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【BRP Can-Am Ryker900の○と×】実際に所有して気づいたこと。|オーナー:ORIENTARHYTHM サカクラカツミ

  • 2021/06/26
  • 佐藤恭央
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カナダのBRP(ボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツ)が2007年から製造する異色のスリーホイーラー、Can-Am(カンナム)シリーズ。日本では2013年から発売がスタートし、運転は普通自動車免許で可能となる。今回はこの最新機を駆るユーザーに突撃インタビュー! 世界的に知られるその人物の正体とは。

PHOTO&●星野耕作(HOSHINO Kousaku)
REPORT●佐藤恭央:モルツ(SATO Yasuo:Malt’s)

個性的なスタイルと操作性で注目を浴びた!

以前にも記事でお伝えしたBRPのCan-Am(カンナム)シリーズ。クルーザーのようにフォワードコントロールのポジションで、フロント2輪、リヤ1輪という個性的なスリーホイーラーである。

2019年3月に発売されたRykerシリーズ(143万円~/写真はライカー900)。ロータックス製4ストエンジンを搭載し、オートマチック(CVT)仕様かつバッグギア採用でイージーに操れる。オフロードテイストをより高めた上級グレードのラリーエディションもラインナップ。

レーシングカーさながらのダブルウイッシュボーン式。前後サスペンションはザックス製を備える。
 こう書くとヤマハのトリシティやナイケンが思い浮かぶけれど、操作性や乗り味は真逆。それもそのはず、フロントのサスペンションはクルマ同様にダブルウイッシュボーン式。さらに、バイクのように車体をバンクさせてコーナリングフォースを得るのではなく、ハンドルを切った分だけ曲がるという、まさにクルマに近しい存在で、平たく言えばスノーモービルや四輪バギーのような操作感。また自動車免許で乗れるというのも輪をかけてクルマ的な位置づけだ(逆に二輪免許では不可)。

気になる走りと生の声

 さて、そんな斬新なカンナムシリーズだが、プレミアムなモデルなだけに実際に走っている姿を目にする機会はほとんどない。車両以上に「一体どんな人が乗ってるの?」と気になることも多いのでは⁉ そんなわけで、今回はライカー900を所有するオーナーにご登場いただき、話を伺うことにした。

オーナーは希代のアーティスト&パフォーマー

 取材当日。筆者が待ち合わせの駐車場に赴くと、遠目からでもすでに到着しているのがわかった。「はじめまして!」と、気さくに話しかけてきたのは「サカクラカツミ」氏。ORIENTARHYTHM(オリエンタリズム)というダンスパフォーマンスチームのリーダーで、日本の伝統文化が持つ「動き」、「リズム」、「精神性」を統合し、芸術として昇華させたアーティスト&振付師だ。
 世界で先駆けてプロジェクションライブを成功させ、アジア、欧州、北米を股にかけて活躍するパフォーマーであり、その筋では知る人ぞ知る有名人! またデザイナーとしても活躍しており、当日も自身でデザインしたジャージ素材を用いたオーダーメイドのライダースをエレガントに着用。還暦を目前にした年齢に加え、小柄な体躯ながらも筋肉粒々のプロフェッショナルなボディを際立たせていた!

 この経歴&ルックスだけで、なぜかカンナムシリーズに相応しいと納得してしまうのは筆者だけではないはず? 要するに、「普通の人じゃない!」と直感した。それでは早速サカクラ氏に話を伺ってみよう。

※詳しくはオリエンタリズム公式サイト(http://orientarhythm.com/)をチェック!

フューチャー感たっぷりの乗り物が必要だった

-なぜライカー900を買おうと思ったのですか?-

サカクラ「昨年(2020年)に、とある作品のプロモーションムービーに出演することになり、その中で乗り物に乗って“近未来感を演出するシーン”の撮影があったんです。当初は、知人が所有していたNM4-01(ホンダ)を借りようと思っていたんですね」

ホンダ:NM4シリーズ(2014年~2019年)は総排気量745㏄。
※とある作品とは『攻殻機動隊 SAC_2045』×『AKIHABARA PREMIUM COLLECTION』のこと。詳しくは検索を! サカクラ氏が扮する超絶クリソツの“荒巻”が見られるぞ!

-確かにNM4はフューチャー感たっぷりですね!-

サカクラ「はい! しかし問題が一つありまして……。じつは私は中型免許(普通自動二輪免許)しか持っていないんです。これを機に“大型自動二輪免許を取ろう”と考えたのですが、緊急事態宣言下では教習所もまともに通えず、撮影のスケジュールも迫ってきて、どうしたものかと悩んでいました」

-撮影の許可を得ても、さすがに無免許で公道を走るのは厳しいですね―

サカクラ「そうなんです。クルマと中免で乗れる近未来的なものはないかと探したところ、すぐにおあつらえ向きの車両が見つかったんです!」

-それが、BRPのカンナムシリーズだったと―

サカクラ「WEBサイトで見つけた瞬間、コレだ!と思いましたね。すぐにメーカーに連絡をしたところ、二つ返事で快く貸してくれました」

-ちなみにカンナムシリーズには大きく“スパイダー”と“ライカー”の2種類がありますが、ライカーを選んだワケは?-

サカクラ「上級グレードのスパイダーはフェアリングの面積が広く、いかにも近未来的なイメージですが、ライカーの無骨な雰囲気が気に入ってしまいまして。マシン自体にインパクトがあるし、プロモーションのコンセプトから逸脱していないため、こちらを使用させていただきました。もちろん、完成した動画も満足のいく仕上がりです!」

所有するうえで「転倒しない」が絶対条件!

-初めてライカーに乗った時はどう思いましたか?-

サカクラ「不思議な感覚でしたね。バイクと同じ姿勢なのに倒れないというのが新鮮で! 車体を傾けられないのはライダーにとって大きな欠点かもしれませんが、私に限っては好都合だったんです」

-それはなぜですか?-

サカクラ「ダンスパフォーマーという仕事柄、体が資本ですので妻や周囲にバイクは止められていたんです・・・・・・。もちろん、自制もしていました。転倒してケガをすれば大勢の人に迷惑をかけてしまいますから。期間にして30余年位でしょうか。ちなみに車も同様です。まぁこっちは名古屋から上京した際に必要がなかったというのもありますね。当時はお金もありませんでしたし(笑)」

-そんなに長く⁉ その間バイクや車を所有したいと思ったことは?-

サカクラ「もちろんバイクや車は好きですし、ずっと欲しいと思っていましたよ。ただ一度火が付くと止められない性分ですので、雑誌などの情報源も断って極力意識しないように努めました」

-そうすると、このBRPのライカー900はより刺激的に映ったことでしょう!-

サカクラ「まさしくジェネレーションギャップを感じました! 私のモータースポーツは80年代で止まっていますから。世の中にはすごい乗り物があるんだなぁって。先進的なデザインなだけでなく、バイクのように転倒せず、それでいて体で風を全力で感じられるライカーは今の私にピッタリで、撮影で乗ってから一カ月も経たないうちに我が家へやってきました!!」

ハンドル操作とともにニーグリップで車体をホールドし、体全体を使って旋回させるカンナムシリーズ。ややクセがあり、バイクよりもフィジカルが求められる乗り物をサカクラ氏は軽々と操って見せた。やはり鍛え方が違う!

使い勝手は▲、だけど楽しさ&アピール度は◎!

-ライカーは600ccと900ccモデルがありますが、サカクラさんは900ですよね?-

サカクラ「そうです。600と900を乗り比べましたが、やはり900のパワフルさは魅力的でした! エンジンも2気筒の600と異なり900は3気筒ですし、オートマチックの特性とエンジンフィールのマッチングが私好みだったというのもあります」

ライカーシリーズはデフォルトだと積載力が乏しいのがネックだが、サカクラ氏いわく「利便性よりもデザイン性に特化したスタイルもアイデンティティですね!」とご満悦。なお見た目も重視してタンデムシートを追加しており、ここには奥様やチームメイトを乗せて移動することもあるという。
-普段はどのように使っているのですか?-

「ライカーは足を着かなくても転倒しないわけですが、運転者がむき出しですし、車同等に安全なわけではありません。ですので、晴れの日にショートツーリングをする程度ですね。とにかく高速道路や信号の少ない田舎道を走るのが気持ちいいんです! 車体サイズは軽自動車並だから、原付のようにちょっとコンビニに買い物へ、という使い方は不向きですので。ただ納車されてから2カ月位は嬉しくて無駄に近所をグルグル走っていました。信号待ちの度に視線を浴びて、舞台(仕事)以上に高揚しちゃいますね(笑)」

バイク&車イジりに没頭した青春時代!

-ちなみに、以前はどのような車両をお持ちだったんですか?-

サカクラ「車は祖父から譲り受けたハコスカで当時のトレンドだった“ソレ・タコ・デュアル”は押さえてましたね。あとは初代RX-7(サバンナ)などに乗っていて、RX-7は自分で加工してチョップトップにしました。バイクはエリミネーター400に乗っていました。あと、ミニバイクが好きでスカッシュやジャイロX、モンキーなどを買ってカスタム三昧でしたね! スカッシュは見た目そのままにボディをロングにして、モンキーはジャイロXのユニットを移植して三輪に……」

-この後、しばらくスカッシュのFRP成型方法やジャイロXのエンジンスワップについて、RX-7のオーバーフェンダー話などが続きました-

-す、すごい! もはやマニアの領域ですね-

サカクラ「だから言ったでしょう、一度火がつくと止められない性分だって(笑)」

これらはサカクラ氏が学生時代に乗っていた(作った?)バイクや車の一部。ほぼイチから自作したという四輪バギーに乗る姿を見るに、彼にとってライカーは異端児ではなく、正当進化であることを物語っている!

空白期間があったからピュアな目線で向き合えた

 というわけで、世界的パフォーマーと話をしていたのですが、いつのまにかバイク&車好きオジサンになっていた(笑)。などという冗談はさておき、特殊な経歴を持つサカクラカツミ氏は、プロのパフォーマーやデザイナーという仕事を経て、さらにモータースポーツへのブランクがあったからこそ、BRP・カンナムの深い魅力に気づいたと言えるだろう。

乗れば納得のオモシロさ!

 ともかく、BRPカンナムシリーズは決して常人が乗れない代物ではございません。なんてったって普通自動車AT免許で乗れちゃいますから(ヘルメット着用義務はないけど安全のために被りましょう!)。バイクと車のオイシイとこ取り⁉なカンナムシリーズが気になった人はぜひ一度お試しあれ! 公式WEBサイト(https://can-am.brp.com/on-road/)から試乗依頼ができますよ!

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