味わい深き縦置き90°Vツインのアドベンチャー・ツアラー・V85 TT TRAVEL モトグッツィのV85 TT TRAVELならバイクの旅がもっと楽しくなりそうだ
- 2019/12/24
- MotorFan編集部 大家 伝
V85TTをベースとして、新たにライダーを旅へと触発する「V85 TT TRAVEL」がEICMA2019で発表された。そのグランドツーリングクォリティは奇を衒ったものではなく、スペック面でも装備アクセサリー面でも「いかに旅を楽しめるか」をカタチに変えた珠玉のツアラーモデルなのである。
TEXT●大家伝(OYA Den)
旅へと誘う装備群をまとった魅惑のツアラーモデルがデビュー
新開発エンジン搭載のアドベンチャー・ツアラーとして、「舗装路の終わりに到達しても、立ち止まることなく旅の醍醐味を味わえる」がコンセプトのV85 TT。そもそもTTとは「Tutto Terreno」の略で、すべての地形を意味している。つまりネーミングからも道を選ばないオールテレーンモデルであることがうかがえるワケだ。そうしたイメージも手伝って……いやいや、じっさいイメージだけの話ではなくオンオフ問わない走破性によって一定の評価を得るアドベンチャーモデルがV85 TTである。
そのV85 TTに、専用装備を組み合わせた魅力的なツーリング仕様がEICMA2019で発表された。それがV85 TT TRAVELであり、当然ながら旅に適した数々のアイテムを追加装備してのデビューだ。
例えば高さを増して60%大きくなった表面積を誇るウインドスクリーンを装備し、車体サイドには計2つのサイドパニアも装備。これにより長距離ライドでも、走行風による疲労から確実にライダーを保護してくれる。ちなみにサイドパニアの容量は左側が27.5L、右側が37Lを確保し、右側にはフルフェイスヘルメットを収納することもできる。それでいてパニアtoパニアの幅を928mmに抑え、同一のコンタクトキーで施錠操作を可能とするなど、煩わしさのない良好な使い勝手を実現している点も注目だ。
また左グリップ部にはスイッチブロックで操作するグリップヒーターを装備し、メーターパネルには機能拡張型マルチメディアプラットフォーム・Moto Guzzi MIAも備えているので、スマートフォンを接続すれば多くの機能を使いこなすことも可能となる。
そして良好な使い勝手はバランスの取れた車体によるところも大きい。シート高を830mmに抑えることで、あらゆるレベル、さまざまな経験を持つライダーにとって扱いやすさを優先したものとなっている。
ガソリンタンク容量は23Lを確保。これにより400km以上の航続距離を実現。V85 TT譲りのフレームは、エンジンを強度メンバーに組み入れ必要な剛性を確保。ロードではパワーを効率よく伝達し、ダートでも最適なバランスを見せてくれる。
エンジンは空冷OHV2バルブ縦置き90°Vツインで、排気量は853ccだ。このエンジン、84×77mmのボアとストロークにより80HP(81.1PS/59.7kW)のパワーを7,750rpmで絞り出すなかなかの高出力かつ高回転型となっている。ちなみに排気量1000cc換算では100馬力に迫る95.1PSをマークし、8000rpmまで簡単に吹け上がるモトグッツィ・スモールブロックエンジンということになる。
なお80N・mという最大トルクを5,000rpmで発生するが、3,750rpmでも90%のトルクを発生。低回転から優れた駆動力を提供できるという点は、モトグッツィ製ツインの伝統を受け継いだ部分と言えそうだ。
そしてV85 TT譲りという点では、3つの異なるライディングモード(ロード、レイン、オフロード)もそうだ。これらの各ライディングモードは異なるエンジンマッピング、MGCTトラクションコントロール(無効にすることも可能)およびABSの異なるキャリブレーション、ライドバイワイヤースロットルコントロールからの異なる応答に対応するので、ユーザーは手軽に「より簡単かつ安全」を手に入れることが可能となったワケだ。
ほかにもメンテナンスフリー化を実現したシャフトドライブトランスミッションを搭載し、ミシュラン・アナキーアドベンチャータイヤを履くのがデフォルトだ。車体色は「Sabbia Namib」という専用カラーで提供されるが、これはグレーのフレーム、マットカラーのシャーシ、それにタンクとサイドパネルを専用グラフィックスで強調したものとなっている。
さて、V85 TT TRAVELもV7 III RACER 10th ANNIVERSARYと同様にEICMA2019で発表されたワケだが、国内導入時期や価格など、分かり次第ではあるが続報としてお届けしていくこととしたい。
「V85 TT TRAVEL」主要仕様諸元
全長×全幅×全高:2,250mm×815mm×1,470mm
シート高:795mm
軸間距離:1,595mm
車両重量:239kg
原動機種類:空冷OHV2バルブ縦置き90°Vツイン(titanium intake)
総排気量:853cc
内径×行程:84mm×77mm
圧縮比:10.5:1
最高出力:59.7kW(81.1PS)/7,750rpm
最大トルク:80N・m(8.16kgf・m)/5,000rpm
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:23L
燃料供給方式:電子制御、φ52mmシングルスロットルボディ、ライドバイワイヤー
エミッション:Euro 4
トランスミッション:6速
フレーム:チューブラー
フロントサスペンション:φ41mmテレスコピックUSDフォーク(プリロード/リバウンド調整式)
フロントホイールトラベル:170mm
リアサスペンション:ボックスタイプアルミスイングアーム+シングルショック(プリロード/リバウンド調整式)
リアホイールトラベル:170mm
フロントブレーキ:φ320mmダブルフローティングディスク×ブレンボ4ポッドラジアルマウントキャリパー
リアブレーキ:φ260mmディスク×2ポッドフローティングキャリパー
タイヤサイズ(前):110/80-19
タイヤサイズ(後):150/70-17
A/Cジェネレーター:430W
システム電圧:12V
バッテリー:12V–12Ah
カラー:Sabbia Namib
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