ホンダ・CRF1100Lアフリカツイン/Adventure Sports その進化には開発陣の並ならぬ気合と熱き情熱が感じられた 新型ホンダ・CRF1100Lアフリカツインの技術がすごかった! 排気量84cc増で出力7ps向上、なのにエンジン重量は2kg減 。
- 2019/12/09
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MotorFan編集部 近田 茂
2019年12月13日から発売開始されるCRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES。10月23日に発表され東京モーターショーで人気を集めた。Honda Dream店での販売だが、発表後約1月で700台を超える受注を獲得したと言う注目の1台である。その発表試乗会は、福島県いわき市のモトスポーツランドしどきで開催された。試乗記をお届けする前に、先ずは発表会で得られた新情報を先行レポート!
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)/株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES......1,947,000円〜
CRF1100L Africa Twin .......1,617000円〜、同Adventure Sports ......1,804,000円〜
簡単にアフリカツインの歴史をおさらい。
始まりは1986年のパリ・ダカールラリー参戦がきっかけ。もちろん当初はNXR750(競技専用のワークスマシン)だった。過酷な条件下を進む走破性と快適性及び信頼性の高さを追求し、4年連続で勝利の栄冠を手にした話は有名である。
そこで確立したノウハウを基に開発されたのが1988年デビューのXRV650 Africa Twin。これが新たなビッグ・オフロード市場を開拓し、大地を走る本格的なオフロード性能と長距離移動での快適性を兼ね備えたアドベンチャー・ツアラーとして人気を獲得。90年代にはXRV750に進化。2001年の生産終了までに7万3000台以上の累計販売台数を記録した。
2016年2月、トゥルー・アドベンチャーとしてCRF1000L となってAfrica Twinが復活。DCTの搭載も相まって、世界で高い人気を獲得。2018年には同Adventure Sportsも投入され、累計8万台を超える販売実績を誇っている。そして今回フルモデルチェンジされてCRF1100Lが登場。上位機種が年内に、その他は2020年2月に順次発売開始。さらに足の長い輸出仕様の国内投入も予定されていると言う。
今回は2020年モデルとしてのフルモデルチェンジである。基本コンセプトこそ共通だが走破性、快適性、信頼性を追求する上で最新技術を導入してさらなる進化が図られた。
トータルバランスをワンランク向上させると共に “どこでも行ける” アフリカツインと、 “どこまでも行ける” 同アドベンチャースポーツの差別化を明確化。前者はダイナミックな走りをエキサイティングに楽しめる。後者はアドベンチャースポーツとして、もっと遠くへ行きたい冒険心に応えるべく全てが見直されたと言う。
進化熟成は全域に及び、最新の電子制御技術も導入。先ずエンジンには余裕の走りを追求。意のままにライディングできる操縦性と扱いやすさを向上。加えてライダーをサポートする最新技術拡充も魅力的。ちなみにETCやグリップヒーターも標準装備である。
新開発エンジン
扱いやすさや快適性を狙ってエンジン・パフォーマンスに、さらなる余裕を追求。顕著な違いはCRF1000L比較でストロークを6.3mm伸ばし、ボア・ストロークは92×81.4mmに。その結果排気量が998ccから1082ccに拡大された事だろう。
しかし驚くべきは、一般的に排気量アップに伴う重量増が無いどころか、エンジン単体で約2kgの軽量化を達成した事にある。細部までこだわって効率の良い設計が見直され、アルミスリーブの採用を始め、クラッチの小型化、ギヤの最適化等で完全新設計されたのである。
吸排気系も一新されて、効率向上。CBR1000RRでも採用された排気バルブ・システムを採用。低回転域では2系統の通路を通し、高回転域は抜けの良い1系統で排気を効率良く通す。吸気系のストレート化も相まって、低回転域ではネバリのある走りを、高回転域では素直にハイパワーを発揮。最高出力は7%、最大トルクでは6%の性能向上を果たした。
新設計フレーム
フレームも新規開発された。全面的な見直しの狙いは、よりしなやかな走りと軽量設計にある。スポーツバイクを開発するにあたり軽量化の追求は不可欠。その点に開発陣の熱き情熱が込められている。
パワー・トルクの向上した1100ccエンジンを搭載し(支え)ながらも従来の1000より1.8kgもの軽量化を達成しているのは立派である。競技専用車のCRF450Rからもノウハウを受け継ぎ、整備性に優れた前後別体構造が採用されたのも新しい。
従来ボルトオンされていた右側ロアパイプも溶接一体構造に変更。エンジンハンガー(マウントプレート)を別体構造とする事で搭載/整備性は確保されている。スイングアーム・ピボットプレートも素材から見直されて高剛性化が徹底追求された。
そして特筆すべきは、シートレール前方部の幅を従来の235から195mmへ、なんと40mmも細く設計された。足つき性の改善に大きく貢献することは言うまでも無いが、アクティブなライディングを楽しむ上でも実に重要なファクターなのである。
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