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アプリリア・TUONO V4 1100 Factory|レーサー譲りの強烈すぎる加速力! でもしっかり調教されてるから扱いやすい。

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12月19日に開催された第2回日本バイクオブザイヤー2019選考の輸入車部門でアプリリアのRSV4 1100 Factory が「金賞」の栄誉に輝いた。今回の試乗車はそのネイキッド版である。基本的にエンジンも車体も多くが共通。フェアリングを脱ぎ去り、パイプバーハンドル装備のTUONOの走りは如何に!?

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

◼️アプリリア・TUONO V4 1100.......2,090,000円

色:スーパーポール

 アプリリアは世界スーパーバイク選手権で短期間の内に輝かしい戦績を残したことで知られている。そんな同社最強のハイパフォーマンスモデルであるRSV4 1100 Factory のコンポーネントを受け継ぎ、ネイキッドモデルに変身させたのがこれ。ちなみにネーミングのTUONO は、イタリア語で「雷鳴」を意味すると言う。
 単純にネイキッド化するだけではなく、最新鋭のセミアクティブ電子制御式サスペンションシステムを標準採用。性能も装備もプレミアムな1台である。メーカーのキャッチコピ-を引用すると、“アドレナリンを沸き立たせる刺激的なモーターサイクルの1台”とある。

 ツインチューブフレームに搭載されたエンジンはVバンクが65度の水冷4気筒。オーバースクエアの度合いが大きくボア・ストロークは81×52.3mmというショートストロークタイプだ。ライドバイワイヤーの電子スロットルはφ48mmのボディを持つマレリ製で基本的にRSV4と同じ。しかし当然ながらTUONOは専用チューニングされて、パワーはハッキリと控えめなデータとなっている。
 最高出力はRSV4の217HP/13200rpmに対してTUONOは175HP/11000rpm。パワーも発生回転数ともに低いところにある。しかし最大トルクは122Nm/11000rpmのRSV4に対してTUONOは
121Nm/9000rpm。つまり同レベルのトルクを低い回転数で発揮しているのである。 さらに注目すべきは、2次減速比がRSV4の 2.562に対し、TUONOは2.8と低くなっている点が見逃せない。
 具体的に言うとドライブ/ドリブン・スプロケットが16/41丁から15/42丁に変更されたのである。出力特性の変更も相まって、発進が容易になることは明らかな上、市街地等の実用域でもグイグイとよりレスポンスに優れる俊敏な走りが期待できそうだ。 電子制御技術を満載するAPRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)も最先端の物を搭載。トラクション、ウィリー、ローンチ等の各種コントロールを始め、ピットレーンでの速度制限を設定できるピット・リミッターやクルーズ・コントロールも標準装備。
 
 Track、Sport、Road、3つのモード選択できる他に、色々な組み合わせをあらかじめ自分の好みに設定できる8通りのマニュアルモードも備えている。また前後サスペンションは、ステアリングダンパーも含めて電子的に管理されて減衰力等の動作を微調整して最適制御される。車両の挙動に応じてリアルタイム制御するセミアクティブモードも備えているのである。

市街地でも小気味好く軽快な走りが楽しめる

 全体にエネルギッシュなフォルムのTUONOに跨がると、如何にも凄味のある雰囲気を直感する。RSV4譲りのパフォーマンスとなれば当然だが、ネイキッドスタイルならではのライディング・ポジションのおかげで、いくらか肩の力が抜ける感じになれた。

 排気量は1Lオーバーだが4気筒故に、荒々しさよりもスムーズな一面が顔を出し、エンジンのパワーと回転フィーリングに優しい感触がある。ギヤ比が高過ぎることもなくスルッと発進操作も何気なく決められる。1気筒当たりの爆発エネルギーが小さめなマルチエンジンらしく、V型独特の柔軟性も相まって、中低速でもトルキーな頼れる出力特性と決して乱暴物ではない感覚が好印象。どんな場面でも走りやすいのである。

 強かなトルクを発揮しながらも軽やかに回ってくれる軽快な乗り味が心地よく、市街地で5000~6000rpm回しても不快な音や振動は少ない。ちなみにローギヤで5000rpm回した時のスピードはメーター読みで 52km/hだった。
 もちろんスロットルをワイドオープンした時の吹け上がりは強烈。ダイレクト感やレスポンスの鋭さと言う意味では、RSV4のそれを凌ぐ勢いを感じることができる。
 高速道路でもローで1万rpmも回せばアッと言う間に100 km/hの世界に到達できる俊敏なパフォーマンスは一級品。その時に体感する加速Gはそれはもう強烈だ。仮に後席に乗せてもらえば、絶叫系アトラクションを凌ぐ壮絶体験が楽しめることは請け合いである。

 前後タイヤはドライ路面でのグリップ力に優れ、活発なスポーツ走行にも対応。理想的には、たまにサーキットのスポーツ走行で汗を流す使い方が相応しいと思えた。その一方で、クルーズコントロールを活用したツーリングや市街地でも軽快に走る乗り味には、実用面もクリアできる親しみやすさがある。

 操縦性はタイトターンの進入で、若干ハンドルが切れ込もうとする癖を感じるがステアリングダンパーのフリクションがそんな挙動を適度におさえている感じ。バイクを寝かして曲がるよりも早めに立てて次のコーナーめがけて猛然とダッシュする走法が似合っている。加速と減速の強烈なGを感じると、ライダーにはそれに耐える強靱な肉体が必要なことも理解できる。日々身体を鍛えるアスリートとしての楽しさも満喫できることだろう。

 今回、各種電子制御に関して詳細なインプレッションを得るには至らなかったが、特筆すべきはマニュアルで好みの組み合わせによる8種のモード設定ができるのはとてもうれしい。例えば自分が良く行くアノ峠道は3番、高速ツーリングでは1番、タンデムでは8番等と電子制御具合の組み合わせを予め自由に設定しておく事ができる。何かとこだわるライダーにとっては、3つの中から選択できる既製のライディングモードより、大きな満足が得られることは間違いない。

 ちなみに6速トップ100km/h時のエンジン回転数は4200rpm。その時タコメーターは4の文字が拡大表示されるので停車時状態の時よりも見やすい。10000rpmからがイエローゾーン。レッドゾーンは12300rpmから。スロットルを大きく開けた時、エンジン回転と速度の伸び感ではRSV4に譲るものの、レスポンスの鋭さと走りの俊敏なハイパフォーマンスでは、むしろTUONOの方が勝っていると感じられた。

⚫️足つき性チェック(168cm)

両足の踵はご覧の通り浮いてしまうが、足つき性は悪く無い。シート高は825mm、RSV4より26mm低い。

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