新しいコンパウンドを備えているのだという。これにより高いレベルのトラクション、耐久性、雨天性能など、多くの利点が備わっている。
◎スムーズでバランスの取れた制動
これは、ライダーがリアブレーキのみをかける場合に左レバー、またはフットブレーキを介しての入力を受ると、イコライザーを通過して前輪と後輪にブレーキ力がかかる仕組み。フロントブレーキとリアブレーキの両方が同時に適用される場合には前輪に適用されるブレーキ力は両方のレバーからの入力の組み合わせとなり、右レバーを単独で操作するとフロントブレーキのみが作動する。このようにブレーキ力を3つすべてのブレーキに均等化し、リアブレーキだけに過度の力がかかるのを防ぐことで、Unified Braking Systemはスムーズで穏やかな乗り心地に貢献。
◎便利なチルトロックアシストシステム
トリシティ300の重要な機能は、チルトロックアシストシステムだろう。これは、マシンが停止したときに直立した状態を維持できるようにするというもので、LMW機構の上部平行四辺形アームにキャリパーとブレーキディスクが取り付けられたもの。
チルトロックアシストシステムが作動すると、キャリパーのコンパクトな電動アクチュエータがパッドをディスクに押し込み、平行四辺形リンクを所定の位置にロックする構造となっている。このチルトロックアシストシステムは、スロットルが開くとすぐに自動的に解除される。そしてシステム自体はサスペンション機能から完全に分離されているため、駐車時の取り回しが軽く簡単なものにしている。 なお、一時的に直立姿勢の保持を支援するシステムなので、メインスタンドがけも簡単に行える。
◎パワフルでスムーズで経済的なBLUE COREエンジン
高レベルの燃焼効率を達成するために、燃焼室と吸気ポートの形状が最適化され、軽量のDiASilオフセットシリンダーに耐久性のある鍛造ピストンを装備。燃料噴射装置のマッピング設定も最適化され、強力な加速と優れた燃料効率、そして環境への配慮も怠ることはない。
またセミドライサンプ潤滑システム(ヤマハのMotoGPバイクでも使用)によりパワー的なロスが軽減され、従来のものよりも軽量でコンパクトな一体型鍛造クランクシャフトも装備。 さらに冷却システム用のバイパス型サーモスタットが、エンジンのウォームアップの高速化と燃費の向上に貢献。
◎実用的かつ機能的
◎便利なスマートキー操作
スマートキーシステムにより、キーを持っているだけで電源のオン/オフ、エンジンの始動と停止が可能。そしてハンドルバー、シート、燃料タンクリッドのロック解除もスマートにこなす。
◎読みやすいLCD機器
欧州仕様「TRICITY300」主要仕様諸元

全長×全幅×全高:2,250mm×815mm×1,470mm
シート高:795mm
軸間距離:1,595mm
車両重量:239kg
原動機種類:水冷4ストロークSOHC4バルブ
気筒数配列:直列単気筒
総排気量:292cc
内径×行程:70.0mm×75.9mm
圧縮比:10.9:1
最高出力:20.6kW(28.0PS)/7,250r/min
最大トルク:29.0N・m(3.0kgf・m)/5,750r/min
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:13L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
タイヤサイズ(前/後):120/70-14/140/70-14
カラー:Tech Kamo、Icon Grey、Gunmetal Grey


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