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K2?スタミナ? 新型メグロK3とは何者だ。

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来春発売の新型MEGURO K3と先代のメグロK2(右)

いったい誰が想像したであろうか。公式発表は11月17日。そして同社最先端のカワサキプラザ等々力のステージ上でアンベールされたのが11月19日の出来事。半世紀以上も時代の空白を超えた“メグロ”ブランドの復活劇が我々報道関係者に公開されたのである。発売は2021年2月1日だ。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン

カワサキ・MEGURO K3.......1,276,000円

ミラーコートブラック×エボニー

 遥か昔の話、東京オリンピックが開催された1964年にカワサキとメグロは統合された。筆者も小学生時代の話なので、当時の生の様子をお伝えする事はできない。
 ただ、バイクに乗り始めて友人が中古購入したK2に試乗した思い出は、今でも鮮明な記憶として残っている。ロングストロークの大排気量エンジンから発揮される豊かなトルクフィーリングは、後のバイク業界がごぞって歩む事になったエンジンの高回転高出力化、つまりモアパワーの追求とは対極に位置する魅力的かつ誇らしい堂々たる乗り味が既に確立されていたのである。             
 初代モデルはメグロ製作所時代のスタミナK (K1)。500ccと言う排気量は、陸王の750が消滅した後を担う国産最大排気量のスポーツモデルとして君臨。当然、白バイにも起用されていた。
 イギリスのBSAを手本に作られたモデルだったので、右足チェンジ、左足ブレーキという珍しいレイアウトが採用されていたが、バイクはまだまだブーム以前の話で、不満の声は小さく、むしろ “それを乗りこなしてこそ一流のライダーだ” と言われた程。
 ともかくメグロを知る人は古い人間なのである。逆に言うとそんなブランド名を知らない人の方が一般的。
 それを現在に復活させたのだから、その英断とカワサキの戦略に驚かされたのである。

 しかしカワサキのルーツを振り返ると、その展開は決して不自然では無い。
 前述の様に当時国産最大排気量だったK1はカワサキ・メグロ時代にトラブルを減らし、信頼性を高めるべく進化させたK2を投入。その後1966年には排気量を624 ccに高めたW1を新発売。ホンダからCB750が登場する1969年までは、紛れもなく国産最大排気量の座をキープした。
 ちなみにW1はアメリカ市場へも積極果敢に投入。後にカワサキの名を世界中に轟かせたZ1(900) 開発へも繋がっている。
 つまりメグロはK2からW1に移行。信頼性の高いエンジンや車体作りのノウハウはZ1へと活かされて見事に開花。重量級に強いカワサキイメージを決定づける礎を築いたのがメグロだったと言っても過言ではないのである。
 一方ツインエンジンのW1はツインキャブのW1S 、やがて長いリンケージを介して左チェンジとしたW1-SA 、ディスクブレーキ装備のW3と進化を続け、一旦空白の後、1999年にベベルギヤ駆動OHC 方式のW650として復活、2019年からの現在はW800、同ストリート、同カフェがラインナップに揃えられている。

 そして今回発表されたのが、原点のブランドに着目したプレミアムモデルとしてK3が新規投入された。
 もちろん基本的にはW800を活用して派生した別バージョンであるが、スペックデータを比較すると細部に微妙な違いがある。例えばキャスタートレールはW800と共通だが、ハンドル幅はストリートと同じ。エンジンとミッションはマフラーの違いこそあれ、ほぼ共通と見て良いだろう。
 決定的に違うのは、カワサキケアを込みにした上でWよりも高い価格設定にある。ここにはメグロに対するリスペクトの思いも感じられるが、クロームメッキに代わって採用された銀鏡塗装を始め、クラシカルな雰囲気を感じさせつつモダンな技術を融合させた細部のデザイン等、歴史を大切にし、そこから生まれたバイクを、ユーザーにも大切に使って楽しんでもらいたいというメッセージが込められているように感じられた。 
 プレスリリースを引用すると、「カワサキ最古にして最長のシリーズモデル」。昭和の時代に誕生したメグロは平成を飛び越えて、令和の時代に復活したのである。

トークショーでは楽しい雰囲気の中、開発秘話からプロモーションビデオ撮影のエピソードまで語られた。登壇者は右から市島慎司、猪野精一、奥村和磨、MCを務めた河野正士(敬称略)
ライダーは市島慎司氏。株式会社カドヤの服飾デザイナー。プロモーションビデオに出演、純正ウェアの開発にも尽力された。

これが先代モデルのカワサキ・メグロK2

メグロ・スタミナKをルーツに持つカワサキメグロK2は白バイにも起用されていた。カワサキW1の前身モデルである。
Y型クランクケースが印象的な空冷496ccのOHVエンジンを搭載。ボアストロークは66×72.6mmと言うロングストロークタイプだ。プッシュロッドはシリンダー背面に配置されている。
イギリスのBSAを手本に開発されており、ロータリー式4速ミッションは右足チェンジを採用。発売された1965年当時でも稀な存在。始動はキックのみ。後の650-W1にも踏襲された。
当時の重量級モデルを代表する存在として白バイにも起用されていた。(写真は初代のメグロ・スタミナK1 白バイ仕様)カワサキプラザ等々力にて。

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